絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)

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著者 : 石井光太
  • 新潮社 (2011年6月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101325323

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絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 出版された時から、ずっと読みたいと思いつつ、今になった。南米旅行に持って行って読む。

    いろいろ知ることができて良かった。

    特に考えさせられたこと。
    海外に行った時に、子供が売り子になっているのに会うたび、ちょっと気分が暗くなっていた。私は買ったことがない。しかし、これを読んで、彼ら彼女らから買うことが、自分にできることの1つであると教えられた。どちらかというと逆の気持ちでいた。買うことによって、子供が働かされることを肯定することになるのではないかと。しかし、そんな考えは綺麗事で何の意味もなさないということに気付かされた。ペルーでも、少年少女が売り子になってお土産物を売っていた。いつも同様、まず売り物自体に興味がない。なので買わなかった。しかし、現地の日本人ガイドさんは買ってあげて欲しそうにしていた。この稼ぎで進学して、ガイドになった子もいるという話もされた。その時、まだこの本を読んでなかった私は、買わなかったが、買うべきだったと今は思う。南米まで旅行に来るだけのお金を持っている日本人が、なぜ5ドルのお土産を買うことをしないのか、と今は思う。でもそれは、この本を読んだから。

    海外の貧困を知るにつけ、自分は一体何ができるのか、どうしたら解決に近づけるのかと思っていたが、大きく変えることなんて私には無理。それなら、まず自分のできることから、難しい理屈抜きですることなんだと気付かされた。これは私にとって、新しい発見となった。

  • 世界の貧困、格差、不平等などといったキーワードに関心を抱かせてくれた初めての一冊。

  • 内容はともかく、このような本を実体験に基づいて上梓できたことはすごい。よく生存してきたな、と思ったり。

    今いる場所で命の危険にさらされていないのならば、その場所に感謝しながら精いっぱい楽しむ、というのもありかな、と思ったり。

    払ってもいい金額:1000円

  • 貧困は悲惨を生む。
    インドでは物乞いビジネスのために赤ん坊がレンタルされ、成長してくると、目をつぶし足を切断し物乞いをさせる。
    お金のためにそこまでする。
    しかし、目をつぶされた子は逃げることができない。
    ゆえにマフィアに飼われながら、生きるしかない。
    そのうちに、目をつぶされたのは、自分が悪いからだと思いこむようになる。
    悲惨としか言いようがない。
    それに比べれば、不況だ何だと言ったって、日本は豊かだ。
    圧倒的に豊かだ。
    街を歩いて、多くの物乞いを見ることはない。ストリートチルドレンと出会うこともない。
    日本をいまの日本たらしめた、過去の日本人に感謝。日本という国そのものに感謝。

  • 世界には一日1ドル以下で生活している人が12億人(世界人口の約5人に1人)、一日2ドル以下では30億人(約2人に1人)だという。
    その多くは発展途上国の人々であることは容易に想像できるが、改めてたった1ドルや2ドルで生活している人々がこれだけいることに驚かされる。
    この本は2009年に出版されたものであるが、この現状はほとんど変わっていないであろう。著者が世界のいろいろな国、地域で実際に接し、あるときは一緒に生活をし、取材した生々しい現実、ルポルタージュである。我々が知るこういった貧困の実態や彼らの生活は、報道で取り上げられるある一面でしかないことがよくわかる。辛い、悲しい、かわいそうといった感情もあるがそこに暮らす人々はそこでなんとか生き抜いていかなければならないのである。生きるためには動物のように路上で寝起きも排泄もしなければならなかったり、犯罪行為さえいとわない。ある意味彼らのたくましさを感じさせる。
    教育を受ける機会もない人々にとっては、道徳や宗教、倫理といったものも我々の社会とは全く違う。自分が置かれた立場で生き抜くためには他の社会規範は無用ともいえるのだ。
    いったい私達は彼らに何をするべきなのか?手を拱いていいのか?著者もいっているが、これに対する唯一絶対の回答はない。私達それぞれが自分の考えで何をするべきか、回答は多様で個人の行動は微々たるものであっても少しでも前進させていかなくてはならない問題であろう。

