恋愛は終わらない (新潮文庫 さ 31-6)

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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101320267

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  • 本当の幸福は、他人の幸福を自分の幸福と感じられる人間になることである。自分の幸せや快楽を表現して、それを他人が不快と感じるようなら、改めるべきである。(P.20)
    大切なのは、あたしってこういうタイプなのと自分を決めてかかるのではなく、あたしってこういう面もあるのね、と、自分で自分の"格差"に気づくことである。(P.25)
    ケンカした翌日、温かいスープを黙って差し出してくれた母親。テストの点が悪くてしょんぼりしていたときに、それより悪い点の解答用紙を見せて笑い飛ばしてくれた男友達。切り過ぎた前髪を悩んでいたら、いつか伸びるよ、それに思うほどヘンじゃないよ、と、ぶっきらぼうに照れながら声をかけてくれた女友達。それら一つ一つの思い出が、きっと貴女の心に灯をともすはずである。そして、生きることの価値を見出してゆく。彼だけじゃない。いろんな人に愛され生きているんだということを。(P.38)
    こうやって、変えられるものと変えられないものに気づけば、あとはもう、毎日笑顔での会話を心がける。ーこれでもう、十分でしょう。(P.59)
    女にとっての家事は、魚にとっての刺身。これこそが特上である。家事が上手なのが女として最高。刺身で食べてうまいのが魚として最高。ーそんな固定観念に日本中の男女もまだ囚われているのではないかと、私はため息をついた。(P.81)
    三十代以降、女性の肌は確かに衰えてゆく。が、その代わり、三十代以降本当に美しい服装を楽しめるようになるのだ。そしておそらく三十代より四十代、五十代、と。そして最終的に日本女性は、あのしなやかな和服の絹に身を任せればいいのだ。残る問題は、その美の進化を鑑賞するだけの日本男性が育つかどうかである。齢をとることは、恐いことでは、ない。(P.124)
    たった一つ、負けない何かを持っているということは、他のすべてに負けていても他人に対して卑屈な劣等感を抱かずに生きてゆけるということなのだ。誇りを持って生きている人に、人々は必ず敬意を払ってくれる。(P.136)
    子供というのは、子供というだけでおとなから愛されるということを知っている存在である。だから、屈託の無い笑顔をつくれるのだ。無条件に愛されることを知っている人間の笑顔くらい強いものはない。普通人間は成長するに従って、笑顔を拒絶されたり、嘲笑されたりする経験を積み、だんだんとぎこちない笑顔になってくるものなのだ。ところがやんちゃ男の笑顔に、ぎこちなさは現れない。多分一生、かげりなく笑い続けることであろう。それはなぜか。笑顔を拒否されたつらい過去を、一瞬のうちに忘れ去ってしまう物忘れの良さが備わっているからなのか。(P.154)

著者プロフィール

1957年徳島県生まれ。お茶の水女子大学卒。79年漫画家デビュー。『東京ラブストーリー』『あすなろ白書』『同窓生 人は、三度、恋をする』『恋する母たち』など、著書多数。エッセイ集として『恋愛論』『大人の恋力』『そうだ、やっぱり愛なんだ』『老いては夫を従え』など多数。2016年、25年後の物語として描かれた『東京ラブストーリー  After 25 years』で柴門ふみブーム再燃。夫は弘兼憲史氏。

「2020年 『オトナのたしなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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