- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101331737
作品紹介・あらすじ
権力者はだから面白い。外務省在籍時代に間近で接した、歴代総理やロシア首悩の意外な素顔、さらには誰もが知る歴史上の人物の精神にひそむ生々しい野心と欲望に、インテリジェンスの視点から切り込んだ異色の人物論集。国際政治の最前線で、外交の武器となる人間観察力を磨いた著者ならではの、ディープな知見と圧倒的な筆力で驚くべき、でも愛すべき権力者の真実の姿を炙り出す。
感想・レビュー・書評
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神学の話は難しい。
佐藤さんは、やっぱり小泉さんのことが嫌いなんだな~(^^;詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
#2424-185
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佐藤優氏が外交官現役時代に会合の席で口頭で話していた「物語」を活字にしてみた本。森元首相や鈴木宗男氏、プーチンの登場する北方領土交渉の舞台裏の話も読めて面白いです。
群馬出身の私としては、「第三章 小渕恵三の”招き猫”」が一番関心をもって読みました。ブッチホンや「人柄の小渕」として一般の人々の記憶にはあるかと思いますが、陸軍中野学校を出た叔父さんに薫陶受け、インテリジェンスの感覚が卓越していたという話は意外でした。 -
文体が好みと合わないので、あまり読まない佐藤優だけど、とりあえず代表作何冊かは読んでおくかと。
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尊敬する作家の米原万里氏関連の読み物で著者について知った。
著者に対しての批判意見もよく見かけるが、私は著者の物事を分析する視点が好きだ。
私は政治関係の話題は疎いため、ピンと来ない話もあったが、ある一人の政治家の世間イメージと著者が語る人物像が全然違うことに驚いた。
逮捕される政治家にも、理想とする国家状態があることに気づいた。私は、逮捕されてしまえば政治家といえども犯罪者である、という目でしか見ていなかったのだ。
これからも著者に注目していきたい。 -
元外交官で、キリスト教神学やマルクス主義に造詣の深い著者による、人物論集です。
著者が深く関わった鈴木宗男氏をはじめ、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗らの歴代総理大臣、さらにロシアの要人たち、さらに、ラスプーチンやゾルゲ、有末精三といった、過去のインテリジェンスに関わった人たちの人物像が分析されています。
そのほか、カール・バルト、ティリッヒ、蓑田胸喜といった思想家たちの紹介もありますが、基本的には、政治家たちの駆け引きの現場レポートのような内容になっています。個人的には、キリスト教神学、マルクス主義、ナショナリズムを三位一体として捉える著者の思想の方に関心があったので、少しもの足りないという気がしました。 -
外交も政治も人間が動かしていることを実感。
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【本の内容】
権力者はだから面白い。
外務省在籍時代に間近で接した、歴代総理やロシア首悩の意外な素顔、さらには誰もが知る歴史上の人物の精神にひそむ生々しい野心と欲望に、インテリジェンスの視点から切り込んだ異色の人物論集。
国際政治の最前線で、外交の武器となる人間観察力を磨いた著者ならではの、ディープな知見と圧倒的な筆力で驚くべき、でも愛すべき権力者の真実の姿を炙り出す。
[ 目次 ]
鈴木宗男の哀しみ
橋本龍太郎と日露外交
私が見た「人間・橋本龍太郎」
小渕恵三の“招き猫”
新キングメーカー「森喜朗」秘話
死神プーチンの仮面を剥げ
プーチン後継争いに見る凄まじき「男の嫉妬」
日露対抗「権力と男の物語」
「異能の論客」蓑田胸喜の生涯
怪僧ラスプーチンとロシアン・セックス〔ほか〕
[ POP ]
インテリジェンスとは行間を読み取る知的営為のことでもあり、著者は「私にはその適性があると思う」。
外交官、被告人として、出会った人や事態を記す。
北方領土交渉の推移などホットな話題も。
出典、人物索引など資料への態度もプロらしい。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
主に政治家たちの為人に触れた、ゴシップ記事さながらの人物論である。インテリジェンスとは、隠された情報を掴み取る所作だと、筆者は言う。その下りでは、媒体をテキストであることが本来的だとするが、実際には、出会った人間の一挙手一投足、表情の変化からも、隠された情報やシグナルを掴む技術が求められる。そこに、強い感受性や予備知識が必要となる。本著は、そんな必要スキルを身に付けた佐藤優の見た、歴代政治家たちの人物評なのである。
情報をどう活かすか。どんな目的に用いるか。では、目的はどのように設定するか。手放しに上位方針に従うのか。上位方針を疑うのか。方針を疑ってまで、私的に設定すべき本源は何か。それは、価値である。
本著の文庫版あとがきに、心に突き刺さる一文がある。ー母にとって、生涯たいせつな価値があった。キリスト教信仰と反戦平和である。
組織の論理により排除され、自らの内在的論理に依拠した活動にシフトした佐藤優。彼にとっても、現在の精力的な執筆活動は、自ら設定した価値を追求する行為なのだろう。ただ、食べていくために売文が必要ということでもあるまい。まして、外務省への復讐などは、既に目的からは外れているのではないだろうか。日本国民を啓蒙し、一体どこへ連れていくつもりか。我々は、彼のシグナルを掴み取らなければ、ならない。盲目的に追従しないために。