小さいときから考えてきたこと (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101334066

作品紹介・あらすじ

授業中にちっともじっとしていられなくて、どうやらLD(学習障害)だった(?)子供時代。ロボット犬グレーちゃんとの愉快なテレビ出演、沢村貞子や渥美清等かけがえのない人々との出会い、そしてユニセフの親善大使としてコソボやアフガニスタンの子供たちに出会ったときのこと。どんなときも「ほんとうの幸せ」を考えてきたトットちゃんの言葉が心にあたたかく響くエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 窓際のトットちゃんが映画になる事を知り、この本を読んでみようと思いました。
    私ってLDだったんだと発見する徹子さん。調べて勉強し理解しようとする章。そして、大人はノーホープという悲惨な状況でも子供は希望を持っている。という言葉が印象に残りました。

  • 子どもは実は思慮深い。生きてきた年数は少なくても、大人が経験を盾に理屈で判断するようなことが天性で判断できたりする。そして、その子どもの判断は、常識に縛られた大人とは相容れないものだったりするのだけど、世の中の良識や真理に沿うものだったり、その子なりの筋道だった考え(説明はできないのだけど)によるものだったりする――ということが確かにあると思う。自分の小さいときのことを思ってもそうだから。
    黒柳徹子は、自分の子どもの頃の気持ちをよく記憶しているし、今も子どもの目線で物事を考えることのできる人。そのことは、本書の1編目「赤い松葉杖」をだけでも、十分に表れていると思う。小さかった頃の思い出ばなしや、途上国の子どもたちとの出会いを通して、子どもを尊重すること、子どもを守ることを切々と訴えている本。

  • 「徹子の部屋」で有名な黒柳徹子さんの心に温かく響くエッセイ。表題の通り「トットちゃん」こと、黒柳さんの子ども時代のことから、ユニセフの親善大使で訪れたコソボやアフガニスタンのことなども描かれてます。今まで全然知らなかった家庭環境、子ども好きな理由、そして読書好きな一面などが、飾らない文体で忙しなく(笑)書かれてます。面白おかしく、時にホロリな内容でとても読みやすかった。

  • 徹子さんの文章はとても素直で具体的でわかりやすく、直接心に響くから好きだ。胸の詰まる話、考えさせられる話から単純に面白い話まで話題も様々で読み応えがあった。

  • 黒柳徹子さんが、「純なもの」や「まごころ」をどんなに持っている人なのかがわかった。

    子どもは子どもらしさがありつつも、以外と冷静にまわりをみる節がある。大抵の大人は「純なもの」や「まごころ」の感覚が鈍くなったり、忘れてしまったりするけど、徹子さんはそのまま持って大人になった素敵な方なのだと思った。

    私が印象的だったのは「私の母さん 私の兄ちゃん」。沢村貞子さんの最期を迎えるまでのエピソードだったが、こんな風に人を愛して、人生を満足に終えたいと思った。
    そして、徹子さんに語りかけた「…人に何かをいわれたって、いいじゃないの。自分がしたいようにするのよ。」と話された言葉が心に残る。
    徹子さんの他の大人とは少し違った感覚を全面に受け止め、背中を押してくれる力強い言葉。徹子さんへの愛情が溢れてると感じる場面に、私も何だか背中を押された気がした。

    また、文中にはユニセフ親善大使の徹子さんの語りも出てくるが、20年前とはいえ、「世界の子どもの87%が発展途上国の子どもたちで、13%が先進国のこどもたち」というのには驚いた。
    日本は先進国のなかに入っている。この平和な国で産まれ育ったことを、日々感謝し続けたいと思ったし、多くの人にこの数字を知ってもらえれば、もっと人に優しい世の中になるのではと思った。

  • こんなに良い本に久々に出会った。子供を持つ親はみんな、この本を読んだ方が良いと思う。子供には子供の考えがある、ただそれをうまく伝えられず、大人が理解できてないだけ、自分の小さい頃のことを、この本を読みながら、何度も思い出した。
    涙あり、笑いもあり、期待以上の本でした。

