きらきらひかる (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.78
  • (2657)
  • (2189)
  • (3782)
  • (311)
  • (73)
本棚登録 : 22468
感想 : 2595
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339115

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 江國さんの小説、どちらもこちらも、
    夢見てるみたいで、いつも溶けてしまいそうになる

    面白いとか面白くないとかそういうことじゃなくて、あ~、この人の文章が読みたい!ってなって読みにいってしまう、ひと。

    完璧な人はもちろんこの世にいないんだけど、
    江國さんの小説の登場人物は、みんな、いい所と悪いところが強烈に主張しあっていて、不安定なのに強くて、綺麗で繊細なのに人間味があって、いいよな~と、なる。すき!

  • 終始読んでいて苦しかった。情緒不安定な笑子も、優しすぎて嘘をつきたくない睦月も、私には理解できないし、読んでいると、真綿で首を絞められているかのような気持ちになって、苦しかった。

    こういう物語を読むと、私はいつも思う。「本人たちが納得しているなら、それで良くないですか。それだけじゃダメなのでしょうか」と。本人たちが納得する形で愛し合っていて幸せなら、それで周りに迷惑をかけないのなら、それで良いじゃないか。
    でも、ダメだと口を出したくなる人たちはどうしてもいる。本人たちにとって、もっと良い幸せの形があるんじゃないか、と思いたい人たちだ。「普通」の幸せを願う人たちなのだ。

    笑子と睦月と紺の三人は、とても脆くて、壊れやすい関係性だ。それでも、互いを愛せずにはいられない。それは決して、「美しい」の一言で表せるものではないと私は思う。美しくも歪で、苦しくて儚い、そんな世界に没入できる作品だった。

  • 江國香織って多分変態やと思う。美しい文章の中に変態要素多すぎる。情緒不安定なのを酒で満たすの、やめろおーーーーー。

  • 江國香織さんの短編でない小説を初めて読んだ。

    わたしは下戸なので、お酒に関して明るくはないし
    音楽性もないものだからここに描かれる嗜好に
    関して一切言及はできないけれど、
    この本全ての比喩がとても美しく感動した。
    優しい短い一文の中に、人物像や物事の
    本質が透けて見える。
    とても分かりやすく読みやすかった。

    同性愛者の睦月とその恋人、紺。
    睦月の妻である笑子。3人の奇妙な
    愛によってのみ成り立つ不安定な
    関係性が、読んでいくごとに深みを増し、
    どうかうまく行ってほしいと願わずに
    いられなかった。

    誠実であるためにどんな犠牲も厭わない
    つもりでいた睦月が、実は一番身近な
    愛するふたりに対してとても不誠実だったとして、
    それが彼を咎める理由になるんだろうか?

    ただ好きで一緒にいたいという根本的な愛の前で、
    他人であるわたしたちがどうこう言う資格は
    ないと思う。
    いろんな愛の形が、受け入れられて広く丸く
    収まっていけばいいなとおもった。

  • 不思議と笑子に共感してしまう。なんとなく憂鬱な気持ちから抜け出せない、どうしようもできない自分も他人も。この作品を読むとごちゃごちゃした私の、こんな日常の中にも、きっと物語がひそんでるんだって思えて、少し救われた気がしました。

  • 知人に勧められてめっちゃ久しぶりに読了した小説。
    女流作家は苦手意識があり、本作もまた女性向けという断りもあったので、果たして読み切れるのか不安もあったが杞憂に終わり一気読みできた。
    ふむふむ、こういう純愛もあるのかと納得。そして最後は少しウルっとした自分がいた。

  • 恋愛小説とはちょっと違う

    2枚の診断書がある
    精神病ではない♀ エイズではない♂
    現代風に仕上げているのが話題になる原因か

    恋愛の形はいろいろあっていいのかもしれない

  • 医者でみてくれのいいホモと合意で結婚する。
    女の仕事はイタリア語の翻訳
    ついでに夫のステキな恋人とも意気投合して仲良くなる。

    ムカつくほど行き遅れた女の理想が全部並べられてて、8割方の女子が「わたし、こんな感じ好き〜」っていうと思う。

    そうなると、逆に恋愛感情が出てくると酷ですね。
    この酷な部分がこの話の読むべきところよ。

    睦月と笑子の間に生まれた愛情はほんとに信じていいのかな?

    水を抱くようなもの…睦月の父おやに言わせたこのひと言が凄く利いてる。

  • 美しい小説だった。
    笑子が「ずっとこのままがいい」と願ったように、わたしもずっとこの物語を読んでいたかった。二人の生活をずっと覗いていたかった。

    笑子はとても純粋で、可愛くて。笑子がとってしまう行動は自分と重なるところもあって、やけに納得してしまった。そして、笑子を宥めるときの睦月は、恋人に似ている。

    笑子と睦月の性格が本当にすきで、この二人の名前が性格のイメージにあまりにもぴったりで感動してしまったほど。
    紺もよかった。すごく。

    何度も読み返したいとおもう。

    • 319mgさん
      >笑子と睦月の性格が〜
      という感想がどんぴしゃりで、感動してしまいました。
      笑子と睦月って本当イメージ通りの名前ですよね。

      睦月のような...
      >笑子と睦月の性格が〜
      という感想がどんぴしゃりで、感動してしまいました。
      笑子と睦月って本当イメージ通りの名前ですよね。

      睦月のような宥め方をしてくれる相方さんということで非常に羨ましいです(笑)

      読んでいる作品も似ているのでついコメントをしてしまいました。是非またレビューお願いします(^^)
      2012/05/17
  • わたしの中で、今のところ最高の、理想的な人間関係の形。好きなものを好きだと言って、個人だけで生きていけたらいいけど、簡単ではない。体裁とか普通とかそういう纏わりついてくるものを切り離せない。どうにかしたくて、自分のままで平穏に生きていきたくてもがいてる3人が、人生いろいろあるよね、のいろいろを内包した関係をなんとか構築していく話。笑子と睦月だけでもだめだし、紺と睦月だけでもだめで、3人が必要。大事なものがたくさん詰まっていて、ひとつひとつがきらきらひかるんだな、と思った。

全2595件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

江國香織の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×