日本原爆開発秘録 (新潮文庫 ほ 19-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101333731

感想・レビュー・書評

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  • 戦中の挿話に加えて、本書は原子力利用の推移や、近年の原発事故の問題にも筆者の筆は及んでいる。

    共感を覚えたのは…「スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマ」は判るとして、「ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ」には大きな違和感を覚えるという、巻末近くに挙げられた話題だった…原子力の制御が困難で「事故が起こってしまった」ということと、「破壊兵器の駆使」とは“並列”にはなり悪い筈だ…

    “原子力”に注目も集まっている状態が継続中であると思うのだが、その“原子力”との「最も不幸な邂逅」とでも言うべき原爆から丁度70年という今年である。“原子力”と人類が出くわしたような時代の物語を読むには好い時期なのかもしれない。“科学界”というような位置からの原爆を巡る歴史は興味深いもので、色々考えさせられた。

  • 『原爆を盗め!』とあわせて読むと面白い。
    日本での原爆開発についてのノンフィクションだが、仕事のやり方が変わっていないことに驚いた。
    分断された部署(陸軍、海軍、さらにはその中でも情報が共有されていない部署がある)の張り合いによるリソースの無駄遣い。
    簡単にできると思う上層部とどうせできないので自分たちに都合にあわせてノラリクラリとする実行部。
    そもそも物理的にできない(材料がない、施設がない、どちらも入手の見込みがほとんどない)ことを正面から受け止めない(られない)。
    結果、ちゃんとした(実現可能性のある)計画がなく、当然実効性のあるトラッキングができない。
    とにかく一発逆転・万馬券を狙うメンタリティ。

著者プロフィール

1939年生まれ。同志社大学卒業。ノンフィクション作家。とくに昭和期の軍事主導体制についての論考が多い。

「2022年 『時代の反逆者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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