救命: 東日本大震災、医師たちの奮闘 (新潮文庫)

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制作 : 海堂 尊 
  • 新潮社 (2014年2月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101336619

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救命: 東日本大震災、医師たちの奮闘 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  •  今クール(2014年1-3月)のドラマに「螺鈿迷宮」という“死”へのスタンスを軸としたミステリーがあり、同じく医療系の「医龍4」とあわせて楽しく見ていました(個人的ベストは「三匹のおっさん」でしたが)。原作は同名の小説で、著者は“海堂尊”さん、現代医療の抱える病巣に「Ai」というメスを入れようとされている現役の医師でもあります。

     ドラマでは、原作で語られていた“死(体)から学ぶ”との視座が薄くも感じましたが、ふと、海堂さんが以前“死の現場”での医師の力をルポルタージュとしてまとめられた、こちらを思い出しました。

     語り部は、東日本大震災の現場にいた医師。目の前で命を失っていく様子を目撃した人もいた、家族と離れ離れのまま、互いの生死も不明のままの人もいた。そんな“現場”にいたからこその内容となっています。わずかな判断の差が生死の境目となる、そんな冷徹な現実が、シンとした緊張感と共に伝わってきました。

     “修羅場では物事の本質が露わになる。社会の本質はまず医療ありき、なのだ。”

     そんな想いともにご自身の体験を綴っておられるのは、こちらの9人の医師。

      菅野武医師(宮城県南三陸町)
      桑山紀彦医師(宮城県名取市)
      井坂晶医師(福島県双葉郡)
      旭俊臣医師(千葉県松戸市)
      植田俊郎医師(岩手県大槌町)
      江澤庸博医師(宮城県仙台市)
      川越一男医師(千葉県市原市)
      石木幹人医師(岩手県陸前高田市)
      黒田仁医師(岩手県宮古市)

     あくまでも、いのちを救い、死を悼むのが、医者の本分とも言われますが、このような認識はもしかしたら、医者に限った話ではないのかもしれません。

     “いのちに寄り添う”ということは、誰にでもできる事と、思いますから。

     今は震災から3年が過ぎた世界ですが、まだまだ終息はしていない、むしろこれから長い間どう“寄り添って”いけばよいのだろうか、と、そんな事をあらためて突き付けられた一冊でした。

  • 地震だけであったのなら、あれほどの死者・行方不明者は
    出なかったであろう東日本大震災。本書は自らも被災しな
    がら、または震災直後に被災地へ支援に入った医師9人へ
    のインタビューで構成されたノンフィクションだ。

    ある医師は診療中に自分の病院で震災にあった。往診鞄
    だけを持って避難した。避難所ですぐに救護所を設置し、
    避難した人たちの心の支えにもなった。

    「医は仁術」。皆、不安な思いで避難所へ集まった。そこに
    見知った医師がいるだけである程度の不安は解消されるもの
    なのだろう。

    地震だけなら日本には阪神淡路大震災の経験がある。だが、
    津波の被害にはその経験は役に立たなかった。崩壊した
    建物に挟まれた人や大怪我を負った人の手当ては、ほとんど
    必要なかった。そういった人たちは身動き出来ぬまま、津波
    にのみ込まれてしまったから。

    その時、自分に出来ることは何か。情報も、医療機器も医薬品
    も、何もかも不足したなかで医師たちは最善を尽くしたのだろう。
    彼らにとっては「当然のこと」なのだろうが、その行いはやはり
    尊いものだと思う。

    特に自分自身も被災し、心に傷を抱えながら被災者の心のケア
    にあっている心療内科医の話は印象深かった。被災者の話を
    丁寧に聞き、一緒に涙を流す。

    心療内科医の常道ではないのかもしれないが、一緒に泣き、
    一緒に笑う。それで話し手の心は少し楽になるのかもしれ
    ないね。

    ただ、気になったこともある。医療は素晴らしい、行政はダメだ
    みたいな記述があること。あの混乱のなか、行政も精一杯だった
    のではないのかな。

    それに医療にしたって、同じ地域に何組もの支援チームが入って
    いたりしたんじゃないかな。支援が手薄になった地域もあったの
    では?と感じてしまった。

    怪我をしている人はいないか。具合の悪い人はいないか。その場で
    すっと医者としての使命感が頭をもたげて来る。医師としての本能
    なのだろう。日本の医師たち、みんながそうならいいのだけれど。

  • 防災の日の9月1日に読んでみた。
    「チームバチスタ」シリーズの著者・海堂尊氏監修の被災地で実際に活躍した医師たちのインタビュー集。
    実際に病院が被災した医師、家族を津波で失った医師、救急隊として駆けつけた医師…様々な立場の医師の方たちが震災時を振り返り、語っているのだけど、その様子は本当に壮絶で、震災から6年経った今読んでも、思わず涙がこぼれた。
    自らが被災者でありながら、現場を統括しなければいけない使命を守り切った先生方も凄いが、被災地の方々がほとんど混乱もせず、本当に励まし合って生き延びたんだと言う事実がとても胸を打った。
    今回の震災では、ほとんど救命が役に立たなかったと言う。しかし、その後長い期間に及ぶ避難所生活でパンデミックが起きなかったことも、医療関係者の判断と努力だと思うと、本当に凄いとしか言いようがない。
    最後に「精神科医でも心は壊れるんです」と言う言葉が、頭から離れない。患者さんがつらい時に一緒に泣いてくれた先生…たくさんの人が救われたと思う。「共感じゃなく同感」すごく印象的な言葉だった。

