浮浪児1945‐: 戦争が生んだ子供たち (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101325378

感想・レビュー・書評

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  • 石井光太氏の書かれるノンフィクションは紛いも無い。
    常に取材する人の側に寄り添うような
    一切の感情を交えない簡潔な文章が好きだ。

    第二次大戦が落とした様々な影をメディアが扱い
    語り継がれていく中で、何も無かったかのように
    葬り去られるのが、戦後の『浮浪児』について。
    空襲によって、家を無くし、家族を無くし
    1人で生きていくこととなった浮浪児たち。
    わずか5歳から12歳ぐらいまでの子どもたち。

    養護施設『愛児の家』の裕さんが語られた
    戦後、浮浪児となり施設に入った子どもと
    現在、施設に入っている子どもの強さの違い。

    がむしゃらという尊い言葉。生き方。

  • 戦後70年経ち、当時を経験した人の肉声が貴重なものとなってきた。「がむしゃら」に生きた子供たちがいた事実と温かく救いの手を差し伸べた人たちがいた事は知るべきだろう。表紙のタバコを吸う子どもと、終章の施設「愛児の家」で揚げパンを食べてる子供たちを写真で見ると胸を打つ。戦争で家族を失った子供たちが寝所とした上野の地下道はまだそのまま残っているらしい。2018.12.6

  • 生きていこう

  • 名もなく懸命に生きる人々の話。
    「辛いこともあったけど、楽しいこともたくさんあった。今の若い人たちは食べものにも住むところにも困らないから、分からないだろうね」の言葉が衝撃。
    世の中が豊かになって、たいていの人間は頑張らなくても死ななくなった。食べものも住むところにも困っていたときは働くことが生きることに直結していたけど、今は生きていることには困らない分、働くことの意味を感じにくくなってるんだろう。

    でも「昔は大変だったんですねェ」で終わらせてはならない!
    この作者さんのいうとおり、今の世の中だって簡単に死なない分複雑な悩みは尽きないんだ。
    状況が違ったって、人間って部分は同じなんだから学べるところは多いはず。
    まずは、ごっちゃ煮のなかに使用済みコンドームが入ってても「むしろ栄養になるよ」って言っちゃう屋台のおっちゃんの大らかさと、毛布一枚を商売道具に空襲でできた穴ボコを横穴ホテルと称して商売をする売春婦のしたたかさを見習おう。

著者プロフィール

1977(昭和52)年、東京生れ。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに取材、執筆活動を行っている。ノンフィクション作品に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』など多数。また、小説や児童書も手掛けている。

「2022年 『ルポ 自助2020-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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