- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101330310
作品紹介・あらすじ
「おじいちゃんのとこ、いってくるわ」ドアの閉まる音がして、淳は家を出ていきました。これが、私たち家族と淳との永遠の別れになってしまいました-。1997年5月に起きた「神戸連続児童殺傷事件」。14歳の少年に我が子を奪われた父が綴る鎮魂の手記。眼を細め見守った息子の成長から、あの忌まわしい事件の渦中の出来事、そして「少年法」改正に至る闘いまでを、被害者遺族が詳細に描く。
感想・レビュー・書評
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常に胸が張り裂けそうだった。
亡くなった後に、子を抱いて眠る夢を見たという話は胸がえぐられるようだった。想像しただけで恐ろしい。
息子を失っても家族を支え、今も医師として活躍され、少年法改正に尽力された努力は言葉にできないほど素晴らしいと思う。とても自分なら生きられる自信がない。
少年法はもっと厳しくあるべきと思うが、いざ自分の子が罪を犯したら…なども考えてしまう。死刑制度と同様に答えのでない問いなんだろうなと思った。 -
加害者母の不可解な言動
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この本を書くのにどれだけの苦労、心労があっただろうか。著者の土師さんに敬意を表したいです。私たちがマスコミから知りうる情報は本当とは限らず鵜呑みにしてはいけないということ、また、その情報は土師さんのような被害者をさらに傷つける手法によって集められたものであるということを覚えておきたいです。マスコミも変わらなければいけないが、情報を受け取る私たちの在り方も変わらなければならないと思いました。また、少年法については、この当時から現在にかけて刑事責任の問われる年齢の引き下げや厳罰化が進んでいます。土師さんや、その後の少年犯罪の遺族の努力が身を結んだのだと思います。土師さんご本人としては、現行の少年法が当時も適用されていれば、少年Aにも刑事責任が問えたのに、また裁判を傍聴できて事件の詳細を知ることができたのに、という無念な気持ちも当然あると想像します。この本を読んでも、当時の少年法はあまりにも被害者に対する配慮がなさすぎて、全く部外者の私でもおかしいと感じました。今後少年法の改正が進み、また、マスコミの在り方が変わり、土師さんのように悲しむ遺族、被害者が1人でも少なくなることを祈っています。
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同じく子どもの親という立場でありながら、被害者、加害者の視点はこんなにも違うものかと感じます。
加害者家族の書籍を最初に読んだのですが、こちらを読んだ後では印象がかなり変わりました。併せて読んでいただきたいです。 -
まず前提として、私は「絶歌」と加害者家族の手記を読んだ後にこれを手に取った。
著者の土師さんは非常に頭の良いひとであると、この手記から伝わってくる。
これを読むと、いかに加害者家族の文章作成能力がお粗末であるかが相対的に浮き彫りになる。
加害者家族の手記は(最終的に許可は取ったものの)はじめ反対されたらしい。これと比較すれば、納得しかない。
「絶歌」に至っては手記ですらないとわかると思う。
当該事件において、唯一読む価値のある書籍だ。 -
大事な家族の一員としての淳、行方不明捜索、変わり果てた姿で見つかる。犯人逮捕、加害者家族との関わり、報道によるプライバシーや人権侵害、加害者更生に力点を置き被害者感情を逆なでするような少年法の問題点、サポートしてくれた人たちへの感謝。
淳くんの写真が可愛い。感情を抑え、理性的にきちんと書くことの凄さ。 -
酒鬼薔薇聖斗事件の被害者の1人土師 淳の父親、土師 守さんの手記。
元少年Aが好きで、関連の本を読んでいて見つけた。
私のように、元少年Aが好きだから読みたい、と言う人にはあまりむかないかもしれないと思う。 -
1997年、神戸市須磨区で発生した14歳少年による児童連続
殺傷事件。その被害者のひとりである児童の父親が綴った
手記である。
痛々しいとか言いようがない。「おじいちゃんの家に行ってくる」。
そう言って出掛けて行った我が子が、そのまま帰らぬ人となる。
確たる動機もなく、改正前の少年法に守られた14歳の少年によって
である。
出掛けたまま遅い時間になっても帰らぬ我が子を探し、祖父と父は
後に我が子の命の絶たれた場所だと知る「タンク山」も捜索している。
しかも遺体の一部が置かれた中学校は加害少年は勿論のこと、
被害児童の兄もが通学する学校だった。やりきれないね。
猟奇的な事件で我が子を失った家族に襲いかかるマスコミの攻勢、
そこから発生する報道被害。加害少年は少年法の元にプライバシー
を守られるのに、被害者家族の底なしの悲しみに群がり、プライバ
シーを垂れ流す。メディアは今も変わらぬハイエナ報道を修正しよ
うとはしない。
一方で、我が子が事件を引き起こした家族がいる。被害者家族とは
違う悲しみがあるのだろうが、自分の子供が加害者であると判明
してからも被害者家族への直接の謝罪は行わず、文書を郵送している。
その文書も、他の被害児童の家族へ送った謝罪文と丸っきり同じ
内容だという。加えて加害少年の母親が葬儀の席で発した「子供の
顔くらい見たりや」という心ない言葉には、読み手としても引いて
しまった。
2005年、加害少年は更生施設を出て社会復帰を果たした。彼は
自分の犯した事件の重大さを心に刻んでいるのだろうか。被害者
家族の悲しみと怒りを、その心に感じることが出来ているのだろうか。
「少年だから犯罪は許されるのでしょうか。少年が犯人だとわかったら、
淳は生き返るのでしょうか。」
被害者家族の叫びが詰まった良書である。 -
著者は酒鬼薔薇事件(神戸連続児童殺傷事件/1997年)で殺害された土師淳〈はせ・じゅん〉君(享年11歳)の父親である。もう一人の犠牲者・山下彩花ちゃん(享年10歳)の母親京子さんが1997年12月に手記を発表している。子供を持つ全ての親御さんに読んでもらいたい。
http://sessendo.blogspot.jp/2017/05/blog-post_24.html