真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐A〉 (新潮文庫)

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著者 : 本多孝好
  • 新潮社 (2007年6月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101322513

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真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐A〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 小さな広告代理店に勤める僕は、大学生の頃に恋人・水穂を交通事故で失って以来、きちんとした恋愛が出来ない女たらし。優秀で仕事は出来るが恐ろしい女上司の下で働いている。

    常に時計を五分遅らせる水穂の習慣になんとなく今も倣ってしまう彼は、最近別れた恋人にも「あなたは五分ぶん狂っている」と言われ、社会や他人と少しだけずれたまま日々を過ごしている。

    ある日、プールで出会った魅力的な女性かすみに頼まれ、彼女の妹ゆかりへの結婚祝いを選ぶことに。かすみはゆかりと一卵性の双子であるが故に、常にお互いの行動や選択を意識し、境界線を見失いそうになるという悩みを打ち明ける。興味深く感じた僕はかすみと共に、ゆかりとその婚約者の尾崎氏とも交流を深めていくのだが・・・

    シンクロし合うという双子の神秘的特異性は好きな異性のタイプまでも一致させてしまい、辛い想いを抱えるかすみ。その秘密に気づいたときから彼女をなんとなく意識してしまう僕。。。

    side-Bに続きます。

  • 六年前に死んだかつての恋人がそうしていたように、時計を五分遅らせ、世界と五分ズレた時間を淡々と生きる主人公。
    ある日彼は、通っている公営プールで双子のかすみに出会います。
    そこから世界が少し、あるいは大きく動き出す話の前編。

    自分が自分であることの証明は、思ったよりも難しい。というか不可能なのだろうか。(東野圭吾「パラレルワールド・ラブストーリー」を思い出します)
    まして、自分に良く似た(似すぎた)双子のゆかりがそばにいる、かすみならその思いは尚更かもしれません。

    なぜ彼は彼女じゃなくて自分を選んだのだろう。
    なぜ彼は自分じゃなくて彼女を選んだのだろう。

    答えの出ない問いはSide-Bへ続きます…。

    真夜中の五分前。
    すでにみんな新しい日を迎えているその時に、五分遅れた時計と主人公は、まだ「昨日」を持て余している。
    少しだけ、でも確実にズレている時計は、ソツなくすべてをこなしているようで、どこか一線をひいている、冷たい(性格ではなく、熱量を感じさせないという意味で)主人公を象徴しているようでした。

  • 「甘えたい衝動があり、それが甘えだという理性もあった」

    このフレーズが何故かよい。とっても簡単な文だけど、気持ちの複雑さをよく表現していると思う。
     クールで無愛想でアパティア、でも自然と周りが寄って何でもうまくいく。これがこの本の主人公の設定で、他の小説でも男性が語る場合はほとんどがこんな主人公。
     そして私たちはそんな人物にどこか憧れている。そしてその再生の物語にも憧れている。僕らが憧れるからこそ春樹的主人公で溢れかえる。
     でもこの憧れは胸を張れるものじゃない。例えるなら、廃墟の持つ引力みたいなもの。
     男性が見る理想の自分象、そこにある退廃性を本多さんはこの主人公を通して、徹底的にフィクショナルに描きだしている。まるでゴダールが撮ったミシェル・ポワカールのように。
     主人公の心、ひいてはすべての男性の心が見透かされている感じがして心地いい。そして、そのフィクションがまるで私の心のようでもあるから不思議だ。

  • 少し遅れた時計を好んで使った恋人が、六年前に死んだ。いま、小さな広告代理店に勤める僕の時間は、あの日からずっと五分ズレたままだ。
    そんな僕の前に突然現れた、一卵性双生児のかすみ。
    彼女が秘密の恋を打ち明けたとき、現実は思いもよらぬ世界へ僕を押しやった。洒落た語りも魅力的な、side‐Aから始まる新感覚の恋愛小説。
    偶然の出会いが運命の環を廻し、愛の奇蹟を奏で出す。

    やっぱり本多さんが書く人物はどれも魅力がある。
    不器用である種開き直りも見せている主人公。
    交通事故で死んでしまった、水穂。
    プールで出会うかすみ。妹のゆかり。
    ゆかりの婚約者の尾崎さん。
    べらぼうに金持ちの野毛さん。
    その他みんな個性があって面白い。

    激しい恋愛の後摩耗して、疲弊しきった時に雨宿りの様な恋がある。
    そんな風に思う。
    それは雨宿りであって、止まない雨は無いのも事実。
    だけどそれは必要であって、そこに愛が無いとも言い切れない。

