きらきらひかる (新潮文庫)

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著者 : 江國香織
  • 新潮社 (1994年5月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339115

きらきらひかる (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 積みっ放しだったけどもっと早くに読めばよかったかも。「人はみんな天涯孤独だ」という、あとがきも良くて…一回読んだだけじゃよくわからない事があったりしたので、たぶん何回か読み返すかもしれない。笑子と紺に惹かれた。ただ登場人物が20代ということに驚いた。雰囲気からするとなんとなく30だとか40代あたりかと…思った。

    出版された頃の世間一般的な精神年齢と実年齢と今とかどんどんかけ離れていくような…宇宙ぽさを感じたり…。

  • 恋愛小説とはちょっと違う

    2枚の診断書がある
    精神病ではない♀ エイズではない♂
    現代風に仕上げているのが話題になる原因か

    恋愛の形はいろいろあっていいのかもしれない

  • きらきらひかるを久しぶりに手に取った。
    中学生の頃、学校の図書館ではなく市の図書館で初めて借りた本は江國香織さんの本だった。
    今まで児童図書ばかり読んでいた私にとって、文章が詩的で、SEXやお酒などの大人の文化が美しく描かれ、教訓とか感動とかを押し売りしていない水の様に清らかな物語は衝撃だった。
    自分が日常で感じた思いを物語として表現するという小説の形があるのだと初めて知った。
    それから多分、その頃出ていた江國さんの本は全て読んだ。ただ、きらきらひかるは私にとって特に難解なもので、いまいち理解出来ていなかった記憶がある。

    同性愛者で医者の優しい睦月とその妻である少し精神異常でアル中の笑子、そして睦月の恋人の若くて天真爛漫で自由な青年紺くん。
    そんな3人の恋愛模様が描かれている。

    初めて読んでから10年以上経って、この物語の良さや深みがようやくわかってきたような気がする。

    とはいえ、やっぱり私は笑子と睦月と紺くんの三人の関係をどうしたって受け入れられないのだなぁと思った。
    ただ、初めて読んだ中学生の頃と違い三人の気持ちを理解は出来るようになった。
    睦月は二人のことをとても愛し、笑子と結婚しながらも紺くんという昔からの恋人を大切にした。(結果的に、笑子と紺くんも同様に自分以外の二人を愛すことになるのだけど。)

    睦月がとてもとても自分を愛しているのを笑子自身も感じ取り、肉体的な愛情の結びつきがなくても、笑子は睦月を愛し睦月が夜勤明けに買ってくるドーナッツを嬉しそうに食べたし、このままの関係がずっと続くことを七夕の短冊に願った。
    睦月は誠実な男だから確かに二人を心から愛したけど、彼はそもそもそのことで二人を苦しめているとは感じなかったのだろうか。
    あの紺くんでさえ、病院で笑子が三人の子を人工授精でつくろうとしていた話を聞いた時、感情的になった。睦月は紺くんのこともずっとずっと苦しめていた。確かに睦月は誠実で、深く二人を愛したけれど誠実であるということは残酷だと感じた。
    私はやっぱり女だから、笑子の味方をしてしまう。笑子があんな風に三人の子をつくりたいと願う程、三人の絆を強固にしようとした姿は痛々しく感じた。「睦月の人生の中で、私はどうしたって紺くんにおいつけない」その言葉は、三人の絆を強くしたいと願った最大の理由なんじゃないだろうか。

    それでも三人はお互いを傷つけない代わりに、少しずつ自分を傷つけていたにも関わらず、最終的には三人の生活を今までより少しだけ親密に続けることを決めた。愛している人の愛しているものを愛す。愛している人の愛しているものは当たり前だけど、たいてい趣味がいいものだ。自分が愛した人だから価値観を理解することが出来る。または、あまりにも誰かを愛するとその人を取り巻く人間関係まで受け入れたくなるものなのかと知れない。

    そんな風に三人は三人とも見返りの愛情とか束縛とかを全てを捨てて愛を与えながら生きる道を選んだように思えた。
    ただ、それは今の感情によって成立するもので、とても壊れやすいものだと思う。三人が三人共、自分以外の二人のことを同じように愛し、愛されたいという欲望を捨てなければならない。ただでさえ、二人の男女が愛し合うことも難しいのに…。なんとなく私にはそんな風な関係に見えてしまった。もちろん。三人は三人ともこの関係を心から望んでいることはもちろん分かるのだけどね。

    そしてもう一つの私が心うたれた点は、銀のライオンたちの優しさだ。
    銀のライオンは笑子のいう「普通とは違う人」のこと。毛色が違い孤立した美しいライオンたちは、笑子、睦月、紺くん、柿井さん、樫部さんのこと。
    アル中で同性愛者で、医者の変人で突拍子もない思い突きを平気で行い、躁鬱気味。
    特に好きな場面は三人が睦月と笑子の家を訪れる場面。
    睦月が想像していたように上手くいかないことを誰もがなんとなく想像していたに違いない。しかし、実際は5人はよく食べよく飲みよく笑った。居心地のいい空間を作ったのは笑子だ。それは笑子が最初から自分を取り繕わなかったからだと思う。不自然な食卓と間のずれた会話。それでいてのびのびとした姿。そんな彼女を見て、普段は社会の中でなんとかうまく取り繕い生きていた銀のライオンたちはのびのびと息を吸うことが出来た。普通でなくていい、そのままの自分でいいという関係を笑子が自然に作り上げたと感じた。
    また彼等は他人と理解し合えないということを自分自身で痛いほどわかっているからこそ他人に強要や世間の価値観の押しつけをしていないように思った。
    やっぱり、すこしだけ歪んでいるからこそ、世界に優しくできるんだなぁと思った。


