真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐B〉 (新潮文庫)
- 新潮社 (2007年6月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101322520
作品紹介・あらすじ
かすみとの偶然の出会いは、過去の恋に縛られていた僕の人生を大きく動かした。あれから二年、転職した僕の前にひとりの男が訪ねてきた。そして、かすみとその妹ゆかりを思い出させずにはおかぬこの男が、信じられない話を切り出した。物語は、驚愕のエンディングが待つside‐Bへ。今日と明日をつなぐ五分間の隙間を破り、魂震わす極限の愛が生まれる。
感想・レビュー・書評
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side-Aとside-Bを一気に読みました。
お陰でちょっと寝不足気味です。。。
読み進める中で、自分について何度も考え込んでしまうタイミングがあり、非常に悩みながら、じっくり考える事が出来た2冊でした。
世の中の事を「仕組み」として割り切って考える事が出来る若さと強さ。
そして時間の流れという重さ。
20代の頃に好んで読んでいた本と、40代となった今の趣向が違うように、時間と経験が良くも悪くも、人を変えてくれます。
随所に登場する主人公からするとちょいダサのオッサン達もいい味をだしてくれてて。まさに「年寄りの説得力」を感じました。
本多孝好さんの本はいつも考えさせられる。
本多氏おそるべし。
ちなみにside-Aを読んでいた時、うっすらとノルウェイの森が頭に浮かんだのはなぜだろう。。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
尾崎氏への想いを断ちきったかすみに5分間の狂気から救い出された僕はある日唐突に彼女を喪う。姉妹水入らずで出かけたスペインで事故に遭い、助かったのはゆかりのみ。それ以来尾崎氏ともゆかりとも交流を絶った彼は、久しぶりに尾崎氏から呼び出されるのだが・・・
共に暮らす妻が本当に自分が選んで結婚したゆかりなのか、分からなくなり、憔悴した尾崎氏は残酷な願いを口にする。「ゆかりに会って欲しい」と。
同じ見た目、同じ遺伝子、性格も共有する記憶までもほぼ同じ一卵性双生児・・・知り合いに一卵性双生児の姉妹がいるが、どちらがどちらなのかほとんど実際見分けがつかない。髪型や話す内容で見分けるだけだ。
尾崎氏の妻として生き残ったのは本当にゆかりだったのだろうか。
主人公である僕にも感情移入しにくかったし、なんだかすっきりしない。
最後に、本多氏はこの作品についてこう語っている。
『これは恋愛関係でなく恋愛感情を書いたエンターテインメント小説です。いわゆる「純愛もの」を期待されると、少し違った印象を受ける小説だと思います。それを期待されている方には「こういう恋愛小説はどうでしょう?」と挑むつもりで書きました。逆に「純愛って、いや、ちょっと」という方には、「わかる。僕もそうだから。じゃ、これならどう?」と、そう言いたい小説です。
きっちりと構成を組んでから書き始めたわけではありません。これを書いている間、「これは本当にエンターテイメント小説として成立するのだろうか」という迷いを常に抱えていました。原稿用紙にして四百枚を越えても物語の終わり方が見えず、「これが小説として成立しなかったら、次に本を出せるのはいったい何年後だろう」と暗澹とすることもしばしばでした。その原稿を自分としては納得のいく物語に仕上げることができて、今はただただほっとしています。今度は、この物語を読んでくれた方々がその中に何を描き上げてくれるのか、著者としてとても楽しみにしています。』 -
必ず前後編と巻が分かれていることが重要。結末はあまり覚えてないからもう一回サラッと読んでも良いかもしれない。
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ほっとするようなSide-Aのラストから一転、Side-Bの冒頭は、後ろから頭をガツンと殴られたような大きな衝撃から始まります。
恋人を失うということと、「自分は誰なのか」という答えのない問いと少しずつ向き合っていく主人公は、乾いたアスファルトに雨がしみ込んでいくように、じわじわと少しずつ熱量を取り戻していきます。
そしてずっと守っていた堤防が決壊するシーンでは、読んでいる私まで堤防決壊!笑
「なあ、今の君に今の僕はどんな風に見える?」
結局は、それが唯一の答えで、一番大切な守るべきことのような気がします。
真夜中の五分前―以前なら「昨日」に取り残されてるような主人公だったけれど、今は"five minutes to tomorrow"―明日に続く5分間が、過去と向き合い、明るい明日に向かうための大切な五分間に変わったような印象を受けるラストでした。
今日の最後の五分間、私は何を想おうか。 -
人間をかたち作っているものや
恋愛とは何かなどに果敢に挑んでると思います。
ただ、個人の存在の問題に双子を使うんだったら、
更に踏み込んだアプローチの仕方がほしかった。
本作者は、色々な難しい問題に取り組んでくれてるため、
これからも読んでいきたいです。 -
軽い気持ちで読み始め、夜中に読み終えた。
明日仕事が休みで良かった…
それぐらい個人的には気に入りました。
なんか読み終えて心がざわつくような、でも読んで良かったと思える作品。