    序盤の祥子との関係もそういうものだろう。
    そして主人公はそういう関係性を求めていたし、そういう人が主人公の周りに集まって来ていた。

    主人公の上司の小金井さんの恋も何気に切なすぎる。
    小金井さんの10年間にどれほど押しつぶされるような思いがあったのだろうか。

    きっと主人公が雨宿りの様な恋が出来ていたから、かすみとの関係維持できたのだと思う。
    人と人との交わるタイミングって不思議なもんだ。

    そんでもってその雨宿りが帰る所になるときだってある。
    引用させてもらえるならば、

    人生は偶然も必然も無い。ただそこにあるだけだ。

    自分もそう思う。

  • 本多孝好が面白いということと、恋愛小説が意外と面白いと教えてくれた小説。
    一卵性双生児の恋とそれを含めるミステリーさ。男の弱いところと、男の性。なによりも文章が面白い。ページを捲る度に気になる展開力も素晴らしい。一時間もあればすぐ読めるので、何回でも読んでみる。真夜中の5分前の意味はイマイチ分からなかったので☆4

    作中名言「需要なんてどこにもない。供給だけはいくらだってある。それじゃバランスが取れないから、仕方無しに価値をつけたんだ。価値をつけることによって、ありもしない需要を無理やり作り出した』
    仕事じゃない。人や恋においても通じる哲学めいた言葉。

  • この作品内は、上手く反復が使われていると思う。例えば「恋は拾うものでも買うものでもない。そういうこと、言わせないでくれる?恥ずかしいから」「恋は拾うものだし買うものですよ。拾ったものに、買ったものに、そう名前をつければいいだけです。まったく。こんなこと、言わせないで下さい。恥ずかしいから」…と言ったように。前者のセリフをうまく後者が拾う。それ以外も、飄々としすぎている主人公のセリフが非常に淡白でユーモラスでシニカルでいい。どうやら、この作品はsideAに続いてsideBを読まなければならないようなので、そちらもまた楽しみ。このままだと、ちょっといきなり終わりにハッピーエンドにしてみました?みたいな感じがあるので。。さぁ次はどう来るか!?

    (2008.03.05)


    久しぶりの再読。
    やっぱり好きなポイントは変わらないなぁっていう。
    でも昔よりじっくり行間を追ったつもりでいるので、少しは深く読みこめたかなとか。。
    この後のSIDE-Bまで含めて楽しむのです。。

  • 最後は愛してるで終わる
    恋とは何でしょう

  • 本多さんらしいと言えばらしい…。
    一卵性双生児の片割れと知り合った主人公。なんというか人間関係への執着がない、サッパリなんていいものはない感じの…しかし仕事ができるという、私からしたらうらやましい性格…。
    相変わらず悲しい感じのストーリーなんだけど、ラストはやっぱり救いがあるのよね~。

  • 最後の展開が劇的すぎてついていけなかった

  • 文庫版の前半編。

    ジャンル的には恋愛小説になるが、本作品は一般的な恋愛小説とは一線を画した恋愛小説だと感じる。あまり恋物語は好きではないが、当事者間の恋以外のところに焦点が当てられることが多いのが馴染みやすいのかもしれない。

    ヒロインが見た目や性格が全く同じ双子であり、だからこそ起こり得る展開が新鮮だった。

  • 本多孝好さんにハマっていた時に一番好きだった作品。思えば、とても斜に構えた文章を書く人だな…なのにすごく好きなんだよな。side-AとsideBがあるけど、sideAばかり読んでいた。恋は買うものだし、するものだ、という名言も、砂漠で毛布を売る話も、社会に出ていなかった私には新鮮な話だった。

  • 「時計は全部、五分遅らせることにしてるの。
    だって、人より、ちょっと得した気にならない?あら、あなたはもう十時なの?私はまだ九時五十五分よって」
    ー水穂

  • 6年前に恋人を喪ったことで、中身がからっぽになってしまった男性と、
    あまりにそっくりな一卵性双生児の片割れの存在により
    自分自身を見失ってしまった女性が出会った

    しゃれた文体で語られる
    軽い恋物語

    これがsideBでどう化けるのか
    ちょっとっ怖いような・・・

  • とらえどころのない主人公と、亡くなった元恋人との関係、職場での人間関係、そして極端に似ている一卵性双生児の一人との恋愛。おもしろくて、夢中になって読んだ。

  • 5分間の意味は今のところまだハテナ? side-B続けて読むか、何か挟むか悩むところ・・。 しかし、この人の描く主人公、言葉のチョイスが、毎回、お洒落で好き。

  • 主人公のソツなく難しい人とやっていける有能さが素敵だった。
    でも、根本的に抜け落ちていて、愛情に飢えてるんだけどそれを出さない不自然さが、人間としての気持ち悪さに繋がっていて、まともな人間たちからあまり好かれていない。
    最後は、お互いが欲しかったものを与え合う。
    (彼女は双子だとなかなか味わえない相手にとって、唯一無二の存在になれること、彼は失いたくないから何も手に入れようとしてこなかったけれど、失いたくない人に失いたくないと伝えられること)

  • 仕事にも恋愛にも何か気持ちが入らずにいる僕の心に、通っているプールで出会った一卵性双生児のかすみが風を入れた。
    6年前に失った恋人のこと、愛が何かわからないこと。
    語られる言葉があまりにも無垢で、胸に響く。