    初めて読んだ中学生の頃に、人を愛するという気持ちや世間の常識が荒波の様に迫ってくること、人の感情は変化していくこと。そういうこを理解する方が難しかったのだと思う。
    誰かを愛するということは至極美しく、至極悲しいことなのだと、それでもやはり不意に恋に落ちてしまうものなのだと。

    江國香織の本をもう一度、じっくり雨の日やお風呂の中で読んでみたいと思う。

  • 医者でみてくれのいいホモと合意で結婚する。
    女の仕事はイタリア語の翻訳
    ついでに夫のステキな恋人とも意気投合して仲良くなる。

    ムカつくほど行き遅れた女の理想が全部並べられてて、8割方の女子が「わたし、こんな感じ好き〜」っていうと思う。

    そうなると、逆に恋愛感情が出てくると酷ですね。
    この酷な部分がこの話の読むべきところよ。

    睦月と笑子の間に生まれた愛情はほんとに信じていいのかな?

    水を抱くようなもの…睦月の父おやに言わせたこのひと言が凄く利いてる。

  • 美しい小説だった。
    笑子が「ずっとこのままがいい」と願ったように、わたしもずっとこの物語を読んでいたかった。二人の生活をずっと覗いていたかった。

    笑子はとても純粋で、可愛くて。笑子がとってしまう行動は自分と重なるところもあって、やけに納得してしまった。そして、笑子を宥めるときの睦月は、恋人に似ている。

    笑子と睦月の性格が本当にすきで、この二人の名前が性格のイメージにあまりにもぴったりで感動してしまったほど。
    紺もよかった。すごく。

    何度も読み返したいとおもう。

  • アルコール依存症で精神不安定の笑子とホモで恋人のいる睦月は、すべてを認め合って結婚した。

    ふたりのあいだにセックスはないけど、愛がある。
    その愛は、痛いくらいムボウで純粋で、でもものすごく自然。

    傷つき、傷つけながらもお互いを見つめていくことをやめられないふたりの願いは、はかなくも、ずっとこのまま変わらないでいられますように。

    でも_


    めぐのいちばん大好きな小説です。
    めぐは笑子かもしれないと思う。
    もう、何回読んだか分からないくらい読んでます。



    愛ってなにか。

    読むたびにそれをもんもんと考えます。


    答えは、見つかっていません。



    あとなにが良いかって、あとがきがいいんです。

    すっごく気に入った文章だったから、高校生のころあとがきだけ暗記してました。

    この短いあとがきが、この本のすべてをくるんでいるような気がします。


    読めばからなず胸がくーっと痛くなって、そしてみずみずしい感性を取り戻せる気がします。


    普段からじゅうぶん気をつけてはいるのですが、それでもふいに、ひとを好きになってしまうことがあります。

    ごく基本的な恋愛小説を書こうと思いました。誰かを好きになるということ、その人を感じるということ。人はみんな天涯孤独だと、私は思っています。

    素直に言えば、恋をしたり信じあったりすることは無謀なことだと思います。どう考えたって蛮勇です。

    それでもそれをやってしまう、たくさんの向こう見ずな人々に、この本を読んでいただけたらうれしいです。

  • もう何度か読んでるから解っているけど、このお話は痛みが伴う。じゃーなんで読むのか?と問われたら、本当のとこはわからなくて、なんとなく読みたくなってしまう。そんな大好きな話。

    なんにも求めなくて、何もなくさない、何もこわくない関係が続く事を望む笑子。最初から求めないなんて、物分かりの良さを持ち合わせてしまうのは、やがて変化してしまう事があることに気づいているからなのかな。そんな笑子の強がりが可愛いくもあり、切なくて泣けてしまう。

    二人の関係が揺らぎはじめてからの、必死で大切なものを守ろうとする姿が好きだ。睦月も笑子も紺も皆んな好き。人には、自分にだけ分かるしっくりくる場所があって、いろんな形があって、それぞれがちゃんと選びとっていることに、すごく安心する。

    読み終わったら、ほわっと少し温かくなって。そこがまた、たまらなく好きだ。

  • 再読。

    設定だけ見たらなんともドロドロしてるのにそれを感じさせずむしろ透明感すら感じさせる江国香織さんの文章や言葉の選び方が素敵。
    睦月は立場的には憎まれるはずなのに人柄やどこまでも深い優しさに切なくなる。
    優しさ故の傷付きとはまさにこのこと。
    笑子も紺も皆ボロボロに傷ついて、切実にこのままでいることを願っている気持ちが凄く切ない。

    読み終わった後に凄くセンチな気持ちになって色々思い耽ってしまう様な小説。
    考え込んでしまい考えさせられるとても深い小説。
    でも大好きな小説。
    また繰り返し読もう。

  • 「好き」とか「愛してる」とか、人の想いを表す言葉はなんでこんなにシンプルで少ないんでしょうか。
    もっといろんな言葉で表現できたら、もっとみんな納得いって幸せになれるのだろうに。

  • お互い結婚したくなかったから結婚した、アル中の妻と同性愛者の夫。
    そしてその夫の自由奔放な恋人。

    アル中の妻は小さな子供のようにふるまい、今にも崩れそうな不安定さで生きているが、自分の心に嘘がない。
    同性愛者の夫は医者で、限りなく優しく、そのために鈍感。
    夫の恋人はまた幼く、わが道を行く、風変わりな少年。

    不思議な関係は江國香織によって瑞々しく描かれ、
    そして不可能なはずのハッピーエンドがもたらされる。

    その後、別の本にて続編が描かれ、
    結論としてはこのハッピーエンドを覆すものとなったわけだけれど
    それでもこの本を読み終わった後の何とも言えない幸福感は
    この結末になって本当に良かったと思わせてくれた。

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