きらきらひかる (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339115

感想・レビュー・書評

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  • 昔々、友達に貸してもらって読んだ初めての江國香織さんの小説。

    この小説が好きすぎて、貸してくれた友達にこの本をもらった笑
    今でいう、〝借りパク”ではなく、
    正々堂々とお願いして、もらえた‼️‼️
    いや、そんなに好きなら自分で買いなさいってことだけど、その友達にプレゼントしてもらう(無理やり)ことに、当時のわたしには意味があった…ように思う。

    本の感想ではないけど、当時の自分のこととか、思い出す小説なんです❤️❤️

  • 直情的で感情を制御できない笑子に魅せられてしまう。

    同性愛者の睦月と、少しいい加減な精神科医に、正常の範囲内と診断されている笑子の結婚。

    本人たちには肉体交渉はなく、互いに恋人を持つことまで認め合っているが、互いの両親は、自分の子が抱えている「特殊な事情」しか把握していない。

    笑子は夫、睦月に恋愛感情はないものの、その恋人、紺も含め、その全てが睦月だと受け取って、安心できる世界だと感じ、全幅の信頼を寄せ、時に剥き出しの感情を爆発させる。

    一方の睦月は、そんな笑子を恋愛感情でなく、尽きることない情愛で、その全てを受け止める。慈愛に満ちた神のよう。

    笑子、睦月、紺、このまま変わることなく毎日が続いて行けばいい•••。

    読みながら、登場人物たちを思わず応援してしまった。

    こんな人間関係もあっていいと思う。

  • なんて残酷な人なんだろう。ひどい男。

    何度か睦月の襟元を掴んで揺さぶりたい衝動に駆られた。優しいからって優しいわけじゃない。

    兄妹なら良かったのだろうか。ペットなら、あるいは親子なら。友達は絶対にだめ。友達なんて、一番忍耐が問われる関係なんだから。大人な人しか友達は作れない。

    残酷な人だなぁ。そして睦月が身近にいれば私も、間違いなく睦月の事を好きになる。睦月は全てを受け入れる。受け止めて受け入れて与えるけれど、求めない。一方通行の関係は成り立たないのに。

    ああ寂しい。切ない話。

  • 凄く素敵だった、夢を見てるみたい。
    紺くんも睦月も笑子もどうしようもなくて愛しい。3人にしかわからない幸せ。
    金魚をお風呂で泳がせること、木に紅茶をあげること、絵画のおじいちゃんに歌を歌うこと。
    淡々と受け入れる睦月が好き。ちぐはぐなのにまっすぐな笑子が好き。飄々としてるのに繊細な紺くんが好き。

  • お互いを大事に想っているのに、この生活をずっと続けていたいと思っているのに、そのままでいさせてもらえないのが苦しかった。
    紺くんがどんな人なのかもっと知りたかった。笑子も睦月も紺くんもみんな好き。
    笑子の奔放で純粋で一生懸命なところが好きだった。情緒が容易く揺らいでしまうところも含めて、魅力がある人だなと思った。睦月のやさしすぎるところを、とても好ましく感じながらも同時にずっと苦しかった。

    ずっと泣きたい気持ちでいっぱいだった、でも、最近読んだ本で1番好き。

    p76. 87. 117-118. 136. 149-151. 181

    追記 紺くんがいちばん素直な性格なのかもしれないな思った。猫みたいな。睦月はずっとやさしくて、それがとってもずるいと思った。
    きらきらひかるって題名とってもしっくりくる。
    刹那的なきらきらひかる日々をぎゅっと詰め込んだみたいな、そんな本。

  • 再読。アル中で精神の不安定さを抱える笑子とゲイで恋人もいる医者の睦月の結婚生活。…というあらすじを読んだときはどんだけどろどろなんだろうと思っていたけれど、水のしずくがぷくりと膨らんだきれいな形のまま、すとん、と落ちるような文章で描かれた純粋で迷いのない笑子さんや、やさしさを当たり前に誰にでも配ってしまう睦月、奔放で毒舌家な恋人の紺くんに気持ち良くラストまで導かれてしまう。何度読んでも、おいしい水を飲んだような読後感がある。江國さんほど“瑞々しい”という表現の似合ってしまう作家はいないのじゃないかと思う。

  • 柔らかく、静かで切実な人々の話
    境遇が重なるわけでもないのに何故だかとてもこころが掴まれて涙が出てくる
    この本をもっと早くに読んでいたら、わたしは一番心を許しているあの娘をちゃんとすきになっていたかもしれないって思う

  • 大好きな本

    結婚を後悔しているような発言をする睦月に対して
    笑子が放った言葉が「頭悪いんじゃないの」なのがたまらなく好き
    わたしも言葉なんてほんとのことを言うためのものじゃないと思う。

  • 江國香織さんの小説は文体が美しく、密やかな恋を繊細かつ大胆に描く描写が好きです。

    『きらきらひかる』は、いちばん好きな小説です。好き嫌いが分かれそうな筋書きですが。歪んだ愛情に見えて、これほど痛いほどに、相手を純粋に思う愛ってあるのだろうかと思います。

    まさに、珠玉の愛、という感じがします。
    人間の「人間らしい面」がよく出ています。

  • 初めて読んだ江國香織さんの作品。
    心理描写が繊細で心にガンッて響いてくる感じがしました。

著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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