  • 社会の階層を上るどころか、それ以上は下がることのない、いわば絶対零度の最下層を生きる世界の人々。かれらと生活をともにすることでしか得られない体験にもとづいて、本書は書かれています。

    現状を訴えるような気概は抑え気味で、文体も講義形式でやさしく書かれています。
    瀬谷ルミ子さんの『職業は武装解除』と合わせて、おススメです。

  • 普通に生きていては知ることのできない真実を教えてくれます。
    彼らが普通に生きていて大変なことは知っていても、それは「大変な人生を生きている」という記号であって、殆どの人がその生について考えてみたことはないんじゃないでしょうか?

    ただ、少し広く浅くな内容だったので、著者の他の本も見てみようと思います。

  • 世界の貧民街を実際に歩き、時に共に生活し実体を目の当たりにした筆者のルポタージュ。ルポタージュというか、筆者の接した貧民、といった感じ。一人一人とじっくり向き合うのではなく、さらっといくつかのエピソードを軽い分析を交えて語られる。うーん、世界のどこかにある貧困というイメージから否めない。世界が遠い。あくまで筆者はお客さんであり、特に男性であるため売春婦の心情が全く語られない。表層だけ。「貧しい中でも必死に笑顔で生きる子供」というマスコミによくクローズアップされる姿は、それが求心力を持っているからなのだと分かった。

  • なんとなくバラバラと古本で購入したら、物乞う仏陀と同じ著者だったので連続して読んだ。前者よりはるかに落ち着いて、彼らの社会に飛び込んだ経験を自身の言葉で語っている。非常に興味深かった。オカマが主人公の章では、彼女という代名詞を使っているところに著者の温かさを感じる。

  • 今こうして過ごしている時も世界のどこかではこんな生活をしているのか、と改めて認識した。こんなにも貧困は近くにあるのだと。

    ただ、とても読みやすい文体でぱっと読めるので、重い話という印象は受けない。貧困を詳しく知ろうとするならば向かないけれども、貧困を知るきっかけにふさわしい本だと思う。

    中高生の時に読んでいたらぁ..と思う。

  • 「現場」に身を置いて
    自分の目で見て
    自分の耳で聞いて
    自分で匂って
    自分で味わって
    自分の言葉で語る
    筆者のスタンスがすばらしい

    きちんと まっとうに 「これから」を考えさせられる一冊です

  • 主にアジア・中東・アフリカを中心とした貧困地帯のルポ。
    途上国の路上生活者や売春婦、ストリートチルドレンなど1日1,2食取るのがやっとな貧しい人たちの生活を生々しく取材しています。
    が、作者の視点はそこまで悲惨さだけを見つめるのではなく(もちろん悲惨なんだけど)、貧しくもたくましい生き様を、ユーモアを交えて語っています。
    悲惨なだけではないところも含めて、視点が暖かく面白かったです。
    日本人にとっては遠い国のことだけど、確実に同じ世界で起きている貧困の現実を知る事は必要なんだなと思います。
    語り口が平易でさらっと読めるしお勧め。

  • 途上国のスラムで生活しながら取材したルポタージュ。
    あまりこういうテーマに関心のない人に読んでもらいたい。
    筆者が実際に路上だったりスラムで寝泊まりしながら見たもの、
    ってところで、深いとこまで書けてるのかなぁとも思う気もする。
    けど、まぁ、ルポタージュだからしょうがないのかもしれないけど、
    どうもセンセーショナルというか、なんかしっくりこないとこもあった。
    でも、私がそこに行って見たわけでもないので、なんとも言えないけど・・・
    やっぱり女性や子供は貧困下だと犠牲になりやすいよね。
    戦後の日本もバラックみたいなとこで暮らして、まさに、ここでいう
    スラムみたいなもんだったと思うんだけど、実際どうなんだろ。
    でも、その日本が今これだけ豊かになってるんだから、
    途上国ってやっぱ伸びしろもあるよね。
    1人でも多くの人が生き方を選べるような社会が作れたらいいなぁ。

