レンタルチャイルド―神に弄ばれる貧しき子供たち (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101325330

感想・レビュー・書評

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  • 小難しい話ではなくて、物語のように進んでいくので、読みやすかった。
    時代の流れとともに変わっていく物乞いたちの姿。現在の彼らの姿が気になった。
    この歳だから読めたけど、もう少し若い時に手に取っていたら読めなかったかもしれない。それだけ辛い内容だった。本当にこんなことがあったのだろうか。読んでよかった。

  • 読みながらふと、エッセイ・ノンフィクションと、小説を読む違いについて思った。エッセイ・ノンフィクションは、問題があらかじめ提示されているけれど、小説は何を問題にするのか自分で考えなくてはいけない。それが、小説を読むしんどさなんだろうなあと。

  • インドで乞食をするために哀れみを得ようと、手を切断されたり目をつぶされたりする者がいる。そうした現状に入り込みねなぜそのようなことが行われているのかを探っている。レンタルチャイルドとは女が物乞いをするときに子供を連れていた方が喜捨がもらえる可能性が高いためマフィアがさらってきた子供を借りている、その子供である。

  • 15.oct.25

    一気に読んだ。一つ一つゆっくり噛みしめるのが怖かった。「事実は小説より奇なり」と言うが小説よりも残酷で救いがない。

    2002年、2004年、2008年の3回に渡って著者がインド・ムンバイの路上生活者を追った記録。
    登場人物一人一人の髪や服装の汚れ、臭い、退廃的な街の雰囲気が目の前に迫ってくるようで苦しかった。

    レンタルチャイルドという言葉は正直この本を読むまで知らなかった。売春や奴隷かと想像したが、物乞いのために他人の子供を使うとは…物乞いの数が尋常でなく、その中で日銭を稼ぎ、ギリギリのラインで生き残るには、いかに他の物乞いより悲惨に見せるかが重要で、その為にマフィアが子供を傷つけて手足を切断したり目を潰したり、仲間の死体を市中に

  • ぐったり。
    おもしろかった。

  • 本当なのだろうか?
    きっと、本当なのだろうな・・

    望まれずに生まれてきて
    利用されるだけ利用され
    稼ぎのよい乞食になるために目をつぶし
    手や足を折り

    生きることの壮絶さと厳しさ
    悲しいなんて言葉では軽すぎて、言葉がみつからない

    こういう子どもたち、いるんだろうな

  • 気をつけていないと、ちょっと西側の同じ地球上で起きていることだということを忘れてしまうほど、ショッキングな内容なのは、事実。予想がつかないかと言われると嘘になるが想像を絶する。本当に起こってしまうのだなという世界。インドのもとからのカースト制度×資本主義の生み出す格差、貧困の底辺の物語ってところなんだろうか。これ以上の底辺もあるのだろうか。
    ラジャは最後でもまだ20代である。でも、日本のおじさんたちにさえ絶対に選択できないであろう究極の2択をちいさい時から常に選んで生きてきている。
    環境によって状況によって人は変わる。考え方も行動も変わる。しかし、搾取されてる側もする側も、それを取材する部外者も、その取材結果を読む部外者も1人の弱い人間だという、紛れもない事実。
    物乞いにお金をあげることがいいことなのかわるいことなのか答えを更に出せなくなる。一概には言えない。が究極の答えか。どちらでもないが1番まともな答えかもしれない。
    正解のない世の中で生きているということを思い出させてくれる。
    自分はなにも言う資格がないくらいにはなにもできない。
    著者の抱いた感情も行動も、外から見れば不思議なところ疑問なところあるが、その場に著者が居合わせた結果として、必然的に起こったことなのだろうと思った。
    ちっぽけなことは気にしていられない世界であり、よく知っている悩みはみんなちっぽけなことであるという、そういう世界で彼らは生きている。

  • 発展途上国〜新興国の頃合いにかけてのインドにおける、路上生活をする者、利用される子供、それからそれを利用する大人たちの構図と、利用されてきた子供たちの行く末を追ったルポ。
    元々ノンフィクションものは敬遠しがちだったけど、ノンフィクションでこんなに読みやすいのがあるんだなってことにまず驚いた。なんていうか小説みたいにスラスラ読める。ただ中身は悲惨。何も救われやしない。けど読後感はどうだって聞かれたら、そう悪くはなかった。人によると思うけど。ルポの人の態度というか、ルポの書き方に強い感情的表現がないからかも。あったら多分読むの息苦しいわ、これ。
    作者のガイドのマノージに「てめえは、どうあがいたってあの頃の乞食だ」と言い放ってた路上生活者のラジャが、最後の最後にマノージに吐き捨てた言葉は、胸にくるものがあった。

  • 思わず小説かと思ってしまうほど壮絶なインドの現実。
    久しぶりに強烈な海外の本を読んだ気がした。
    貧困ということへの日本人の理解は低いと思う。
    なぜなら飢餓など自分たちが絶対に経験したことのないことへの想像しかできないからだ。だからこういった話をフィクションのように考えてしまう。

  • 何にもできないな。。

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著者プロフィール

1977(昭和52)年、東京生れ。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに取材、執筆活動を行っている。ノンフィクション作品に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』など多数。また、小説や児童書も手掛けている。

「2022年 『ルポ 自助2020-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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