  • 子ども時代の記憶、悲しい状況にいる子どもたちのこと、いろいろな思い出、縦横無尽に語られるそれらを、読めば読むほど、面白い人だな〜、大好きだな〜と単純に思ってしまう。子どもだった頃の記憶を、まるごと保存している、稀有な人。子どものように感じて、大人として一生懸命考える、そのバランスも唯一無二。

  • 先日ラジオのゲストとして出演されていた黒柳徹子さんが、「わたくし、なるべくいつも良い顔でいるように心がけております。」という意味のことを仰っていた。天然なイメージのある黒柳さんだったので意外だったが、やはり努力なのだなと尊敬の感情が高まった。
    サザビーオークションでのお話しも面白く、言わなければならないことを言う、という易しそうで難しいことをする黒柳さんが、とても好きになってしまった。
    キャサリン・ヘップバーンの小物入れか何かを落札しようと張り切っていたら、男の人との競り合いになり、突如立ち上がった黒柳さんは、「こんなことして高い値で取引されるのは、キャサリンさんは望まないと思います。」と仰ったらしく、その場は大爆笑で「競り合いの時にそんな事を云うのはあなたが初めてだ」と言われ、めでたく黒柳さんが手に入れたとか・・

    この本は全部おもしろかったけれど、特に好きなのは「赤い松葉杖」と、「アイボ・グレーちゃんと暮して」と、「お父さんからお母さんを引く???」だ。
    赤い松葉杖には、トットちゃんの優しさや賢さに感動した。
    アイボのくだりには、なんでこうなるの???と思ったが、持つ人によって「物」でもこういう風になるんだなあ、いや、「物」とは思わず、「物風の犬」という感覚なのだろうなあと、つくづく黒柳さんのユニークさに惹かれた。

    ユニセフ大使になったいきさつは、当時国連難民高等弁務官の緒方貞子さんが「窓際のトットちゃん」を読んで、黒柳さんを親善大使にふさわしいと判断したという。
    リベリア、コソボ、アフガニスタンのくだりには、恵まれた国に暮らしている自分たちにできることはなんだろうと、つらくてたまらない。エイズになろうがどうしようが、今日食べるもののために売春する少女や、一千万個の地雷、十歳の少年兵・・
    先進国の子どもたちは、地球上では13%、残り87%は途上国の子供たち。その87%の中の何%がお腹いっぱいのご飯を食べられるのだろう。申し訳ない・・

    とにかく、万人にお勧めしたいと思った本です。

  • 黒柳さんのまっすぐな生き方と、子供への温かいまなざしが感じられて勇気づけられる。実際に内線の現場へ行って子供を励ますエピソードに感動した。ユニセフに募金しようと思った。

  • 『小さい頃に置いてきたもの』を読んでこれは!と思い、購入。こちらも大変おもしろかったです。トットちゃんは依頼された原稿ではなく、大好きだった校長先生のことを忘れてしまわないように、自分のために書いた、のだそうです。ユニセフ親善大使のお仕事の話から、ご自分の失敗談、大人になってからトットちゃんを読んだ研究者らが<黒柳徹子はLDだった>と推論しているのを知ったときのこと、そこからLD(Learning Disabilities:日本語訳は学習障害)は何かと言うのを調べたりして思ったこと、などなどが、黒柳さんの名調子の文体で綴られています。主演舞台があるときに怪我をしてしまって傷を縫うことになった話は、特に面白かったです。ご自身の欠落しているところとか、他の人と違うような性質とかを、良し悪しや価値判断などとは関係なく、ただ単にそうである、と、あっけらかんと書かれていて、読んでいてとても気持ちが良かったです。

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著者プロフィール

女優・ユニセフ親善大使。東京都生まれ。自伝的著書『窓ぎわのトットちゃん』でも描かれたトモエ学園から香蘭女学校を経て東京音楽大学声楽科を卒業、NHK放送劇団に入団。NHK専属のテレビ女優第1号として、現在にいたるまで大活躍している。『窓ぎわのトットちゃん』(1981年)は、800万部というベストセラーの日本記録を達成し、全世界で2500万部を売り上げている。アジア初のユニセフ(国連児童基金)親善大使として、長年にわたりアフリカ、アジアなどを各国を訪問、めぐまれない子どもたちのことを知ってもらうための活動に力を入れている。

「2023年 『トットちゃんの 15つぶの だいず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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