空白の桶狭間 (新潮文庫)

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著者 : 加藤廣
  • 新潮社 (2011年9月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101330525

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空白の桶狭間 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  •  秀吉を「山の民」(網野善彦流に言えば、「漂泊民」「山伏」といったところかも)とし、諜報活動との連関性を強め、彼らの活動が桶狭間合戦の死命を決したとの観点から同合戦を描く歴史小説。松平元康(後の徳川家康)がこの謀略を知っていた点と、信長謀殺目的を今川義元が有し、直接面会を応諾したというのは些かご都合主義の感がないではないが、エンタメとしては十分楽しめる。ただ、元康が全貌を認識していたというシュチエーションが終章に迫力を生ぜしめるので、先のご都合主義という問題点も一概に否定しづらいところ。

  • 今川義元が上洛を果たし、彼を中心とした一大勢力が(天下統一?)実現していたら日本はどうなったのだろう?
    あまり変わらないのか?
    それでも家康が天下を取るのか?
    家康は今川義元の後継者といってもいいんだよね。

  • またもや加藤廣の世界観にどっぷり。
    内容としては本能寺の変三部作のスピンオフ的なものではあるが、全てが矛盾なく繋がる様は心地いい。
    全ての作品で一貫したストーリーが構築できていることは、作者の研究と物語のバックグラウンドの深さを見る気がする。

  • 桶狭間の合戦に未だ残るミステリーを、秀吉の出自と絡ませて書かれた歴史小説です。桶狭間の合戦までの展開は早くリズミカルです。合戦前後の関係者の動きと心情を記した第五章「それぞれの桶狭間」は、この合戦に運命を左右された人たちの存在を改めて思い起こさせ、心惹かれるサイドストーリーでした。因みにこの本では、秀吉は「山の民」の出身として描かれています。また信長が行った革新的と思われる施策も、必然的なものだったと評価しています。

  • 信長がバカ殿。
    秀吉がなぜ利口だったか、ただの小作百姓ではなかったという仮説は面白いが、山の民との関連付けは蜂須賀の方が有名なので苦しい。

  • 加藤廣著による本能寺三部作(「信長の棺」「秀吉の枷」「明智左馬助の恋」)の前章ともいえる。
    歴史上、大々的な戦のひとつとも数えられ、謎が多いとされている桶狭間の戦いとは…戦に勝った側が事実を誇張して後世に伝えられるのはよくあること。そしてこの戦もそうである可能性は高く、本作に書かれていることが事実である可能性がないわけではない。非常に興味深く、史実をもとに検証されたストーリーに、事実はこちらなのでは、と思わずにはいられない。

  • 秀吉は山の民の出身!桶狭間の戦いは、秀吉と山の民の謀略!謎の多い桶狭間の戦いに新説、納得感のある、あながち荒唐無稽ともいえない歴史小説。

  • この作者の初めて読む作品
    秀吉が山の民の出身であり、今川との桶狭間の勝利を演出した設定
    奇天烈な感じがする。あまりにも織田信長の存在感が?
    昔から結構ある山の民の設定、まあ一つの仮説として?

  • 歴史の謎に挑む作品を、意欲的に発表している歴史作家、加藤廣。
    この作品はタイトル通り、織田信長が奇襲で今川義元を討ち取った「桶狭間の戦い」が題材になっています。
    圧倒的な兵力の差がありながらなぜ、信長は勝利を得ることが出来たのか。
    加藤廣らしい独自の視点で、この歴史の謎を描いています。
    ポイントは、「秀吉の出自」。
    この作家さんの作品の中での信長と秀吉の描き方には、各種意見があると思いますが、本作品でも秀吉の構想力と機転が遺憾なく発揮されています。
    大胆な仮説なのでとまどう部分はありましたが、興味深く読むことが出来ました。
    同時期に読んだ『謎手本忠臣蔵』にも登場する「黒鍬組」など、他作品とリンクする内容があるのも魅力です。

  • 気軽に読める活劇。先に「信長の棺」を読んだほうが話しがよりわかりやすいかも。

  • 全1巻。
    著者の出世作、
    「信長の棺」「秀吉の枷」「明智左馬助の恋」と続く、
    本能寺3部作のサイドストーリー。
    http://booklog.jp/users/bullman/archives/1/4167754010
    http://booklog.jp/users/bullman/archives/1/4167754037
    http://booklog.jp/users/bullman/archives/1/4167754061

