8月17日、ソ連軍上陸す―最果ての要衝・占守島攻防記 (新潮文庫)

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著者 : 大野芳
  • 新潮社 (2010年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101332215

8月17日、ソ連軍上陸す―最果ての要衝・占守島攻防記 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 浅田次郎「終わらざる夏」は、長い割に、なんだか不完全燃焼に終わった小説だったが、題材となった日本最北端占守島(しゅむしゅとう)でのソ連軍と戦いは、私の心にくさびを打つ内容だった。
    お涙ちょうだい的な、物欲しげな作り話はいらないから、日本が無条件降伏したあとの8月17日、何が起こったのか事実だけを知りたい!その一心で読破。
    不可侵条約を結んでいたはずなのに、アメリカとの交渉役として頼りにしていたのに、日本が負けたと知った途端、急に日本がほしくなってしまったソ連。いわゆるスケールの大きい「火事場泥棒」ですな。まったくコスい。ハイエナのような奴らだ。
    池田大佐、堤師団長の決断がなければ日本の国土は歯舞、色丹どころか北海道までソ連に浸食されていたかもしれない。
    多くの犠牲を出し、悲劇を生んだが、決してその戦いは無駄ではなかったといえる。

  • ソ連(現ロシア)が千島列島をいかに不法占拠するに至ったかを知ることができる1冊です。
    これまで、学校教育では、終戦前の沖縄戦については手厚く教えてきたが、終戦後に行われた千島での攻防は教えられてこなかった。
    北方領土問題の原点となる出来事であり、日本人が北方領土問題を知る上で、読んでおくべきだと思います。
    特に北方領土=北方四島という認識が本当に正しいのか考えさせられます。

  • 1945年8月15日。この日は、日本軍が連合国軍に対して無条件降伏し、戦闘を停止した日です。この日より後の1945年8月17日に、ソ連軍と日本軍の間に起きた戦闘を記したノンフィクション。

    8月15日以降に、ソ連軍と日本軍の間で、非常に激しい戦闘があったことは知っていました。しかし、停戦交渉のための軍使の派遣に関して、詳らかになっていない事があるのは知りませんでした。この作品では、はっきりとは断言できないものの、通説で言われていることに誤りがあると言う指摘をしています。

    あまり広くは知れ渡っていませんが、ここで日本軍が激しく抵抗し、ソ連軍の被害が思いのほか多かったので、ソ連軍は当初の予定を見直し、それ以上の日本への侵攻を停止したと言われています。もし、ここで日本軍があっさりと撃退されてしまっていたら、日本も分断国家になっていたかもしれません。その事を思うと、非常に感慨深く思いました。

  • 本来、日本人が知らなくてはならない史実。1945年8月17日、終戦を受け武装解除中の千島列島北端の最前線、占守島に北海道占領の野心を抱いたソ連軍が上陸する。再武装し抗戦した守備隊の多くは玉砕、戦死し、また捕虜となりシベリアに抑留された。やっと故郷に帰る事ができるはずの彼らが身を挺して抵抗したおかげで、ソ連の北海道侵攻は食い止められたと言われている。

  • 一般的にわが国で終戦の日といわれる1945年8月15日以降、ポツダム宣言受諾後のソ連軍による侵攻に立ち向かった占守島の日本軍の戦いを描く記録文学。
    占守島の将兵たちの奮戦とその意義、ソ連軍の侵攻の意図を、長年にわたる多数の資料と聞き取りにより明らかにしようとしており、内容はもちろん、著者の歴史との格闘が垣間見えるのが良い。
    ハイライトはやはり、第十一戦車連隊、通称"士魂部隊"と、連隊長池田大佐の奮戦だろう。赤穂浪士となり恥を忍んで降伏し再起を図るか、白虎隊となり玉砕するかと部下に問いかけ、全員が戦いを選ぶというエピソードが印象的だ。彼らの決意と奮戦が、占守より南へのソ連による侵攻を防ぎ、占守の民間人を悪名高いソ連軍将兵の毒牙から守り、ソ連の北海道までを見据えた侵攻の野心を挫くことに繋がった。
    彼らがもし赤穂浪士を選んでいたら今の日本は、全く違った形をしていたかもしれない。本書の解説で、歴史学者の山内昌之氏をして、第2の硫黄島と言わしめた占守島の戦いは、国防、領土、歴史を考える上で、私たちが知らなければならず、また、忘れてはならない史実の一つである。

