ワイルド・ソウル 上 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101329734

作品紹介・あらすじ

その地に着いた時から、地獄が始まった-。1961年、日本政府の募集でブラジルに渡った衛藤。だが入植地は密林で、移民らは病で次々と命を落とした。絶望と貧困の長い放浪生活の末、身を立てた衛藤はかつての入植地に戻る。そこには仲間の幼い息子、ケイが一人残されていた。そして現代の東京。ケイと仲間たちは政府の裏切りへの復讐計画を実行に移す!歴史の闇を暴く傑作小説。

感想・レビュー・書評

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  • 日本政府の南米棄民政策を描く。保身第一の官僚の無責任さに腹立たしさを覚える。

  • 「君たちに明日はない」に続いて、垣根涼介作品を読む。

    前半の棄民政策時代の話は読んでいて辛い。
    時代と場所が現代(に近い)日本に移ってからのスリリングな展開との対比が際立つ。

    外務省関係者が本作を読むとどういう感想を持つのか大いに気になるところ。

    下巻が楽しみだ。

  • かなり読み応えのある上巻、読み終えてすぐ下巻に手を伸ばしてしまった。

    衛藤のアマゾン牢人としての生活が、惨いことは間違いないけれど、本全体のボリュームに対して想像よりあっさり書かれていて、でもそれが逆にそのあとの復讐劇とのギャップになってよかった。
    事件の描写は、恐らく実際には数十秒数分なのだろうけど、読んでいるこちらまで長い時間に感じられるほど緊迫感のあるものでした。

    ここからこの復讐劇はどういう結末を迎えるのだろう。
    幸せのための復讐ではないことは分かっているけれど、この先が悲しい結末ではないといい。

  • 後半から、すごくおもしろくなってきた

  • ブラジル移民の過酷な人生が物語の下地になっており、人生とは何か、命の重さとは、現代の日本人では忘れてしまっている感覚など夢中になって読めてしまった。たまたま最近、東南アジアに出張したこともあり、日本(特に東京)の異常性を感じていただけに、それが言語化されていることで腹落ちする部分は多かった。

  • アツすぎる。
    壮大な映画を一本分観るくらいの面白さがあって、非常に濃厚なテーマとストーリーがある。
    著者が書く、登場人物一人一人の心の声やその背景などの表現が好きで読んでいて心を奪われる。
    電車の中はもちろん、家に帰っても、気付けばトイレの中にまで持ち込んで隙間時間を見つけては読み進めていた作品。

  • 1952年 第二次世界大戦後に疲弊した日本で行われた愚策[南米への棄民政策]が話の根本。

    政府からの援助付き、好条件を謳われてアマゾンへ出稼ぎに行った日本人家族がどの様に過ごしたのかをフィクションで描かれる。

    棄民政策という字の如く、アマゾンに着いて目にしたのは以下の状況。
    ・文明無し
    ・言葉も伝わらない
    ・死んだ土壌での農業
    ・政府は知らんぷり
    ・黄熱病等の感染症(勿論薬、医療無し)

    これだけで既に地獄。
    生活水準を上げて悠々自適に過ごそうと希望に満ち溢れてた往路便は、実際は想像からかけ離れた全く異なる原始的な生活の始まりだった。

    想像してみて欲しい。
    今から、家族と一緒に未開のアマゾンに放り出されて生活することを。

    少し読み進めてみると上の文に書いたような状況が理解できて、私の好奇心は掻き立てられ、夢中になって上巻を読み終えた。
    想像を超える話の展開が連続していて、飽きずに読めますよ。

    サスセスストーリーとは程遠く、絶望と苦労、絶望と苦労、絶望と苦労、この展開が続きます。
    そんな状態からどのようにして生きる意味を見出せるのか 希望は生まれるのか 私はその点に注目して読み進めてました。

    話の次の展開として、棄民政策の被害者は結局のところ日本政府を恨み続けて生きることになる。
    復讐劇に発展していくが、下巻でどのようなラストになるのか非常に気になる。

    復讐した果てに何があるのか…
    本当の幸せ とか 腐った政府が改善される とか被害者達が満足する結末になるのかが私の好奇心を刺激する

    上巻を読み終えての率直な感想としては、こんな感じ。
    ・生きている限り小さな幸せくらいはあるのか…?
    ・日本での今の生活は不自由なく満たされてるなぁ
    ・家族を大切にしよう
    ・世界旅行をしよう(歴史を学んで)
    ・選挙に行こう!

    私の中では間違いなく名作となる予感。楽しみ。

  • 知らなかった、ブラジル移民の歴史。日系外国人の発祥。。。衝撃に包まれながら、先が気になり読む手が止まらない。どう着地するの⁈ 下巻へ!

  • 劣悪な環境でも毅然とした態度で生き延びようとする登場人物に尊敬の念を抱いた。今生きている環境は当たり前じゃないと親に散々言われてきたが、この本を読んでそれを痛感した。
    外務省の人でなしな仕打ちに対して反逆を目論む主人公たちを自然と応援している自分がいた。下巻も楽しみだ。

  • 日本人が昔、開拓して成功する夢を持ちどこかの国へ家族と移住したが、大変な苦労をした。そんな話しは漠然とテレビか何かで聞いた事があった。


    まさにそれだった。こんなに酷かったのか、、
    フィクションノンフィクション、、線引きが付かない。
    でも過酷さは想像を絶するものやったんやろなぁ、、

    そこから這い上がった日本人。その後の半生、、
    おもしろい。下巻にすぐ移ろう!

    このストーリーはフィクションではあるけど、事実起こった事を深掘りしたくなった。でも辛いなぁ。

    世の中には知らない事がいっぱいあるなぁ。

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著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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