明日この手を放しても (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101325811

感想・レビュー・書評

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  • 人のすべてを知ることなんてできないけれど、徐々に成長し助け合えるようになっていく兄妹に幸多からんことを祈らずにはいられない。

  • 2018.12.19
    桂先生はやっぱりいいなぁ
    恋愛じゃない所でキュンキュンさせてくれました。

  • 2017.1.16読了

  •  普通の物語ならば、目が見えなくなった主人公を家族が支え、新たなる人生の光を求める美しい展開となるんじゃなかろうか。
     しかしながらヒロインの凛子は、目が見えなくなり、白杖をついて外に出たい理由が掃除用具を買いに行きたいという位の潔癖症で有り、ことある毎にウェットティッシュで手を拭いている。「もっと周りが目の見えない人のことを考えるべき」と、ことある毎に主張し、論理立てて兄を論破する。
     兄の真司は、顔は悪くないけれど常に振られ続け、不満があればそれ口にし、当たり散らす。

     こんなところから始まる2人の物語は、なんと言えばいいのか、ひどく日常的でありふれていて、愚かで、そして途方もなく尊い。
     ドラマティックな事件や感動は起きず、何かの出来事で劇的に人は変わらず。それでも生き続けるし、関係性は変えていけるという、時のちから、前を向く人間の生命力の強さを感じる。

     最初の1~2章について行けないものを感じたとしても、ぜひ最後まで読んで欲しい。

  • 最後まですっきりしないから若干納得いかないところもあるけど、全体の空気感とかストーリーは好き。

    思いやりって難しいんだよね。

  • 視覚障害になってしまった妹が、夜は電気を付けずに生活していると言う場面は、ジーンとしました。兄と妹の関係が、徐々に変化して、最後にはとても良い関係になります。

  • 兄と妹・・・この距離感、なんかわかるw で、お父さんは、どうした?( ̄ω ̄;)

  • 2012/12/05読み始め
    2012/12/06読了

  • 買ったきっかけは、
    何か小説読みたいと思って本屋に立ち寄って、
    平積みされてた中で読みやすそうだと思ったからだったかな。

    前評判を聞いていたわけでもなく、
    初めから面白みがあるわけでもなく、
    モチベーションが保てず30ページも読まずして、
    他の本に手を出してしまった。

    それから1年以上経って、読了!!
    物語全体の割と初めの段階、第3章に位置する1997年凛子から
    物語に引き込まれた。読むペースもあがり、すぐに読み終わった。

    一番の題材になってる兄妹の距離感のうごき。期待通りすてきだった。
    最後、凛子が一人暮らし始めちゃうのが、すごく哀しかった。
    けど、真司が結婚したら、迷惑になるしっていうリスクヘッジかな。
    弱さを怒りに変換して外部に露見発散する真司。
    弱さを見せずに、強さを強調する凛子。
    語り手にさえ隠している、凛子の弱さがもっとあるように感じた。
    真司の性格は、最初はダメだと感じてたけど、最後の方はすごく魅力的に感じてた。作中に変わったことも大いに影響しているんだろうけど。ダメっていう決めつけはいけないし、仮にダメだったとしても味付けしだいでよくなるんだなって思った。
    兄貴が凛子のことで替わりに怒ったり、やさしくて、すごく良い。
    一見、単なる怒りんぼうの真司の怒りが、ちゃんと凛子の役に立っているんだなぁというのが読んでいて嬉しくなった。

    マンガ作りについての言及も興味深かった。知らなかった訳でもないし、想像もしてたけど、ストーリーを考える側は複数から選ぶ側であって、マンガは選ばれたもので、読者は展開を予想しながらも、ひとつの答えとしてマンガを受け入れる訳で。そうじゃない読者もいるかもしれないけど。

    恋愛ネタも含まれてた。存在感は大きくはないけど、共感したり、勉強になったりして、引用したくなるような言葉があった。

    実際に笑ったり泣いたりすることはなかったけど、
    人物像が鮮明で、登場人物の感情に親しみを持てて、
    感情移入はしやすかった。特に凛子にしてたかも。
    読むペースも相まってか、後半物語に流れる時間のスピードも早かったけど、
    もっと遅くなればいいのにと思えるほど、もっと読んでいたいと、もっと兄妹の続きを聞きたいと思える良い作品だった。

  • 大学2年で失明してしまった凛子。受け入れがたい現実なのに、そこへ母親の交通事故死。なぜ、不幸が重なってしまうのか。
    続けて父が失踪。もう、勘弁してぇ〜。
    兄、真司とふたりきりの生活になってしまった。異性の兄妹ってもっと仲がいいものかと思っていたけれど、テレや変な遠慮があるのかもしれないやね〜。それが、漫画という共通の仕事を持つことで改善していくところが微笑ましかった。
    人はいつでも何らかの目標を持たなければいけないなぁ
    と実感。

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著者プロフィール

一九六五年東京都生まれ。大妻女子大学卒業後、会社員、フリーライターを経て、二〇〇三年『死日記』で「作家への道!」優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『県庁の星』『嫌な女』『ハタラクオトメ』『頼むから、ほっといてくれ』『残された人が編む物語』『息をつめて』など。

「2023年 『じゃない方の渡辺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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