  • 2010年刊。玉音放送の数日後、北千島北端の占守島にソ連が武力攻撃を仕掛けてきた。中立条約失効前であるにも関わらず、条約の定めを無視して戦端を開いた点は満州地域と共通するが、武装解除を開始した後というのが決定的に違う。また、この島嶼戦のため千島占領が遅れ、ひいては北海道占領という既成事実を免れたのは間違いない。もっとも、本書は著者自称のごとく戦記物の記録「文学」。著者は複数証言を付き合わせる等客観性保持に努め、確かに類書よりはかなりマシな方だが、戦記物の記録文学にありがちな問題、安直な会話化などは残存。

  • 昭和20年8月14日・ポツダム宣言受諾、翌15年正午・終戦の詔勅―。だが、戦争は終ってはいなかった。17日深夜、最北の日本領であった千島列島の占守島へ、対岸のカムチャツカ半島から、突如としてソ連軍の大部隊が来襲。日本軍の三日間にわたる死闘が始まった。ソ連の北海道占領は、いかにして阻まれたのか。知られざる戦争の全貌を浮き彫りにした畢生の歴史ノンフィクション。

  • 【本の内容】
    昭和20年8月14日・ポツダム宣言受諾、翌15年正午・終戦の詔勅―。

    だが、戦争は終ってはいなかった。

    17日深夜、最北の日本領であった千島列島の占守島へ、対岸のカムチャツカ半島から、突如としてソ連軍の大部隊が来襲。

    日本軍の三日間にわたる死闘が始まった。

    ソ連の北海道占領は、いかにして阻まれたのか。

    知られざる戦争の全貌を浮き彫りにした畢生の歴史ノンフィクション。

    [ 目次 ]
    第1章 油槽船の怪
    第2章 「玉砕の島」を経て
    第3章 北方の最前線
    第4章 第九十一師団
    第5章 諸刃の日ソ中立条約
    第6章 決戦占守島
    第7章 軍使は二人いたのか
    第8章 一犬虚に吠え、白熊貪食す

    [ POP ]
    沖縄だけが唯一の本土決戦だった、そして8月15日で戦争は終わったのだと思っていました、この本を読むまでは。

    生き残った元兵士たちの新証言、新資料によりポツダム宣言受諾、終戦の詔勅後のソ連軍の来襲、日本軍の死闘が、迫力ある筆力で描き出されています。

    先に大戦において、ほとんど語られることのなかった三日間の戦闘のノンフィクションですが、小説を読むような感覚で一気に読めてしまえます。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 玉音放送を胸にソ連の侵略を食い止めた日本軍将兵たちに去来したものは。国破れてもなお、断固としてソ連軍を撃った誇り高い先人達は世界最強の誉れを遺憾なく発揮した。我が国最果ての孤島で光り輝いたヒーロー達に尊崇の誠を捧げてやまない、と思う本。

  • (欲しい!) 実話/文庫

  • 1945年8月14日ポツダム宣言受諾、翌15日終戦の詔勅。これが全ての始まりだった。
    北の最果て占守島におけるソ連軍来襲とそれを迎え撃つ日本軍との死闘。
    実際にこの占守島で戦い、シベリア抑留ののち復員したひとりの軍人の話を大筋とし、さらに数多くの資料や取材がまるでジクソーパズルにピースのように付けくわえられている。著者が取材を始めて本にするまでになんと29年という月日がかかっている。それだけ、事実に基づいた取材が困難を極めており資料も膨大であるということである。
    この占守島の戦いについては、関係者の間では様々な想いがあるようだが、ここでソ連上陸を許せば、北海道はもとより東北地方まで占領しかねないと考え、それを阻止するがために戦った人たちの思いは尊重し、大切にしたい。
    なお、余談だが、最近何かと話題になっている佐賀県武雄市。この本の軸となっている上記の軍人のひとりがこの武雄市出身であり、平成18年に武雄市でこの占守島の戦いを講演しているところからこの話は始まる。私が佐賀県武雄市をはじめって知ったのは、この本によってであった。

  • 9784101332215 366p 2010・8・1

  • 太平洋戦争の終戦時の千島列島のもっともソ連領に近い島である占守島にソ連軍が侵攻した時の日本軍の奮戦記です。

  • 二十九年の歳月をかけて取材なさったものだけあって、読み応えあります。
    こういった戦争モノのノンフィクションを読んだのは初めてなので相対的評価を出来ないのですが、これだけ取材量が多いと信頼性も高く、主人公たち(兵士たち)の発する言葉が心に迫ります。

