借金取りの王子―君たちに明日はない〈2〉 (新潮文庫)

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著者 : 垣根涼介
  • 新潮社 (2009年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101329727

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借金取りの王子―君たちに明日はない〈2〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • リストラ請負人シリーズの第2弾。

    働くということはどういうことか、自然と考えされられるシリーズでおもしろいのですが、今回はそれよりも「やさしさ」がテーマではないだろうか。企業側、労働者側の論理のぶつかり合いによる苦悩などはあまりなく、リストラ対象となった人々やとりまく人々の「やさしさ」が光ります。

    本来リストラの対象とはならないはずの人々だからなのでしょう、自分以外の相手をよく見ています。余裕というか追い詰められ具合というか、相手を良く見ることが「やさしさ」につながるのだな。やさしいからというって仕事が優秀なわけではないけれど、自分だけでできる仕事は限界がある。その限界に気づいた時に「やさしさ」が無い人は、さらに大きな壁にぶつかるということでしょうか。

    でも、追い詰められ続ければ「やさしさ」っていとも簡単になくなっていくよなぁ。無くさない人でありたいなぁ。難しいけど・・・

    「借金取りの王子」のエピソードが泣かせる。

  • 1巻が面白かったので、図書館から借りてきた。
    1巻ももちろん良かったが、本巻はそれ以上に私の心にヒットした。

    二億円の女
    主人公なぎさ、わかるなあーというところが多かった。(私はなぎさのように仕事バリバリできないが笑)
    オジサン集団の中にひとり女子社員。

    いったい私は、何者??これってアイドル??

    この一文、去年の私が感じてたこととそっくりで笑った。

    それから、「山里の娘」の秋子。

    でも私の人生、本当にそれでいいんだろうか。
    この地元の世界しか知らないまま終わってそれでいいんだろうか……。

    はい、わかりますその気持ち。秋子は私よりひとつ年上だけど、私も最近考えてしまう。自分の将来。結婚とか仕事のこととか。はっきり言って地味な毎日にこのままでいいのかとちょっと不安になったりする。

    最後のこの一文好きだ。

    憧れはそのままに取っておくから憧れなのだ。遠くに見えるからこそ、光り輝いて見える。

    読後の爽快感あり。前向きになれる。

    それから、「借金取りの王子」
    王子、素敵すぎるよ。その一途さに惚れました。池口先輩はほんとに男前でかっこいい、こんな先輩いたら絶対憧れる。

  • 冒頭───
     今日はあと一人で最後だ。
     真介は壁の時計を見上げる。午後三時四十三分。
     四人目の被面接者は意外と早く終わった。もっとも今の相手は、この一次面接ですぐに自己都合退職を受け入れたわけではなかった。が、先ほどの感触からすると二次面接ではほぼ落ちるだろう。
     次の面接者がやってくるのは午後四時。まだ少し時間がある。ネクタイを少し緩め、軽いため息をつく。午前中に二人の面接をこなし、午後からはさらに二人を終えた。
    ──────

    リストラ請負会社に勤務する真介が様々な業種の企業でリストラにあう人々との面接を通して、その人々の背景を浮き彫りにするお仕事小説。
    付き合っている年上の彼女、陽子との恋愛話もちょっとしたエッセンスとなっており、なかなか味がある作品だ。

    百貨店外商部勤務のなぎさ。
    生命保険会社に勤務する一彦。
    消費者金融に勤める三浦。
    新潟岩室温泉のホテルで客室係をしている秋子。
    過去のトラウマから仕事が上手くいかなくなり転職を薦められる人もいれば、逆に未来に夢を持って前向きに考える者もいるなど、面接を受けての思いは人それぞれに違う。
    登場人物一人一人の心情の違いが上手く書き分けられている。
    なかでも表題作「借金取りの王子」でのイケメン主人公の前店長に対する純愛の話には思わずほろりとさせられた。

    シリーズになっているようなので、他のも読みたいと思うような作品でした。

  • 君たちに明日はないの続編。
    主人公 リストラ請負人の仕事を通じて、人間模様を描いている。
    リストラを依頼する立場。リストラされる側。請負った主人公と。

    扱う内容から暗い話かと思いきや、この作家が書くと何故か
    スッキリとした話になるから面白い!
    社会の構図、それぞれの生き方が垣間見えて、考えさせられます。

  • ハードボイルドの新旗手の垣根涼介の描くお仕事小説です。
    で、これが面白い。

    『ハードボイルドは人間が描けてないと面白くない。だから人間を描く小説であれば、ハードボイルドを描く作家は面白い小説が描ける』というのは事実ですね。

    この作品は、クビを言い渡す会社の社員が主人公となって、いろいろなリストラ対象者が彼らなりの考えで『会社』に向き合う、彼らが向き合うのと同じに、主人公も会社、彼ら、自分に向き合っていく過程を描いた連作集です。