  • 震災から5年経って、再度読んでみた。

  • 震災後の医療従事者の苦闘と尽力。
    最近、医療関係の仕事もしているが、現場の方々の苦労と真摯さはつくづく頭が下がります。
    是非手に捕り手お読みください。

  •  医師の立場からの震災記集。各者のコメントがかなり重い。しっかりと認識したい。被災者じゃなかっただけで、こんなにも薄い意識しか持てていないことに自己嫌悪。ただしい情報がなかなか得られない中で、本書の記述はほぼ生のものだろう。
     まだまだ隠れているものが多い、この震災。フォローを継続していきたい。

  • 人間の生死と真摯に向き合い、己れの無力に打ちひしがれながらも、被災地での医療に尽力した多くの医師たちへのインタビューをまとめたドキュメント。

    南三陸町の志津川病院で多くの患者を誘導し、その後も地域医療に尽力した若き医師、自らも心に傷を負いながらも、被災者の心のケアを続けた医師…9名の医師たちの闘いの日々が綴られる。

    監修は海堂尊で、実際に執筆したのは、歌代幸子、増田晶文、吉井妙子の三名。文庫化にあたり、加筆。

    海堂尊が文庫版後書きで書いているが、東京オリンピック招致に浮かれる東京、原発事故の放射能汚染水漏れは制御してると言い張った総理大臣…東日本大震災から三年が過ぎようとしているが、被災地での闘いは今もなお続いている。

  • 文庫化で、さらに多くの方に読まれますように、、、

    新潮社のPR
    「あの日、医師たちは何を見、どう行動したのか――津波の恐怖にさらされ、家族との別れを覚悟しながら患者を誘導、極寒の病院の屋上で人々を励まし続けた医師がいた。自身も心に深甚な傷を負い、ともに涙して患者を癒した医師がいた。個人とプロフェッションの狭間で揺れながら、彼らはなぜ行動し、何を目指したのか。9名の医師による東日本大震災の貴重な証言、感動のドキュメント。」

  • 一躍有名になった菅野医師が初めに出てきたので興味深く読めました。
    自治医科大出身者だったんですね。それなら!と膝を打ちました。

    他にもたくさんの医師が出てきますが、奥様を亡くされた医師や、お役所とやりあった医師も。
    そして最後のAiをめぐっての警察の対応には「驚愕」としかいいようがない。
    この国の「官」はどこを向いているのか。

  • 胸の痛くなるような場面を語る医師達。彼らもまた被災者であるにもかかわらず、ケアされることなくひたすらに奔走する。官をあてにせず、自らできることに全力を尽くす姿に感動した。確かに「日本は官は駄目だが民がいい」。

  • 登録番号:11050 分類番号:498.89カ

  • 3.11。
    あの日にその場にいた医師。
    あの日の後すぐにかけつけた医師。
    それぞれのインタビュー記事。

    あの日にその場にいた医師。
    つまりは、その方も被災者。
    そんな彼らがどう動いたのか。
    なぜ動いたのか。
    かけつけた医師。
    彼らがどう動いたのか。
    なぜ動いたのか。
    それらが明確に書かれている。

    ところどころ、「官」の縦割り仕事、責任を取ろうとしない姿勢、現場を見ない姿勢にイラっとする。
    それは、「官」だけではなく、大きな被害にあわず、数日で日常を取り戻した首都圏の人々の中にもある姿勢だったようで、申し訳ない気がした。

  • 東日本大震災。
    そこにいた医師たち。そこへ行った医師たち。
    今も続く復興支援。
    決して忘れていけない、あの日。あの日々。
    目の前にある、出来ることをやるという強さ。
    そこにある希望。

  • 東日本大震災を、被災者and/or救援者として
    経験した医師たちの告白。

    重い言葉だと感じる所もあるし、
    ちょっと違和感を感じざるをえないところもある。
    それでも、あれだけ悲惨な現場を経験した人物の
    言葉には、一定の意味がある。

    全てを網羅した訳では無いので、
    これで全体観がわかったわけではないが、
    その一部でも垣間見れたこと意味は大きい。

  • ひとのために自らで出来ることが在る、というその医師としての立ち位置を読む。そしてその姿勢は、災害時に限らないものなのだろうと、思わせてくれる。
    それはつまり、医師である以前に、出来ることの在る人間、としての姿勢でもあるからなのだろう。

  • 震災で医療に従事されたすべての医療関係の方々を尊敬します。一部ではありますが、その方々のインタビューという形で、震災の現実を伝えてくれた、価値のある内容の本だと思いました。

    「日本は、官は最低最悪だが、”民”がいい。・・・」
    これだけの善い人たちがいる中で、どうしてこういうことになるのだろうか、、、人災はほんとうにほんとうに悲しいことだと思います。

    そして自分が情けない。

  • このようなログを残すことが,将来に繋がる種と成るだけに,素晴らしい書である.また,医療とは我々の行う研究と同様性善説で成り立っているのだ,ということが実感できる.恐ろしいのは,それらをマネージするのが文系出身で固められる官であること.

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あの日、医師たちは何を見、どう行動したのか――津波の恐怖にさらされ、家族との別れを覚悟しながら患者を誘導、極寒の病院の屋上で人々を励まし続けた医師がいた。自身も心に深甚な傷を負い、ともに涙して患者を癒した医師がいた。個人とプロフェッションの狭間で揺れながら、彼らはなぜ行動し、何を目指したのか。9名の医師による東日本大震災の貴重な証言、感動のドキュメント。

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