- Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101321233
感想・レビュー・書評
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この年齢不詳のペンネームが気になったのは、映像化された「受難」(2013) を鑑賞したことがきっかけ。不思議な世界を書くこの人の作品を一度文字のまま味わってみるべきだと感じてもいたからこそ、このインパクトのあるタイトルは容易に棚から引き抜く力を与えてくれた。
蓋を開けてみるとこの方、同郷でしかもその後直木賞を5回のノミネートを経て受賞し、その受賞式の様子もあって時の人になっていたりしたものだから、どうやらこの一冊では終われなくなってしまった模様。作品ごとに作風も全く異なるそうな。
秀逸な一節を拝借。
「ときどきヒステリックになるのは、男が安心する女らしい女である。きいっ、プラダのバッグ買ってちょうだいっ。きいっ、フェラガモの靴買ってちょうだいっ。きいっ、3カラットのダイヤ買ってちょうだいっ。この類のヒステリーに男は辟易しながらも安心する。もし、きいっ、資源がもったいない、裏が白い広告は四つ切にして綴じてメモ用紙にしてちょうだいっ、とか、きいっ、盲導犬協会に少額でいいこら寄付してちょうだいっ、とか、きいっ、『サザエさん』の弟のカツオの同級生の花沢さんのお父さんの職業くらいおぼえていてちょうだいっ、とかいったヒステリーを前にしたなら、男は尤もであると頷きながら怖がる。」
う~ん、素晴らしい表現力。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
それぞれの思いによって整形をほどこした2人の主人公の境遇が二転三転する。
外見が内面を決めるのか、内面が外見に現れるのか。 -
インパクトでは今まで読んだ本の中でも随一。整形の場面の描写のあまりのリアルさに、生まれて初めて、読んでいて吐き気を覚えた小説です。それでも読んでいてのめりこむ。考えさせられる。「確かに世の中そんなものなのかもしれない」と思う。
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二人の整形美女(?)の生き様を通して、
幸せとか世の中の基準って何なのか、考えさせられます。 -
安定して面白い。けど、少し暗いかな。著者の恋愛観、女性観がこれを読むととてもわかる。
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絶世の美女甲斐子は、売れ筋路線を目指し平凡な顔立ちに整形し、会話も曖昧な言葉しか発しないように自己改革をする。一方、平凡な顔ながらモテ人生を歩んでいた阿倍子は絶世の美女を目指して整形する。
美女=最大多数に選ばれる、いわばモテ市場美女と考える甲斐子と、自分が美しいと感じる女性と考える阿倍子。二人はお互い、自分が目指す美女である人間がわざわざブスに整形するのか理解できないが…
作者の徹底した美人論が面白い。でも「さあ、ふうん、まあ、すごい」で事足りる会話で満足する男の子なんて、別にいらん…(笑)