    本能寺3部作のコアとなっている設定、
    桶狭間での今川義元奇襲の謎を、
    当事者の秀吉目線でネタバラしする話。

    これだけ読むとあんまりだと思うので、
    3部作読んだ後に、
    あくまでもサイドストーリーとして読んだ方が良い。

    意外に、3部作に比べると
    小説としてまとまってる印象だった。
    はじめから謎解きって立ち位置だから、
    謎だ謎だって煽っておきながら
    真実がしょぼいっていう
    いつものパターンがなかったからかも。
    謎感は弱いけど物語としてはそこそこ。

    今まで読んだ著者の小説の中では
    一番読みやすいかも。
    実は。

  • このレビューを書く前に調べたら、この本が単行本として発刊された時に読んでいました。
    先週に円堂氏の書かれた「本能寺の謎」という本を読んだので、以前から不思議な合戦だと思っていた桶狭間の戦いに関する本も読んでみたくなりました。

    これは小説なのですが、著者の加藤氏は、自分の説を論文で書く代わりに、読者に実際の事件がイメージしやすくするために、敢えて小説の形で書かれたのだと思います。

    この小説を否定する(勝因を信長の降伏にみせかけただまし討ち)ことも可能ですが、振り返ってみれば、30年程前に中学や高校で習った歴史の事件の多くは、真実と異なることが証明されてきているので、この「桶狭間」もこの小説で描かれているのが真実に近いかもしれませんね。

    いずれにせよ、この本を読んでいる間は、私の頭の中で「歴史ドラマ」の映像が映っていました、読書がテレビよりも凄い力を持っていることを感じたひと時でした。今後もこのような体験をしてみたいですね。

    以下は気になったポイントです。

    ・濃尾平野が木曽川等の三大河川を擁して、毎年のように水害がおきて湿地帯となることは、2つの重要な意味がある、1)氾濫により肥沃な土壌が流れ込む土地であること、2)水害の度に、土地支配の権利関係が不明瞭になる(p9)

    ・信長が足利義輝将軍の上洛時に今川義元による抹殺を回避できたことで、木下藤吉郎は一躍、百人を統括する足軽頭に取り立てられた(p12)

    ・将の首を取るばかりが殊勲ではない、それができない者は馬盗りの方がはるかに易しいし儲かることを藤吉郎は教えた(p19)

    ・藤原道隆、道兼の相次ぐ死去により、30歳の若さで道長は摂政関白となった(p30)

    ・後年、藤吉郎は一時「藤原秀吉」を名乗り、関白の栄華を五男道長の系から奪い返した(p31)

    ・人は皆、その地位より一つ上のことをさせれば、目の色が変わる、一つ下のことをさせれば、目まで死んでしまう(p34)

    ・義元にとって心強いのは、武田信虎の側に立った家臣が武田晴信の復讐を恐れて駿河に流れ込んできた、これは武田軍団の強さが今川に流入したことを意味する(p75)

    ・今川義元は、朝倉隆景と同様に過小評価されているが、行政・法制上の手腕は一流(p77)

    ・藤吉郎が生駒屋敷(信長の側室)で働く決心をしたのは、1)信長の若さ、2)眼差しが三白眼(覇王の目)であったから(p99)

    ・尾張には「飛び道具は卑怯」と叫ぶ、鎌倉武士の伝統がなかったことが幸いして、鉄砲の導入が急がれた(p120)

    ・一ノ谷の戦いでは、平氏は法王による和平交渉の内意(一切武力行動をしない)を受けて軍装を解いていた、そこへ総攻撃をかけられた平家は、平通盛、忠度、経俊、敦盛等の名ある武将がことごとく討ち死にした(p158)

    ・信長は家康(元康)に対して威張ることはあったが、人質に対する差別ではなかった、氏真のように陰に回って主人風を吹かすような陰湿さはなかった(p172)

    ・当時の武将は山の頂や「狭間」で食事は摂らないのは常識、桶狭間山は、人と会うためでなければ寄り道する場所ではなかった、義元が誰かと会うために出向いたのは明らか(p196)

    ・桶狭間の戦いについては、今川方の記憶らしいものは一切ない、後に駿河を領有した家康の手で、すべての真実が消された可能性が高い(p247)

    ・当時の桶狭間の戦い(=嵐をついての堂々の奇襲戦法の勝利)を端から信じなかったのは、武田信玄だた一人(p271)

    ・論功行賞で賞を与えられたのは三人、服部小平太、毛利伸介(少量の砂金)と梁田政綱、梁田は義元の居場所を知らせて襲撃のきっかけを作ったことが理由(p274)