    主人公だけではなく、それぞれの回の主人公たちもかなり丁寧に描かれており、更に主人公の彼女役もまた丁寧に描かれております。
    リストラされるっていう人生の大きな岐路にたって、今までの自分を振り返る、もしくは勢いで決断する、等々、いろいろな選択はありますが、それぞれの考えが手に汗握る、『ハードボイルド』になってるんじゃないか、というかんじです。

    『ハードボイルド』は、別に暴力が介在するものではなく、それぞれ自分がどれだけ自分と向き合うか?を描く小説ですので、考えてみれば別に作者がこのようなお仕事小説を描くことがおかしいとは思えなくなりました。

    リストラという局面に向かい合ったときに、己の人生をどのように見直すか?ということですので、それはそれはまさにハードボイルド、といってもおかしくはないかな?です。

    この作品はまだパート2ですが、まだまだ続いてもおかしくはないかな?なのでした。
    もしパート3が出たら是非とも読みたいな、と思ったら、既にハードカバーではパート3が出ている模様。是非読みたいですね。

  • 王子を守ろうと奮闘する彼女の勇ましさが
    なんとも言えずカッコいい。
    久しぶりに泣ける小説。

  • 『君たちに明日はない』の続編。
    面白かった。一作目よりさらによくなった気がする。

    リストラされる話なのに、なぜか読んだら元気になれる。自分の人生、明日をつかむのも自分なのだ。

  • マンネリ化しそうな設定なのに、前作よりもパワーアップ。
    面白かった。
    特に表題作が、じーんとくる。リストラという辛い局面でありながら、それぞれの一生懸命な気持ちがあたたかい。
    真介の真摯さもいい。
    陽子との関係の今後も気になるところ。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-a727.html

  • 軽いタッチで書かれている本ながら考えさせられてしまう言葉がある。

  • 【仕事のデキる女、って?】
    垣根涼介『借金取りの王子』新潮文庫, 2009年 読了。
    リストラ請負会社に勤めるクビ切り面接官・村上と、村上を取り巻く人々を描いた群像劇『君たちに明日はない』シリーズ第2弾。
    *
    女の仕事ぶり・人間描写に主眼を置いた本作。
    年商2億にもかかわらず、辞めたがるデパガ、
    女性恐怖症な支店長を、悪気はないものの無意識のうちに追い詰める、生保のおばちゃん、
    「生きるには、稼ぐしかない」旦那顔負けに稼ぐ元ヤン女、
    生まれてこのかた実家を出たことがなく、このままでいいのかと思い悩むホテルウーマン…
    さまざまな女性の人間模様が描かれています。
    *
    File.5『人にやさしく』
    主人公・村上が、建設業界団体事務局長を務める、年上の彼女・陽子に、事務要員を紹介するシーンが、印象的でした。
    陽子の求める人物像は、基本的な事務処理ができて、人あしらいの上手い、機転が利く女性。
    自分と似たタイプの、自分の分身になりうる存在。
    しかし、村上が紹介したのは、陽子の理想像とは真逆の女性。
    陽子とは正反対に、言葉遣いや態度に難ありで、能動性に欠ける女性。
    一方で、感情的になることは少なく、与えられた仕事は淡々とそつなくこなす。
    話が違う、と激昂する陽子に、村上はこう言う。
    ”「陽子とぶつかるタイプは、実は陽子に似たタイプが多い(中略)。
    ぶつかり合った時には、その二人の関係はおそろしく気まずい(中略)。
    小さな職場だし、二人の船頭はいらない。
    陽子の指示を的確に、しかも責任をもってこなしてくれる部下がいればいい」”
    (P.414 L.9-P.415 L.11より引用)
    村上の言葉に、陽子はハッとすると共に納得、その女性の採用を決める。
    *
    「仕事のデキる女、とは?」
    私が真っ先に思い浮かべたのは、
    ・リーダーシップと決断力があり、自分の意見をはっきり言う、陽子のようなバリキャリ女性
    ・営業や接待の場で、女の武器をうまく使いこなせる女性
    だった。
    しかし、全員陽子のような女性であれば、組織が上手くいくかというと、必ずしもそうではない。
    一見、ただ座ってニコニコしているだけに見える女性が、実は場の緩衝材となり、組織運営を円滑にしていることもある。
    毎日定時退社で、やる気のなさそうに見える女性が、実は物事を冷静に俯瞰し、問題解決の一助となる可能性もある。
    *
    働く女性に求められる役割は、場によって、人によって、違う。
    バリキャリでなくとも、女の武器を使う以外にも、組織の中で生き延びる方法は、ある。
    これまでの経験で、”働く女性のあるべき姿”の歪んだイメージを、自分の中で勝手に作り上げていたことに、改めて気付かされました。
    *
    シリーズ第2弾でも、失速せず、面白い!
    組織の中で奮闘する、ビジネスマンのみなさまにオススメな1冊です。
    引き続き、第3弾にも期待。

