木に会う (新潮文庫 た 27-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101333021

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  • 屋久島の縄文杉や、白山のブナ林を訪ね歩きながら、ひとと自然とのかかわりについての著者の考えが語られている本です。

    ひとと自然とのかかわり方にも文化的な蓄積があり、それを離れて生の自然に触れるということはできません。このように述べると、日本の古典文学におけるひとと自然とのかかわりのことが考えられますが、本書では主として近代以降のひとと自然とのかかわり方のなかに文化的な厚みを見ようとする試みがなされているように感じました。

    そうした試みは、古典文学とは異なり、いまだわれわれの共有財産と呼べるほどの十分な蓄積があるわけではないのですが、なんといってもそれらは現代を生きるわれわれのすぐ足元を支えている文化であり、そのうちにいまだわれわれ自身も気づいていない豊饒な可能性を見いだそうとする著者の試みの重要性は否定できないのではないでしょうか。

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著者プロフィール

高田宏(たかだ・ひろし) 作家。1932年、京都生まれ。石川県江沼郡大聖寺町(現・加賀市)に育つ。55年、京都大学文学部(仏文専攻)卒。光文社に入社し「少女」編集部で狩野川台風、伊勢湾台風などの被災地を取材。アジア経済研究所を経て、63年にエッソ・スタンダード石油で企業PR誌「エナジー」を創刊。84年より著述業に専念。主な著書に、日本初の近代国語辞書『言海』を生んだ大槻文彦の評伝『言葉の海へ』(78年、大佛次郎賞、亀井勝一郎賞受賞、新潮社)、『木に会う』(90年、読売文学賞受賞、新潮社)など。2015年没。

「2016年 『荒ぶる自然 日本列島天変地異録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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