受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101329222

作品紹介・あらすじ

「海馬」は記憶を司る部位。だが、脳は蓄えるよりも忘れていくほうが多いのだ。試験前に徹夜で詰め込んだ記憶は、呆気なく消えていく。しかし、興味があるものはすぐに覚えられるし、バイオリズムのタイミングをつかめば、記憶効率は上がる。-海馬、扁桃体、LTP等々、脳の働きを正しく理解して、恐れず受験に挑む!気鋭の脳研究者が考える学習法。

感想・レビュー・書評

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  • 気鋭の脳研究者による、最適記憶術・最強学習法。何十年か前に読みたかったわ。
    脳の性質から記憶についてわかりやすく教授。学生さんには是非お勧め。以外の人にも活用できます。
    昔から言われている事にも、科学的に説明。納得できます。
    各章の、偉人の格言・名言がぴったり収まる。著者の知識の広さに感服です。

  • ここで初めて知ったのが「記憶の三兄弟」。
    「経験記憶」>「知識記憶」>「方法記憶」
    これは左が一番上のピラミッド構造になっていて、進化の過程で高等動物ほど左が発達しています。
    「経験記憶」はヒトにしかないという研究者もいるほど。

    生まれてから3、4歳くらいの記憶がないのは「経験記憶」が発達していませんから自分にまつわるエピソードが記憶にのこらないのです。
    けれど「方法記憶」はすぐに発達してくるので、ハイハイよちよち歩きなどの「体で覚える方法」は身につくのです。

    どちらかというと中学生ぐらいまでは「知識記憶」がよく発達している年頃で、高校受験の勉強にはいったころからは、少しずつ「経験記憶」が優勢になってきますので、これまでのような無謀な丸暗記作戦では早晩通用しなくなります。

    しかし、自分の脳におこるこうした重大な変化に気づかずに、いつまでも昔の栄光にすがって同じ勉強法を続けていると、自分の能力に限界を感じるようになるのです。

    中学・高校生になると、丸暗記よりも理論だった「経験記憶」がよく発達してきます。
    それはものごとを理解してその理屈を覚えるという能力です。

    論理や理屈でものを考えると、同じ論理が使えるすべてのものごとに活用できます。
    だから中学生以降は、一刻も早く「知識記憶(丸暗記)」に頼った勉強法は捨てるべきなのです。

    また、「方法記憶」は天才的な能力をつくりあげる「魔法の記憶」です。
    公式そのもの(知識記憶)よりも公式の導き方(方法記憶)を覚えたほうが、その公式を応用する能力が身につきます。

    学校で習う「知識記憶」は、社会に出てから役に立たないものが多いかもしれません。しかしそのときに学んだ「方法記憶」は、今後の人生のさまざまな局面で大きな助けになることでしょう。社会、家庭、娯楽、仕事、人間関係。多様な側面をもった人生を豊かにする湧泉こそ「方法記憶」です。

    私はいまさら受験なんてありませんが、この考え方はいろいろ応用できるのではないかと思いました。

  • 面白いです。脳の仕組みをわかりやすく説明しながら、その特徴を活かした学習法を解説してくれています。私の学生時代に欲しかった…。
    読後、息子にプレゼント。面白かったとは言ってましたが、役立ったかは不明ですが、なんとか合格笑笑
    世の中の受験生みんなにオススメ!
    そうなるとみんなのレベルが上がって結局一緒か…?

  • 面白し。
    心理学の方は普通に興味があったのでそれもよし、正しい勉強の仕方を教えてくれるのでそれもよし。
    スラスラ読めましたね。成績伸び悩んでいる人にはいいかと。モチベはあがりました、はい。
    ただ事実として私は勉強をせずこうやってブグログをいじっているので、この本に読者を机に向かわせる効力があるかどうかと聞かれたら否、ですよねぇ

  • 当たり前のだと思っていた事に対して、
    脳科学的な裏付けを説明して
    もらったという感じ。

    人に教えるのは大事だよー

    勉強している時の
    シチュエーションも込みで
    覚えると記憶に残るよー

  • 脳の仕組みを知って、効率よく勉強していきましょう、という趣旨の本。
    時間をかければいいってもんじゃないんですよね。

    脳にしっかり働いてもらうためには、十分な睡眠は大事。
    何より身体のコンディションが万全であることは大前提と思われます。

    学生時代、本当に知りたかったよ、コレ。
    睡眠時間削って勉強してたけど、結果が出なかったのはこういう事なんですね。トホホ。
    子どもを持ったこのタイミングで知れたのは良かったです。