    「終戦」してからのソ連軍の北千島、占守島への侵攻。それがどれほど“まさかの”出来事であったか、15日より17日の記録をたどってゆけばゆくほど壮烈な事実と向き合うこととなりますが、参謀本部及び当時の内閣など“戦争をしていない大人たち”よりも、あまり教科書に載らないこういった“本当の戦争の記録(記憶)”こそ語り継がれ、ソ連の領土拡大をくいとめた兵士らこそ評価され、感謝されるべきだと感じました。

    3ページ目から、涙。でした。

  • いはゆる「占守島の戦ひ」を描くノンフィクションであります。副題に「最果ての要衝・占守島攻防記」とありますが、光人社的な戦記物とはちと違ふやうです。

    1945(昭和20)年8月14日にポツダム宣言を受諾した日本。翌日の玉音放送で多くの国民が終戦を知るところとなります。
    ところが日本の最北端に近い千島列島の占守島では、終戦後の8月17日から三日間に渡つて戦闘が繰り広げられたのでした。ソ連軍のまさかの急襲が! この国は昔も今も油断がならない。

    著者の大野芳氏は29年の歳月を費やし本書を完成させました。労作と申せませう。
    おほむね時系列にこの戦ひが述べられ、停戦の軍使として関つた長島厚氏の講演が、適宜挿入されます。第七章「軍使は二人いたのか」では、長島証言によつて通説が覆る部分について語ります。聞き書き証言を中心にしたノンフィクションでは常につきまとふ危険性も感じるのであります。
    人は大袈裟に語りたがる、或いは面白い話を脚色したがるものです。また、自分に都合の悪い事は無意識にせよ意識的にせよ隠す傾向があります。これはわたくしも同様なので、証言者を一概に責める気にはなれませんが。

    そして「エピローグ」を読むと、北方領土問題の理不尽さを改めて感じます。多くの人に読んでもらひたい一冊と申せませう。
    ただ、せつかくの力作に対してかかることを述べるのは申し訳ありませんが、大層読みにくい。文章といふより、構成の問題なのでせうか。読みながら何度も前の部分を読み返したり、突つかへるのでした。
    単にわたくしの読解力不足なのか? と少し不安になりました。
    以上。

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-259.html

  • 読むべき知るべき内容だと思うのだけれど、知識がなさ過ぎるのか構成のせいなのか、私には読みづらかった・・・

  •  本書は終戦前後に千島列島最北東端の島、占守島で起こった日ソ攻防を中心にその人間模様、事実関係、等々を掘り起こし調査記録したものである。

     本書は複数の記録の視点から描写されている(正確を期す為、不明瞭な部分を著者判断で纏めたり想像を交えて読みやすく(悪く言えば改編)しないで、そのまま記述し読者に判断してもらうという姿勢であろう)ので、時折視点が飛んで読みにくく感じることもある為、二度三度読み返す必要にしばしば迫られるかもしやすい。

     また、著者が資料収集、情報収集するにあたって、見聞きした言葉を「」形式で直接引用したり、文献を参照した場合は「」引用の後ろで参照根拠資料を明示してあるのも特徴といえよう。巻末には参照した文献一覧も載っている。
     
     全体として、わからないことはわからないまま、わかる範囲の記述に留め、すくなくとも確からしい事柄を浮き彫りにする筆致になっている。一部の証言だけを金科玉条の如くに取上げる類の主張書であったり、一部想像を交えて小説仕立てにする著者史観に徹したものでもない。

     本書を読むだけでも「終戦直後のソ軍による千島侵略」という歴史的事実を認識することは十分であるが、「一体あの地域(千島や樺太)で本当は何が起こったのか?」を考える読者には手始めとして読むにはお勧めできる書物の中の一冊となるであろう。

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8月17日、ソ連軍上陸す―最果ての要衝・占守島攻防記 (新潮文庫)の作品紹介

昭和20年8月14日・ポツダム宣言受諾、翌15年正午・終戦の詔勅-。だが、戦争は終ってはいなかった。17日深夜、最北の日本領であった千島列島の占守島へ、対岸のカムチャツカ半島から、突如としてソ連軍の大部隊が来襲。日本軍の三日間にわたる死闘が始まった。ソ連の北海道占領は、いかにして阻まれたのか。知られざる戦争の全貌を浮き彫りにした畢生の歴史ノンフィクション。

8月17日、ソ連軍上陸す―最果ての要衝・占守島攻防記 (新潮文庫)はこんな本です

8月17日、ソ連軍上陸す―最果ての要衝・占守島攻防記 (新潮文庫)の単行本

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