あの街で二人は: ‐seven love stories‐ (新潮文庫 し 21-6)
- 新潮社 (2014年5月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101332550
作品紹介・あらすじ
私はきっと、探していたんだと思う。迷える恋の行きつく場所を。心が解き放たれる瞬間を――。隠してきた気持ちを打ち明ける決意、恋人未満の男友だちとの転機。そして、平凡な日常を鮮やかに一変させた大恋愛。すべて、あの風景に出会ったことがきっかけだった。全国の「恋人の聖地」を舞台に、七人の作家たちが彷徨う想いを丁寧に紡ぎだす。宝石のようにきらめく最高のアンソロジー。
感想・レビュー・書評
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「恋人の聖地」をお題にした、7人の女性作家のアンソロジー。皆さん実際聖地に行かれたようです。
村山由佳「アンビバレンス」六本木ヒルズ展望台
村山さんっぽい、大人の恋の顛末。
加藤千恵「パラノマパークパノラマガール」伊豆の国パノラマパーク
“いずっぱこ”そうです、地元民は伊豆箱根鉄道をそう呼びます。コミックパノラマガールを読んでなくて残念でした。切ないけど友人として保つ百合系。
山本文緒「バヨリン心中」浜名湖舘山寺温泉
既に記憶が頼りない祖母が語る、若き日のポーランド人との恋と結婚と別離。残された息子とヴァイオリン。時を経て、別れた夫の孫ヴァイオリンを求めて訪ねてくる。別れた理由の一つが地震による原発事故。舘山寺の近くには浜岡原発。短編では、勿体無いような、これで良いような。
マキヒロチ「10年目の告白」川崎/ラチッタデッラ
またコアなところを。
コミック「いつかティファニーで朝食を」のマキさん。もちろんマンガです。
畑野智美「黒部ダムの中心で愛を叫ぶ」黒部ダムです。愛を叫びたくなって良かった、アラサーカップル。
井上荒野「最後の島」牛窓 オリーブ園
瀬戸内海の島とすれ違う人達。
角田光代「その、すこやかならざるときも」鹿屋薔薇園
特攻基地の鹿屋。特攻隊員と女学生の一瞬の恋。その一瞬に一生を過ごした女性。彼女の死後、その気持ちを知る孫世代。破綻しかけていた結婚生活に別れを告げ新しい人生を踏み出すきっかけとなる。さすがの短編。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とっても良いアンソロジーだった。
この手の企画ものは滅多に手を取らないけれど、ブクログ仲間さんのレビューが素敵だったので。
読んで良かった~。ありがとう(*^_^*)
私の大好きな角田さん、山本さん、井上さん。
うん、間違いないです。
他に読んだことがあるのは村山さん位なんだけれど、どの人の作品を読んでもそれぞれの作家の個性が出ていて面白い。
角田さんのドロドロした感情、山本さんのエキセントリックだけれど切ない気持ち、井上さんのドライな独特の文章。
結末がみんな前向きなのも良かった。
どの作品も甲乙つけがたいのだけれど、畑野さんの作品を
初めて読んだことが今回の一番の収穫かも。
泣きのツボも笑いのツボも押さえてあって、嫌みのない爽やかな文章。
最後のシーンが特に良くて、私も黒部ダムに行きたくなっちゃった。
畑野さんはずーっと読んでみたいと思っていたけれど、益々他の作品が読んでみたくなった。
余談ではあるが、作者の紹介が作品ごとに記してあって各々が今までに取った文学賞が羅列してある。
直木賞作家が4人もいることに驚いたり、角田さんは賞を取りすぎてえらい長い紹介文になってることに笑ったり。
大トリに角田さんが選ばれたのはやはり文学賞の実績なのかなとか変な事が気になってしまった。
いずれにしてもお得な本だと思います。-
こんにちは♪直木賞作家が4人もいたとは気が付きませんでした、よくよく考えると結構豪華な作家陣ですよね!
畑野さんの作品を読めたのは、私にと...こんにちは♪直木賞作家が4人もいたとは気が付きませんでした、よくよく考えると結構豪華な作家陣ですよね!