  • 目を開かれるとはまさにこのこと。僕の中の貧困のイメージはまさにステレオタイプでした。それを打ち砕き、一枚に切り取られた絵からも色々な背景を想像することができる学びがありました。

  • ストリートチルドレン・スラム街・売春等々。想像し難い生活を貧困層の目線でユーモラスに書かれている。わかりやすく、少し身近な事象として捉えるようになった。同氏の別の作品も読んでみたい。

  • 著者がアジア、中東、アフリカに趣き、生で見た貧困の現状を講義のように扱う。
    語り下しで、ユーモアも交えつつ書かれている。

    路上生活者、貧困層が貧しさに喘ぎ、そんな中でも涙ぐましい努力を重ねて美しく生きているから募金しましょう、というステレオタイプな見方で十把一絡げにすることが、いかに無意味か分かった。
    カネの稼ぎ方、恋愛結婚セックス、ヒエラルキー等、ナマの様子が手に取るように描かれていた。

    HIVや売春、臓器や人身売買など、当局が規制したところで他にやっていく方法がない。
    ないなりに、割りきってい行動している様に問題の根深さ、複雑さを垣間見た気がした。

  • 貧困民の目線で書かれている本。

    本の中に
    “貧困の中にも明るく元気で生きるたくましい子供たち”というような番組を見てほっとしますが、番組にならないところでは何倍もの死が横たわっている。

    「仕事は大変だよ。けど、悲しんでいても生きていけないよ。だから今を笑って生きたいの。」と語る女の子。
    日本のテレビ番組には、こういうシーンを撮って、こういうセリフを乗せれば、番組として出来上がり。それ以外はNG。という変な方程式がある。
    とあった。

    でも、この子の生きていくには私たちの想像を超えたテレビからは伝わってこない“生きる”という意味がある。
    私たちが笑顔を見てほっとできるような現実ではない。

    何かがあった時1番に犠牲になる人たちを、必要悪として利用するときは利用し。邪魔になれば排除し。
    同じ人なのに…。
    ただ、生まれた場所が私と違うだけなのに。

    1日に1ドルで生活している人は世界全体で約5人に1人
    1日に2ドルで生活している人は約2人に1人

    問題が大きすぎて思うように伝えられなけれど、是非手に取って読んでもらいたいと思う。

  • P138の「インドネシアの人口ピラミッド」の話が自分には一番興味深かった。
    講義調でさくさく読み進めやすい。
    現場を見に行きたくなるような興味を惹かれるルポルタージュでした。
    世界に貧困層はたくさんいてそういった国に経済支援を~とかそういうのはよく耳にするけど、そういう人がいったいどんな生活をしているかって案外知らないものだと気付かされました。

  • いろいろな意味で目が覚める。

    なんの因果か今こうして日本に生まれ出て、生活していることはものすごい確率なのだろう。
    何をするか何もしないかは問題ではないが、先ずはこの現実を知ることができただけでも感謝したい。