    2015.9.21

  • 広告業界 淡水魚は海には棲めないとでもいうような断定的な言い方 小岩井さん 成田さんというカメラマンの助手の原祥子さん 北陸地方の古い温泉地から依頼を受けた町興し事業 顔を見るから好きになる 逃げるから怖くなりる 笑うから楽しくなる 最高学府 君らの世代の冗談は、時々わかりにくくて困るよ ディーマイナーセブン、ジーセブン、と続けば、あとは放っておいたってシーメジャーセブンがくる。少なくとも人の耳はそう期待する。無限の組み合わせに見えるメロディーだって、それがとんでもなく前衛的なものでない限り、実際の音楽に使われる組み合わせは有限なのだ。 ずれたあなたの五分が直せたら 二十歳で死ぬ人なんていっぱいいる。そのことに特別な意味なんてない。 あいつ、早生まれだったから、まだ十九だった? 個人的かつ自発的な付き合いだ 名前も知らない美人から誘われるというのは、この世界では、大概、悪い兆しだ。 その退屈はちょっとした冒険心を生み出す プラグマティック実利的 少なくとも、もっとソリッドなものを感じられた。 砂漠で毛布を売っても成功しそうな気がするよ 不必要なものは人を醜くするんだ。でも、そうしなきゃ、もう世界は回らないんだよ。 衣食住だけで満足されちゃ、世界は回らない。 官僚の家系 霞ヶ関 個性だのアイデンティティーだのと騒ぎ立てる世間の悩み 自立してない子供 ただのマリッジブルー 自立と成長について 家に帰ってガキの顔を見りゃ何だか生きてる張りも出てくる 会員制のテニスクラブ もう三十一だから。遊び足りないって年でもないし 一卵性双生児の場合を除いて、まったく同じ遺伝子を持つ人間が存在する確率って知ってます?人類の歴史を三回やり直すんだろ? 「同じことだよ。男にとって、女性を慰めるのと、口説くのとの間に大きな違いはない。猿と人くらいの違いしかない」「何のサークルだったかな。忘れちゃったよ。テニスとか、何かその手のサークルだったけど、本当の目的は生殖だね。だから主催しているほうだって、名目なんてどうでもよかったんだろう。そういう、どこにでもありそうなサークル」「恋は拾うものだし、買うものですよ。拾ったものに、買ったものに、そう名前をつければいいだけです。まったく」崩れて、そこから現れたものに僕は名前をつけた「愛してる」

  • すごく独特の文体というか、恋愛小説を描くイメージがなかった作家さんだけに、期待度は高かった。
    終わり方がすっきりしていたから続編がある感じじゃなかったけど、続編読んだ方がすっきりしなくなっちゃったかも。

  • 2周目読了。ふあああ、しびれた…!震えたよう。
    というか私は多分彼がものすごくタイプなんだな、きっと。

    初めに読んだときよりかすみさんに対する印象があまり良くなかったのはそれだけ私が歳をとったからなんだろうか。

    --
    なにかをする理由より、なにかをしない理由のほうが必要になる。
    --

    水穂の時もそうだけど、恋人になってしまったほうが楽なことってきっと沢山ある。友達のままで居ることってきっととっても難しいんだ。

  • 久しぶりに恋愛系の小説で面白いものに出会った。

  • 昔恋人を喪ったことで、世の中に交わりきれない生き方しかできなくなった男性と、
    見た目だけでなく中身にも差異のない一卵性双生児の片割れの存在によりアイデンティティを確立しきれずにいる女性の苦悩と恋愛を描いた作品。

    自分から見て、他人から見て、自分が他の誰でもない自分であることはどこから生まれてくるのか、陳腐な疑問かも知れないけれど「自分らしさとは」ということを強く考えさせられる。

    10年前、まだ上記の疑問に悩むことの多かった高校生の頃に出会って以来、人間関係で悩んだときはふと読み返してしまう。
    未だに自分らしさへの答えは出ないけれど、本書を読み返す度に少しずつ違う視点を持てるようになっていて、その一つ一つの積み重ねから自分らしさが生まれるのではないか、と今は考えている。

  • 悲しみを背負った男性のなんとか生活を進める話?

  • 恋愛も仕事もそつなくこなすクールな主人公。亡くなった恋人とは時計を5分遅らす彼女の習慣を受け継いだだけで心は残していない。
    そんな印象の主人公だったけど、一卵性双子のかすみと出逢い少しずつ変わってくる。
    最初のイメージと違って本当は心優しく律儀な好青年のよう?
    時計を遅らす伏線がとういきてくるのか、sideB を早く読まなくちゃ。

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真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐A〉 (新潮文庫)の作品紹介

少し遅れた時計を好んで使った恋人が、六年前に死んだ。いま、小さな広告代理店に勤める僕の時間は、あの日からずっと五分ズレたままだ。そんな僕の前に突然現れた、一卵性双生児のかすみ。彼女が秘密の恋を打ち明けたとき、現実は思いもよらぬ世界へ僕を押しやった。洒落た語りも魅力的な、side‐Aから始まる新感覚の恋愛小説。偶然の出会いが運命の環を廻し、愛の奇蹟を奏で出す。

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