畑野さんの作品を読めたのは、私にとっても収穫でした~。ダムに対する印象が変わったし。トロリーバスのチョロQ欲しいし。
機会があったら、是非第一弾の「恋の聖地」もどうぞ♪
2014/07/31 -
メイプルマフィンさん、こんにちは♪
この本、良かったです~(*^_^*)
ありがとうございました。
恋愛小説って長編よりもこの位サ...メイプルマフィンさん、こんにちは♪
この本、良かったです~(*^_^*)
ありがとうございました。
恋愛小説って長編よりもこの位サクッと終わってくれる方が好みかもしれません。
ああ、でも山本さんのバヨリン、良かったですよね~。
余韻に浸ってしまいました。
メイプルマフィンさんがおっしゃっていた通り「落花流水」を彷彿とさせますね。
そもそもこのアンソロジーって、最後の恋シリーズなんですね。
全制覇したい気分です♪2014/08/01
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「恋人の聖地」をテーマにしたアンソロジー第二弾!第一弾がなかなか面白かったということと、大好きな山本文緒さんと角田光代さんの競演が是非とも読みたくて、今回も迷わず購入。
トップバッターは村山由佳さん(六本木ヒルズ展望台)。官能的な描写が印象的、安定感ある筆致。意外な展開にはびっくり。
そして加藤千恵さん(伊豆の国パノラマパーク)、とある名作マンガとパノラマパークを絡めた設定がお見事。ちくっと切ない青春だわ。
山本文緒さん(浜名湖かんざんじ温泉)、文句なしで本作のナンバーワン。短編でこれほど密度の濃い内容に仕上げてくるところがもうさすが、何度も読み返しました。時間軸の設定とか、「落花流水」を彷彿とさせたなぁ。
マキヒロチさん(ラ・チッタデッラ)、唯一のマンガ作品。ありがちな展開ではあったけど、この「友達以上恋人未満」という関係性が個人的にはツボで、なんか余韻ひきずったな。もっと「恋人の聖地」っぽさを描いてくれればなおよかった。
畑野智美さん(黒部ダム)、井上荒野さん(牛窓/オリーブ園)も佳作。畑野作品は初めて読んだが、ふふっと笑わせられたり、胸がきゅっと締め付けられたりと構成がお見事。井上さんは独特の浮遊感がたまらない。両方とも、旅の描写にわくわくさせられた。
トリは角田光代さん(かのやばら園)。角田作品おなじみの、「今」に倦んだ女性、そして彼女の祖母の過去。一見相容れないようなそれぞれの現在と過去をつないでいく過程がうまい。これまたさすが、角田さん。
この「恋人の聖地」の企画は今後も是非続けて頂きたいです、「小説新潮」さん。鮮やかな旅の描写と共に紡がれる恋模様はそれぞれに輝かしくて、時に苦しいけれど、どれも印象的な、珠玉のアンソロジー。-
こんにちは!
うわ~、この新作気になってました。
レビュー早い!!(*^_^*)
気になると言いつつ、アンソロジーがあまり好きでは...こんにちは!
うわ~、この新作気になってました。
レビュー早い!!(*^_^*)
気になると言いつつ、アンソロジーがあまり好きではないのでどうしようかなと迷っていました。
でも、ナンバーワンが山本文緒さんだと聞いたら読まずにいられません。
貴重ですもんね、彼女の作品。
「落花流水」、懐かしいな~、大好きですこの作品も。
素敵なレビューありがとうございました♪2014/06/18 -
vilureefさん:コメントありがとうございます!
アンソロジーってどうしても好みじゃないものがあったりするけど、
この「恋人の聖地」...vilureefさん:コメントありがとうございます!
アンソロジーってどうしても好みじゃないものがあったりするけど、
この「恋人の聖地」シリーズは個人的にハズレなし、なかなかのクォリティですよ。
今回は何といっても文緒さんの作品ですね!
「落花流水」みたく近未来を描いてるんですけど、ホントにこうなるんじゃないかみたいな妙なリアリティ感じましたよ。
観光のシーンもとてもよかった!旅心刺激されます!
もう「恋人の聖地」を訪れる必要性はないのでありますが(笑)自分の地元にもどうやらあるらしいので…
どんなもんか訪れてみたいところです。2014/06/18
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村山由佳さんの『ダブル•ファンタジー』が強烈だったので、他はどんな作品を?と思い、村山さんを含む女流作家のアンソロジーに手を出してみた。
漫画一篇を含む全七篇、全部面白かった。
敢えて順位をつけると、一番は、畑野智美さんの『黒部ダムの中心で愛を叫ぶ』。腐れ縁の男女の仲が遂に進展する、というよくあるテーマなんだろうが、妙に共感出来てしまった。
二番が、山本文緒さんの『バヨリン心中』。東日本大震災前後(作品発表時点ではほぼ現在)に適齢期だった若い女性が、2065年の近未来(遠い?)におばあちゃんとして当時の大恋愛を振り返り、それを孫と、大恋愛の相手の孫が聞いている、という設定。 -
他はあまりピンとこなかったけれど、角田光代さんの「その、すこやかならざるときも」がとてもよかった。特攻隊をしていた大叔父の手紙が壮絶すぎて少し泣いた。主人公には絶対に幸せになってほしい、、
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よかった。これはとてもよいアンソロジーでした。きらめいた話ばかりではないにしても、優しくあたたかくなれる恋の物語が詰まっています。
加藤知恵さん、山本文緒さん、マキヒロチさんの漫画が中でも良く、群を抜いて山本文緒さんの作品が素晴らしかった。さすがだなーとため息ついたほど。
3.11を絡めた作品ってあんまり好きではないのだけれど、2065年を現在とした過去の物語は重く切なく、夢なのか現実なのかが交差した話でタイトルのバヨリン心中っていうのもいいなって。
各々の恋人の聖地に行きたくなる、そんな物語。 -
恋人たちやその周辺人物の物語を集めたアンソロジー。いずれも実在のスポットを舞台として描かれている。
アンソロジーであるので複数作家の作品が一時に読めるのがまず良い。
その中で、個人的に1番良かったのは加藤千恵「パノラマパーク パノラマガール」。「恋人」の概念にとらわれすぎていないところに好感が持てる。
また角田光代が鹿児島(かのやばら園)を舞台として書いていたので、何とはなく身近に感じられ、物語が自分のことのように心に入ってきた。
ストーリーの良さでは山本文緒「バヨリン心中」も捨て難い。 -
少し前に通勤本で読んだ。
さらさらと読めて良かった。
でも記憶に残ってないのでさらさらした文章だったらしい。前後に強烈な本に出会うと間に埋もれてしまう本が出てきてしまうなぁ。もっと記憶力が良ければいいのに。 -
いいなと引き込まれる話は年上の作家で、なんか気恥ずかしいなと思う話は年下の作家。