真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐B〉 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101322520

感想・レビュー・書評

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  • side-Aとside-Bを一気に読みました。
    お陰でちょっと寝不足気味です。。。

    読み進める中で、自分について何度も考え込んでしまうタイミングがあり、非常に悩みながら、じっくり考える事が出来た2冊でした。

    世の中の事を「仕組み」として割り切って考える事が出来る若さと強さ。
    そして時間の流れという重さ。

    20代の頃に好んで読んでいた本と、40代となった今の趣向が違うように、時間と経験が良くも悪くも、人を変えてくれます。
    随所に登場する主人公からするとちょいダサのオッサン達もいい味をだしてくれてて。まさに「年寄りの説得力」を感じました。

    本多孝好さんの本はいつも考えさせられる。
    本多氏おそるべし。
    ちなみにside-Aを読んでいた時、うっすらとノルウェイの森が頭に浮かんだのはなぜだろう。。。

  • 必ず前後編と巻が分かれていることが重要。結末はあまり覚えてないからもう一回サラッと読んでも良いかもしれない。

  • ストーリーも最高に面白いながら考えさせられた点を書き残しておきたい。

    かすみとゆかり。
    一卵性双生児の二人が2つの人生を共有しあい、かすみの中のかすみとゆかり、ゆかりの中のかすみとゆかり、お互いの中で2人が存在し4人の人格が存在している感じにも見える。しかし逆に二人で1つの人格の形成も無意識に行っているようにも感じられる不思議さ。本来1人ずつの人格なので2つのはずがそうならない混乱が薄気味悪く残る。
    かすみの死はそこを決定づけてしまうもので、周りの人間達の混乱ぷり、本人ですら分からなくなるほどの様子。
    自分達は一体本当に何をみて認識しながら確認しながら暮らしているのかが分からなくなってきた。
    次の日が今日の延長で同じ継続線上の「当たり前」の普遍性を伴うものと何故信じられるのか?疑った事もないような気がする。
    自分が曖昧で漠然と処理しすぎている事への疑問すら覚えた。不思議な作品となった。

  •  真夜中の五分前

    本多孝好さんらしいスラスラと読める文章でした。
    性格やしぐさも似ている一卵性の双子に
    恋をするという設定で、どうして「片方」の子じゃないと
    だめなんだろう、と考えさせられました。
    孝好さんの答えは「その人と過ごした時間、思い出」かな?
    人を好きになるのに定義なんていらないと思うけれど、
    私も孝好さんに同意でした。

    特にラストのシーンが大好きで、
    そのシーンを何度も読み直しました。
    感動するというより、酔うというような感覚でした。
    暗闇に溶けながら、時計の秒針の音を聞く。
    そんな情景が思い浮かびます。
    「好きだった人のことを忘れてしまうのはどうして?
    ほんとうに大好きだったのに。」
    新しい恋をしたときにふと疑問に思うときがあります。
    今この瞬間も過去としてなくなってしまうんじゃないかと
    怖くなります。
    でもラストシーンを見てモヤモヤが晴れました。
    切ないようで、あったかい。

    長くなりました。

  • 軽い気持ちで読み始め、夜中に読み終えた。
    明日仕事が休みで良かった…
    それぐらい個人的には気に入りました。
    なんか読み終えて心がざわつくような、でも読んで良かったと思える作品。

  • かすみとの偶然の出会いは、過去の恋に縛られていた僕の人生を大きく動かした。
    あれから二年、転職した僕の前にひとりの男が訪ねてきた。
    そして、かすみとその妹ゆかりを思い出さずにはおかぬこの男が、信じられない話を切り出した。
    物語は、驚愕のエンディングが待つside-Bへ。
    今日と明日をつなぐ五分間の隙間を破り、魂震わす極限の愛が生まれる。
    (必ずside-Aから読んでください)

    読み始めからマジかよって驚いた。
    野毛さんとの関係がなんとなく良い。
    近すぎず遠すぎず。嫌気がさしてる世の中だけど、そんな世の中でしか生きられない野毛さんが結構いい味出してると思う。

    sideAから2年後のお話。
    その2年の間に大きく変化を遂げている。
    小金井さんは会社を辞めてしまうし、
    主人公も会社を辞め、
    ゆかりとかすみはスペインの列車事故に遭う。
    かすみが死んでしまって、ゆかりは生き残る。

    一卵性双生児だからこそ描ける作品。
    本当はどちらが生き残ったのだろうか。

    途中に出てくるロザリオの話。
    漫画家志望の占い師の話。

    そういう事を加味すると、きっとかすみが生き残ったのだと思う。
    熱を出したあの夜の夢で未来を知っていたのではないかな。とか想像してしまう。

    そこまでも2人の記憶をそこまで共有できたのは、
    きっとどちらも愛したかすみしか出来ないと思う。

    でもかすみが死んでしまった事で、主人公は長年のけじめをようやくつける事が出来た。
    本当に人生とはただそうあるだけだけど、
    ただある中にも救いはある。

    世界から取り残された5分間。
    そういう過去と未来の区切りの付け方も悪くないと思う。

  • side-Aにつづきside-B。
    冒頭を読んだときは、side-Bいらないんじゃないか...と思ったが、読み進めていくとやはり、二つで一つの物語なのだ、読んでよかったと思える。
    本当に読んでよかった。

  • 前作が甘い終わり方をしていたので
    このsideBは最高の裏側といった感じ

    前作がただの序章に過ぎなかったと思わせる強烈な展開に大興奮してしまった。

    また読み直してフレーズ残したい。

  • 秀逸

  • 2周目読了。
    初め読んだとき、Side-Aにはかなわないと思った。でも改めて読んでSide-Bもものすごいよかった。

    あと出てくるひとの魅力が半端ないな。
    私は野毛さんと小金井さんがほんとにすき。

    小金井さんみたいな上司についていきたい。

著者プロフィール

1971年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1994年「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞。‘99年、『MISSING』で単行本デビュー、「このミステリーがすごい! 2000年版」でトップ10入りするなど高く評価され、脚光を浴びる。以後、恋愛、青春小説を超えた新しい静謐なエンターテインメント作品を上梓、常に読者の圧倒的支持を得ている。その他の作品に『正義のミカタ』『MOMENT』『WILL』『魔術師の視線』『君の隣に』など。『dele』では原案と脚本を担当し、山田孝之と菅田将暉主演でドラマ化された。

「2021年 『チェーン・ポイズン <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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