  • 平成23年刊行(単行本は21年)。アジア・中東・アフリカの貧困事情を体験的にルポしたもの。スラムなどで生きる人々の日常を暖かい文体で切り取ったものだが、内容はハード。著者の言うように簡単に結論が出ない問題も多い(物乞い、売春、傭兵に行くストリートチルドレンなど)。「赤子を物乞い業のためにレンタルしていた女性が、その赤子に情が移り、レンタル元のマフィアから逃げ出そう」とする話(結局女は殺され、少女は売春宿に売られてしまう)は苦い珈琲を一気飲みした気分。また、売春宿に住まう女性の以下の発言は、複雑な気分。
    また、物乞いをさせるべく、障害を負わせたマフィアに対して、被害者たるその障害者が庇う構図は痛ましい。あるいは、HIV感染を知りつつ生きるために売春を繰り返す女性(「私も他に生きていく術がない」「できるだけ感染しないようコンドームを二重にして…もらっている」「着用をいやだと言って殴ってきても土下座して頼んでいる」発言あり)の存在も論評などできない重さを突きつけるのだ。また、傭兵になった元ストリートチルドレンの少年兵は、ここでしか自尊心を回復しないことを赤裸々に語る。読み応え十分の一冊。
    「わたしは、娘を絶対に売春婦にさせたくない」「だから…売春婦になって働いている」「そうすればご飯も食べさせてあげられるし…学校に通わせてあげられる」「娘が大きくなれば…私を軽蔑する…けどそうなってくれれば、彼女は売春婦になることはなくなるはず」。六年後、その娘はペラペラの英語を話し、他のスラム在住民が行かない高校に進学していた。これに対する著者の見解も秀逸で、このようなルポをまとめた著者に感服する。

  • 厳しい現実に向き合う。
    そして自分。

  • 著者のエッセイという感じで、ひとつひとつがあまり深堀りされていなかったので少し物足りなかった。
    ただハッとさせられたことは多い。例えば、貧しい人は食べ物に一度熱を通すということ。なぜなら新鮮な食材なんて手に入らず、何日も食いつがなくてはならないから。その点でいうと、生の魚を食べる日本はやっぱり豊かなのかもしれない、と。

  • 著者本人が体験した世界の貧困事情について、統計もないがしろにすることなく、非常に読みやすく且つ生々しい文章で書かれている.一気読み可能.

  • 15.nov.1

    画一的に途上国の貧困を語らず、様々なケースから分析しようとする試みを「貧困学」と名付け、講義風に展開していく本。

    今までに読んだルポに出てたようなケースも紹介されてたかな。

    読んでて一番気になったのは「オカマ」という言葉。これは蔑称じゃないのかな?
    今まで読んだ筆者の本にはMtFとして心から女性になりたいと思い手術等で身体を女性に近づけ売春を行う人もいれば、心は男性だけど商売のために豊胸したりする人もいたように思う。それらの人たちを「オカマ」と一括りにするのは違うと思う。

    売春が女性の最後の頼みの綱(セーフティネット?)として機能したり、国によっては一大産業として発展しているとはいえ、売春をできるだけ肯定したくない自分がいることを思い知らされた。

    「女を買う」という表現にはどうしても虫唾が走るし、幼い子が身体を売らざるを得ない状況と、それを買う大人の男が確実にいるという事実、乱暴されたり男性側が避妊を拒んだが故に妊娠したり性病に感染する女性がいるということを考えると、望まない売春がこの世から無くなればいいと願わずにはいられない。

    これを読んで自分が何をすべきか。巻末にもあったが自分で考えた答えを見つけなければならない。
    私は自分の見える範囲の人たちには最大限施しをしたいと思った。いつか旅行先で物乞いや物売りに会うことがあるだろう。そのとき「この人には救われてほしい」という人に出会ったら躊躇なく手を差し伸べられる人でありたいとなんとなく決意した。

  • 2015新潮文庫の100冊

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絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)の作品紹介

絶対貧困-世界人口約67億人のうち、1日をわずか1ドル以下で暮らす人々が12億人もいるという。だが、「貧しさ」はあまりにも画一的に語られてはいないか。スラムにも、悲惨な生活がある一方で、逞しく稼ぎ、恋愛をし、子供を産み育てる営みがある。アジア、中東からアフリカまで、彼らは如何なる社会に生きて、衣・食・住を得ているのか。貧困への眼差しを一転させる渾身の全14講。

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