葉桜の日 (新潮文庫)
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この作品からのみんなの引用
みんなの感想・レビュー・書評
90年代の、どこか抜けきってしまった力と言うものを感じました。芥川賞候補作よりもう1つの短編の方が少し良く感じたのは、設定の良い意味での普遍性があったからかも知れない。
初鷺沢萠作品。「葉桜の日」で大きく胸を揺さぶられ、「果実の舟を川に流して」を読むまでに数日を要してしまった。
繊細かつ瑞々しい感性で綴られる文章に“胸の芯が火照る”思いがした。
20歳前後でこの作品を書いたとされ、私は今24歳なのだが、年齢が近いからこそ分かるものがあるのか、健二に自分を重ねたりした。
山田太一氏の解説とは違い、私はこの作品に若さを感じ、20代の鷺沢作品をもっと読みたいと思った。作品に浸るだけでなく考えさせられるような深さと、若いと感じてしまう軽やかさを兼ね備えた作品。読後、心が充実しています。
短編二つ。表題作よりも「果実の舟を川に流して」の方がすきだった。
課題にあたって現代小説が読みたかったので借りた。最近全く読んでなかったから忘れ去ってたもんで…。選んだ理由は、現代作家には珍しく自殺したことを高校の国語便覧で見たのを覚えてたから。割と趣味が悪い。
表題作、在日二世外国人の悲哀。
果実~は順調に生きてきたエリートが、母が殺されることで転落して飲み屋で働く。道を外れた今とその仲間を受け入れながらも、密かに息づく「まとも」な人間への自負と嫉妬の描写が非常に鮮やか。主人公に、母が殺されたことについては仕方ない、というような諦めがあったのが印象的。
どちらの短編も個人にとっての国家の問題が絡んでいる。この人の根幹はここなのかな。
解説では女であることと若いことを武器にして語らないのは珍しいと。確かに…
桜が散る頃になると、どうしてもこの小説のことを思い出してしまう。(鷺沢 萠さんが35歳で自殺してしまって、もうこの世にいないからかもしれないけれど・・・) 上智大学の学生だったころに「少年たちの終わらない夜」でデビュー。「帰れぬ人びと」「海の鳥・空の魚」「スタイリッシュ・キッズ」と続けて出版した後の、「葉桜の日」。これらのタイトルをみただけでも、いかに言葉のセンスのある人かわかりますでしょ?... 続きを読む »
「葉桜の日」と「果実の舟を川に流して」の2作を収録。どちらも決して悪くはないけれども、例えば「ウェルカム・ホーム」だとかと比べるとやはり見劣りする感は否めない。個人的には「果実の舟を川に流して」のが好きでした。あのけだるい感じの雰囲気が好き。
2作品入っている。
世間の暗い部分を切なく盛り込ませながら、それでも悲観的になりすぎていない部分に味がある。
私は、後半の「果実の船を川に流して」の方が好きだったが、前半の「葉桜の日」の「僕は、誰なんだ」と言うフレーズが非常に印象的だった。
鷺沢萠という夭折の作家のデビュー作。恐らく10代の頃の作品だと思うのだけれど、10代の女の子が書いたとは思えないほどの完成度。そして、信じられないほどの「静かな感性」。実は、彼女の作品では、この作品が一番好き。
いいですねー。この人前、何読んだんだっけ。
割と昔の人なのに、時代も若さも性別も感じさせない、いい作家。
鷺沢さんが上智の学生のころに書かれた作品です。長老みさわさんのレビューを読んで読みたくなり手にとりました。私、鷺沢さんの作品はかなり読んでいるつもりだったのに、これは初読だったんですよ。しっかり後年のテーマが取り上げられていて、でも、ミステリー的要素も取り入れてある。登場人物たちの個性が立ち上がってくるところがうまいなぁ・・と感嘆しました。学生の書いたもので感動したのは、よしもとばななさんの「ムーンライトシャドウ」以来かなぁ。謎は謎で引っ張りながらもストンと解明、でも、その背景については読者に考える余地を与える・・・。改めて、惜しい人を亡くしたものだと思います。お綺麗な写真も載っていて、悲しかったです。
すごいなぁ。20歳や21歳で書いたとはとても思えない。10代で作家デビューして大きな賞を受賞する作家は今も昔もいるけれど、(読んでもいないのに言ってしまえば)著者の行動半径の5キロメートル以内位のよしなしごとを描いているものが多いと思う。社会の何がしかについてその著者の目線で描いたものが作品な訳だから、作品の内容が若々しくなるのはいわば当然のことなのだ。収録された2作品は、文庫解説の山田太一さんが... 続きを読む »
鷺沢さんの本。この作品は彼女が21歳、22歳のときに書いた短編が2作入っている。<Br><Br> 解説で山田太一が言っているように、本当にすばらしい作家だ。<br>若さを女性を感じさせない落ち着いたしっかりした作品。確かに。<br><br>帰れぬ人々よりは微妙だが。でも、やっぱり落ち着いた素敵な小説を書く人だ。
「葉桜の日」と「果実の舟を川に流して」の二作。過去にどう向き合い、今をどう生きるか。二作に共通するテーマはこれだと僕は思った。「葉桜の日」では、自分の出生、いわば生まれ背負った宿命に対し、目をそむけながらも強気に生きる志賀さんが印象的だ。「果実〜」では、生きていく過程で生じたズレをどこかで引きずりながらも、陽気に生きようとする人達がたくましい。僕は過去を割り切って生きれるほど強いタイプではないので(笑)、この作品には非常に考えさせられる部分が多かった。それにしても、若くしてこれほど素晴らしい小説をお書きになった鷺沢さんはやはりすごいと改めて感じた。ご冥福をお祈りしたい。

<主な登場人物>
ジョージ…身寄りのいない、19歳。
志賀さん…ジョージの養母。女社長。
おやじ…志賀さんが父親のように慕う人物。
明美さん…かつてジョージと志賀さんと一緒に暮らしていた。
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