    ・信長は3人以外には、今... 続きを読む

  • 忠臣蔵がかなり面白かったので期待したけど、これはちょっと強引かなあ。

  • 物語としては面白かったけど、極端に秀吉贔屓な内容と、尾張と三河の方言の使い方が間違っている事で読んでいて違和感を感じるので、あまり気持ちよく読めなかった。

  • あまりよろしくない。作中に、「腕立て伏せ」が出てくる。秀吉が配下の訓練と称して。興醒めも甚だしい。

  • 桶狭間合戦を違った視点から描いた一冊。桶狭間合戦は実はなく、降伏を装った信長による今川義元暗殺という描き方をブチ上げている。この暗殺に一役買ったのは若き秀吉。山の民出身を存分に生かして諜報や暗殺に従事する姿が描かれている。暗殺成功後、増長した信長が、秀吉との約束であった尊王を軽視している様が、後々の秀吉による信長暗殺を伏線づけているようで面白かった。

  • ■本能寺3部作が非常に面白かったので、今作もかなり期待していたが、ちょっと消化不良な感じ・・・。

    ・人は皆、その地位より一つ上のことをさせれば、目の色が変わる。一つ下のことをさせれば、目まで死んでしまう。
    ・信長は一般的に、楽市楽座などから、市場経済への先見性があると言われたりしているが、尾張という政治と地域経済が特異であるところからの帰結であったに過ぎない。
    ・今川義元、越前朝倉氏は後世過小評価されているが、行政・法制上の手腕は戦国一流である。
    ・兵は詭道。特に小よく大を制するには謀略しかない。
    ・今川氏真は、今川家が滅びてから、京の四条河原で乞食をしていたこともあるという。最後は江戸の家康の元で、わずかな知行をもらい七十七歳で没するまで、品川に在住した。
    ・煩悩とは、本能が濁ったものである。
    ・桶狭間の戦いは、近年では、迂回奇襲作戦ではなく、織田全軍と今川本隊との正面衝突だとする説が有力となっている。

  • 単行本で読んではいたが、すっかり忘れてしまったため、文庫本化で再読。3英傑の中で極端な秀吉びいきの作者のため、その出自を含め、その人物象に、かなり作者の主観的かつ偏向的な造形がなされている点が、相変わらず気に障る。桶狭間の戦いの様な極端な逆転劇の在り方には確かに疑問が残り、謀略があったのであろうが、勝った側が歴史を捏造するのは当たり前で、その謀略が世に出ていないことからの解釈ものとなっているが、前述の通り、秀吉側に余りに優位に物事が進むことと、信長の造詣が作者の描写通りであれば、謀略のすべてを知る秀吉を生かしておく訳がないということについての言及が無いのが話として深みを殺いでいるのが残念。

  • 桶狭間の戦の裏舞台、大胆な仮説を描いた作品。
    確かに一般的に言い伝わるままの戦法(単なる奇襲)では今川側に抜かりが多すぎるかもしれない。
    古来より伝わる書は戦での勝者=戦後の権力者が残したものであり、そこには都合が多く含まれている。
    そのことを念頭に歴史を振り返ってみるのも面白い。

  • 加藤廣らしい歴史ミステリーで、ありそうな想像力が豊かな小説だ。
    名作「秀吉の枷」の前触れが多く、この作品「空白の桶狭間」を先に読んだほうが「秀吉の枷」がより面白いかもしれない。
    沢彦だとか橋本一巴等の渋いところもうまく表現してた。

  • おもしろければよし!
    小説だもの(笑。

  • 謎の多い桶狭間の戦いを独創的なストーリーに仕立てあげてあり、今までにない歴史に出会えた気持ちです。

  • こういう可能性もあるのか?と歴史を多面的に解釈する作風は好きなのだが、この作品は多少共感しずらいなぁ。鎧武者がそう簡単にケモノに屠られるだろうか。とかとか。
    ま、でも話としては面白いから、あっと言う間に読んでしまった。

  • 加藤さんの戦国歴史はいままでのイメージを変えていきますね。

  • 桶狭間の戦いが謀略によるもので、裏に秀吉がいたという話です。こういった説もあっていいのかなと思いましたが、個人的には奇襲説の方がいいかなと思いました。

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空白の桶狭間 (新潮文庫)の作品紹介

圧倒的な軍勢を誇り東海に君臨する今川義元は、その触手を尾張に伸ばそうとしていた。自らの出自を後ろ盾に、さらなる立身を目論む若き藤吉郎は、策をめぐらす信長にある進言をする。持ち前の機転と洞察で、剛将義元の隠された内実と力量を見抜ききっていたのだ。天下の趨勢を一変させた桶狭間の戦いを舞台に、歴史の空白から埋もれた真実を炙り出す。驚天動地の傑作歴史ミステリ。

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