疑心―隠蔽捜査3― (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101321578

感想・レビュー・書評

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  • 今野さんの警察ものは最高ですね!今回はあの竜崎署長が、、、。先日今野さんの講演会に参加しました。良かったです

  • いや~、あの竜崎でさえも職場恋愛(というか片想い)に陥り心を乱すとは、ちょっと意外でした。そんなことにうつつを抜かすことはない人かと思っていましたが、そのせいで仕事に支障をきたし、今一つピリッとしない日々が続き、いつものキレがみられません。

    来日予定の米大統領のための警備体制においても窮地ち立たされるわけですが、そんな状況を救ったのはまたしても問題署員(?)の戸高。ますますキャラに磨きがかかったような活躍っぷりはなかなかカッコいいですね、日頃の斜に構えた態度とのギャップがあればこそ、でしょうか。

    そして竜崎自身も”禅”に救いを求め見事に自分を取り戻します。

    そこからの終盤、事件解決までのスピーディーな展開は見事の一言。読み手を引き込む迫力のある展開であったと思います。捜査員一人ひとりも疲れていながら獲物をみつけた高揚感で働いてしまうというような説明が出てきますが、それと同じような高揚感が読み手にも伝わり、その一端を味わうかの如く、な読後感でした。

    それにしても奥方の冴子氏はおっとりしているようで、達観した部分があり、竜崎のことを誰よりもわかっている、よくできたパートナーですね。この人がいなければ今の竜崎はいなかったかもしれません。

  • これまでの主人公からは想像できない姿をさらけ出していて違和感…。思春期を思わせるような恋心を竜崎伸也が描かれるなんて。まあ、事件解決のストーリーは楽しめたけど。

  • 前作に続き戸高の評価爆上がりかとも思ったが、戸高の報告を聞いて何も感じない竜崎は捜査官としては無能なのか、思春期を迎えてポンコツになったのか。恋に悩むおっさんの話がメインのせいか、期待したほど面白くはなかったかな。

  • このカタルシスが.....いいっ!!
    この2巻に続き、この巻も面白すぎ。

    恋愛に苦悩する竜崎さんに、どしちやったの?
    とイライラ+ジレンマで本を捨てそうになったけども
    最後の最後で逆転満塁ホームラン。
    いやもう爽快感半端ねぇっす。

    思えば水戸黄門パターンっぽい話の展開だが、いいのだ。
    日本人は黄門様パターンが大好きなのだから。

    さー続き買ってこようっと。

  • 竜崎は大森署に馴染んでいる。
    朝の新聞でアメリカ大統領来日のニュースを知る。所轄に直接知らせは無いが、大統領専用機は羽田空港に着く。大森署の管内だが三ヶ月も先のことだ、上の指示に従えばいい立場だと思っていた。

    一日署長に人気のアイドルが来て、所内は浮つき気味で雰囲気が明るかった。

    その後に見た書類で、今回の大統領来日の際、竜崎を方面警備本部の本部長にするという辞令が届いていた。警視庁内では来日の準備が始まっているのだろうが、自分が本部長とは納得できない。
    大森署は方面本部の下にある、序列から言えば管轄の署長等より方面本部長が任命されるのが筋ではないか。竜崎は間違いでは無いのか、即確かめに行く。
    警視庁の藤本警視監は磊落な人物で、方面部長からの推薦だと言い、身分は竜崎が上なのだからいいではないかという。引き受けざるを得ない状況で、それならすぐに取り掛かろう。それが竜崎流だった。

    本部の警備課から女性キャリアの畠山が来る。長身の美女だった。補佐官を命じられたと言う。かすかに覚えている程度だったが、竜崎は一目見て恋をした。


    ここからがナンだろうな・・・の展開。

    彼は夜も眠れない、同行すればワクワク、誰かと話していると嫉妬、一時も頭から離れ無い。
    悩みも理詰めである。
    これは人間の理性の範疇をはるかに超えているからだ。社会的な規範も、常識も法律も超えている、いや、そういうものとは別の次元にある。
     自分自身で制御できない感情というのは、それだけで十分に犯罪的だ。
     不倫はもちろん犯罪だ。だが、それは社会的な罪に過ぎない。恋愛自体は、社会性をはるかに超える罪悪かも知れない。
    などと考える。こういう理屈を持って回る、と言うことが既に恋愛に不向きなのだが、彼は気づきもしない。
    恵まれた家庭とキャリアを踏み潰すことになると、目標のために邁進してきた彼の常識や倫理感まで踏み外すことになる。と言う考えが又、滑稽さの上塗りをする。こんな悩みを伊丹にまで相談する。
    古今東西同じような悩みを抱えた人はかずかぎりなくいるはずだ。
    何か良い解決法はないかと書店にはいる。「葉隠れ」は武士のやせ我慢だ。
    宗教コーナーはどうだろうと、三冊買ってきた。それの中に「婆子焼庵」を見つけた。禅宗の歴史書だそうで、感じるところがあった。彼なりに今の状態から距離を置いて俯瞰する心境に近づいてくる。

    この話は読者を苦笑させてくれる、なかなかのエピソードだった。無くても良かったけれど・・・(笑)


    羽田の警備は進んでいたが、先行して来日しているCIAの職員二人は竜崎も一目おく働きぶりだった。日本人のスパイで内部からの連絡係がいるらしいと言う情報が入り、にわかに緊張感が増す。
    空港を閉鎖せよとCIAはいう。しかし竜崎は莫大な損害と利用者の不便、警護の手配などを考えて閉鎖の命令ができないでいる。軋轢が増す中で、やっとスパイたちを拘束。
    大統領を無事迎えて次の訪問地京都に送り出す。

    竜崎が指揮する警護の様子と、恋愛から開放されるには行動に移せという伊丹、戸高の地道な捜査振り、藤本警視監のいわば津川雅彦風に、豪放磊落に見える口調、話の中には登場人物の面白い華が添えてある。


    今回は竜崎のおかしな恋物語があって緊張感も余りないが。まぁ流れで読んだ。

  • うーん…今回の竜崎さんは全く格好良くなかった。妻がいるのに恋心とか全く笑えないし気持ち悪い。あそこまで支えてくれる素敵な奥様がいるのに何なんだ!!とモヤモヤがおさまらず。悟りを開いて一件落着なのかも微妙なところ…。
    この先もこんな展開があるなら無理。

  • 大統領とかよりも、竜崎さんのの恋心のほうがダントツ気になった一冊でした。なんだかんだで伊丹さんと仲良し。最後に悟りをひらくあたりは、さすが竜崎さん。事件は無事解決で今回も楽しかったです。

  • あらすじ
    アメリカ大統領の訪日が決定。大森署署長・竜崎伸也警視長は、羽田空港を含む第二方面警備本部本部長に抜擢された。やがて日本人がテロを企図しているという情報が入り、その双肩にさらなる重責がのしかかる。米シークレットサービスとの摩擦。そして、臨時に補佐を務める美しい女性キャリア・畠山美奈子へ抱いてしまった狂おしい恋心。竜崎は、この難局をいかにして乗り切るのか?-。

  • 面白かったです。
    シリーズの1作目は竜崎が好きではありませんでしたが、だんだんと彼の融通の利かなさが魅力的に感じられるようになってきました。
    器用なタイプではないけれど、自分が納得できるように動こうとする、自分の信念を貫こうとするところは好感が持てます。

    今作はアメリカ大統領の訪日とテロ対策。
    とても面白かったですが、美奈子への恋心でグダグダになる竜崎はあまり見たくなかったです。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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