- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101331027
感想・レビュー・書評
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さすが名作と言われるだけある。子どもの成長、大人の葛藤がよく描かれている。通勤電車で読んで涙腺ゆるみ大変だった。児童文学だからか1日で読破。作者の灰谷健次郎は教員を17年やっていたのこと、納得。足立先生みたいな人だったのかな。今の私は、小谷先生ではなく役所のような人間になってしまったなあ。だからこそ今読んで響くものがあるのかもしれない。教員だった母はこの本をどう読んだのか、元気なうちに聞きたかった。
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「はねあらへん」鉄三ははじめて友だちと話をした。けれど、どういうわけかだろう。勝一もたけしも、ほかの友だちも、みんなごくあたりまえのような顔をしている。
涙が止まらなかった。教員一人の力では無理と決めつけていないか、大人の事情を子どもに押しつけていないか、と問いかけられているようだった。灰谷健次郎をもっと知りたいと思った作品。出会えてよかった。 -
産後、最初に読んだ本。
かなーーり久しぶりの再読。
読みながら、何度か目頭が熱くなった。
が、一方で「違和感のようなもの」も結構感じてしまった。
偽善っぽい…というのかな。
いやいや、たぶん違う。
きっと今や「偽善ですらない」ような。うーん。
…と、もやもやしていたら、先日パラッとページをめくった『友だち地獄』(土井隆義著)に、これだ!と思う一文があって、妙に腑に落ちてしまった。
「今の若者にとって〈やさしさ〉とは、他者を傷つけないよう空気を読み、距離をとることであり、一時代前の〈やさしさ〉とは向かうベクトルが真逆である」
そんな内容だった。
一人ひとりの生徒に、これでもかと踏み込んでいく小谷先生や足立先生。
きっと今こんな先生がいたら、とんでもない偏向教師と言われ、下手すれば失職ものだろう。
けれど、たとえ「偽」が頭につこうが、このような人への向き合い方が「善」であると捉える時代の方が、今よりずっと伸びやかに生きられるのではないか。
そんなふうに思った。 -
原発事故の直後に読んで、考えさせられてしまった。
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理想を捨てない先生や子供達に勇気をもらえた
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課題にツッコむ、抵抗する姿勢の大切さがずんときた。鼻の奥がずんときた。サイダーが飲みたくなった。行動に移せる移せないはその次の話としてまずツッコむ。40年前の児童文学とは思えんくらい今の時代の諸問題にリンクしてる。解説までめちゃくちゃ良かった。自分のあかんことに気づけることもある意味自分ツッコみ。
- 人間は抵抗、つまりレジスタンスが大切ですよ、みなさん。人間が美しくあるために抵抗の精神をわすれてはなりません。(p.102)
- わたしらがストライキをやったら、たちまちこまってしまいます。わたしはみんなにいいましたわい。そんなだれでもやるようなことはやるな、たちまち人がこまるようなことをとくとくとしてやるな。どんなに苦しくてもこの仕事をやりぬけ。それが抵抗というものじゃ(p.269) -
学校の先生とハエに興味を示す子どもの話。教育関係の仕事につきたい人には、絶対読んでほしい作品。灰谷さんの作品の中で一番好きで、小学校の頃からの愛読書。昔の作品だけど、今でも普通に読める。
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小学校を舞台とした、子供との関わりや教育者のあり方を問うた物語であるが、社会全体や組織運営、学生との関わりにおいても重要な示唆が含まれる一冊。登場する教員のように力強く生きていけるかはわからないが、オロオロしながらも進むしかないのだろう。
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何だろう、この清々しさ。ストーリーは、これからというところで終わるが、それがちょうど良い。途中、何度笑い、何度泣き、何度怒り、何度…。数えきれない。いわゆる児童文学、大人が読めばすぐに読み終えてしまう。もう40年以上前に書かれた話なので、冷静に見れば時代錯誤な部分も多々あるが、そういうところに目を向ける内容ではないだろう。純粋に元気がもらえる。少し気になるのは、主人公の先生とその旦那さんは、その後どうなっていくんだろう、と。ま、これは大人の余計な詮索かな。
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さよならだけが人生だ