    「感情が盛んなときは覚えやすい」に納得。
    その昔、観劇によく行ってましたが、その際にストーリーの時代背景を理解するために事前学習をしてました。勉強と言われれば勉強ですが、自分では勉強と思ってやっていなかった。そして楽しかった。
    その時に覚えたことはブログにUP(アウトプット)したこともあり、今でも覚えています。
    自分の好きな事と覚えたいことをセットで覚えると忘れにくいのは確かですね!(本にもそんなこと書いてありました)あと、アウトプットの効果は絶大です!

    とはいえ、勉強は”継続は力なり”(本を読めばその理由が分かります)との事で、効果が出るまでに3か月はかかるとの事です。

    とりあえず、3か月ガンバル→成果が出る→勉強が楽しくなる→もっとやってみよう!
    こういった好循環が出来上がればしめたものです。
    (それが大変なのですが)

    一夜漬けはなぜ良くないのか、学校の勉強は無駄ではないのか、普段思っている疑問の答えも書かれています。

    脳の特性を知って勉強すれば、無駄な時間をかけずに結果が出ますね!

  • 難しい言葉を説明しながら、実現可能な方法論に落とし込んでくれて、非常にわかりやすいし、逆に根拠に基づいているので、理解しやすかった。

    自分自身の経験上、確かに丸暗記で全てが丸く収まっていたが、それが通用しない瞬間があり、とてもショックだった。しかし、うまく軌道修正でき、経験記憶に切り替えられたことはよかったんだなー
    と思った。

    まだまだ、できないことも努力すればできるに違いない!と新たな意欲を与えられた。

  •  覚えることよりも忘れないことが大切である。どうやって覚えるかよりも、どうやって忘れないようにするかを、具体的に教えてくれる。素晴らしい。是非とも読むべきである。

     覚えた後の忘却曲線に、個人差は無いらしい。そもそも、神経細胞の電位活動に個人差があるわけがないし、ヒトもネズミも基本的には同じである(P.245)。それでも記憶に個人差が生じているのは、忘れてゆく過程で手入れをして、立ち上げているからである(P.47)。何より復習が大切であることは、識者賢者の説くところである。

     具体的には、翌日、その1週間後、その2週間後、その1カ月後と、2ヶ月間かけて4回復習すれば、海馬に貯えられている短気記憶が長期記憶化される(P.68-69)。1カ月以上空けてしまうと、短期記憶から消去されてしまい、次に覚える時には初物扱いされてしまう(P.67-68)。

     覚え方については、目、耳、手をフル活用する。好奇心を持って覚えるとシータ波が出て、覚えやすくなる(P.86)。だから、歩くだけでもシータ波がでる(P.106)。また、本能と密接な関係をもつ感情(扁桃体)を伴うのも効率的である(P.93)。海馬は、その記憶が使われる頻度をもって重要度の基準としているため、教科書を読むのではなく、問題集を解かないと覚えられない(P.78)。出力しながら入力するのである(P.77)。知識は、使ってこそ意味がある。つまり、使われる過程で意味を持つようになる。

     念じたからと言ってシータ波が出てくるわけではないし、感情体験と言っても意識的にできるわけでもない。しかし、忘却曲線に個人差が無い。つまり忘れ方には個人差が無いから、繰り返し覚え直すしか途は無いことを、科学的に説明してくれた。その繰り返し方も、精神論ではなく具体的に示してくれた。

  • 受験には関係ないけど、池谷裕二の本なので読んでみた。彼の本って、背中を押してくれるというかすごくポジティブな気持ちになれる。自分ができない(できなかった)ことの根拠を科学的に説明してくれるので、励まされて、「次はこうしてみようね」とやさしく諭されている気分になるのだ。
    切り口は受験だが、社会人にも簡単に応用が利くことばかり。子供は小学校受験なので、まだ読ませるには早いが、将来ちょっとしたアドバイスができそうで楽しみである。

  • 精神に問題がなかったらという前提が必要。元気だったらこの通りにしたい。

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著者プロフィール

監修:池谷裕二
脳研究者。東京大学大学院薬学系研究科薬学専攻医療薬学講座教授。薬学博士。一般向け書籍の累計発売部数100万部超え。

「2023年 『3ステップ ジグソー知育パズル どうぶつ だいずかん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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