  • 1作目を読んだのはもう何年前だろうか。
    あの頃はまだ学生だったけど、社会人になってから読むとやはり思うところがありますね…。

    どのエピソードも面白いですが、デパートで働く女性の話、背の高さを聞きにくるお客さんのエピソードが何とも言えなくて気に入りました。好きではないんだけど…(笑)
    あとはやっぱり表題の「借金取りの王子」ですね。
    そんな会社辞めちゃえばいいのに、と思うけどなかなかそうはいかないのが歯がゆい。それは現実でもそうなのですが。
    無茶な働き方を容認してきた社会から緩やかではありますが、疑問視するようになってきて、いずれそんな組織が淘汰されるといいと思います。
    でも「仕事なんかに…」というのはちょっと違うと思っていて、仕事がやりがいだとか生きがいだとか、仕事が好きなことは全然悪いことではないと思います。
    「仕事」に何を求めるかは人それぞれだし、自分の価値観を人に押し付けるのは前述の組織と同じようなものだとも思います。
    何かに夢中になるとか、一生懸命がんばるとかいうことは良いことです。
    それが仕事であっても趣味であっても家族サービスであってもその人や家族が幸せなのであれば、正解だと思います。

  • リストラ(クビ切り)を仕事にする、村上が主人公の小説「君たちに明日はない」の第2弾。マンガのように軽快で楽しく読める。
    1冊目は正直なところクビを切られる側の心理描写が浅くあまりいいと思わなかったが、2冊目はキャラクターが立っていて、なかなか良かった。「借金取りの王子」は少し出来すぎな気もしたが。
    この主人公、小ざっぱりとしてクールな青年のファンも多いみたいだ。年上の落ち着いた彼女との関係も、リアルに描かれている。
    第3弾もあるのかは不明だが、あれば読んでみたい。

  • 代行会社社員村上真介が主人公、第二弾。今回もどの話も面白かった。それぞれの仕事の楽しみ、辛さ。成績トップの営業マンでも、次はまた0から。辛いよね。真介と陽子のHシーンの描写は今回はナシ。前回はこっちが引くくらいだったから、これくらいでいいかな。ただ、仕事の下見で行った温泉宿で偶然会った真介の会社社長高橋と陽子。陽子はどうも高橋が気になるみたいですね。真介は結婚を考えるくらい陽子にベタ惚れみたいだけど、確かに高橋に惹かれる陽子の気持ちもわかる。

  • それぞれの目線で楽しく読めました。

  • 仕事につぶされそうになる日があれば、
    仕事に救われる日もある

    「君たちに明日はない」シリーズ 2作目はそんな感じ

    相変わらずどのストーリーもおもしろいけど、
    やっぱり表題作の "借金取りの王子”が一番好きだ

  • イギリスの明るい未来が約束されてる若い医師が、自らの意志で貧しい国に検疫官として住んでから10年経っても、10年間後悔したことは一度もない、って言ったという場面がぐっときた。
    幸せのものさしは人それぞれだと
    真介の人を分析する能力が高いと思った

  • 借金取りの王子が特にいい

  • 外部リストラ面接官である村上真介を主人公とした、企業のリストラに関する短編5編でしたが、今回もどの短編も社会人として考え深い内容で面白かったですね!
    また、サブストーリー的な主人公 村上と年上彼女の陽子と村上の会社の社長 高橋を巻き込んだ三角関係の行方にも注目です!

  • 俺たちに明日はないシリーズの2作目。短編の3番目が表題になっているが、確かに王子のひた向きな愛とその妻の男らしい潔さに感動した。作中の女性はみな逞しくまた愛らしく描かれている。

  • タイトルの借金取りの王子のストーリーが1番好きでした。やっぱり登場人物が魅力的で、夢中で読みました。働いてる人が共感できて、とても励まされる1冊だと思います◎

  • 第1作に比べて、各回の「リストラ対象」にフォーカスが当てられ、一層の深みと広がりを感じる。2作目は1作目の煌めきが失われることが多い中で、より魅力的に進化しており、名作だと思う。

  • 「第2の人生」を応援するという建前の人員削減、経営者のためのコストカット。2010年どこもかしこも正社員のリストラが目前にせまる。村上真介のように心を持って対峙できるか。一人一人が自ら道を拓くことだ。

  • リストラ請負人が相手をするそれぞれの事情。
    皆、なかなかの仕事人。
    その業界事情がなかなか楽しい。
    今回は前回から縁のできた陽子さんとの関係が結構中心。
    アシスタントの川田さんのファンです。

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借金取りの王子―君たちに明日はない〈2〉 (新潮文庫)の作品紹介

「誰かが辞めなければならないなら、私、辞めます」企業のリストラを代行する会社で働く真介の今回の面接相手は-真面目で仕事もできるのになぜか辞めたがるデパガ、女性恐怖症の生保社員に、秘められた純愛に生きるサラ金勤めのイケメンなどなど、一筋縄ではいかない相手ばかり。八歳年上の陽子との恋も波瀾の予感!?勤労者にパワーをくれる、笑って泣ける人気シリーズ、第二弾。

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