流しのしたの骨 (新潮文庫)

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著者 : 江國香織
  • 新潮社 (1999年9月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339153

流しのしたの骨 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • おかしな家族のお話。妙ちきりんだけれど平和な家族と、そんな一家の日常に起きる、ちょっとした事件たち。聞いたこともないような常識や習慣だらけの家族なのに、主人公が家族に向ける視線は、どこか自分と通じるところがある。ばらばらなのに繋がっていて、言葉にしなくても分かってしまうのに、それでもお互いを救いきることはできない。どこにもないようで、実はよく知っている家族のお話。

  • この本にはたくさんのいいなぁが詰まっていて、読み終わるたびにいいなぁが増えていく。ところどころの細かくてわかりやすい描写に、あ、それ、知ってる!となんだか嬉しくなる。それも読み終わるたびに増えていく。

    とくになにか大きなことが起こるわけではなくて、宮坂さんちの日常のお話。なのにこんなに面白い。

    大抵人はなにかしていないとだめって思われる。暇な時間がいけないみたいに、よく言われる。一人の時間も、恥ずかしい事のようにされがちだ。

    だけどこの本の主人公はなにもしていない。まずそこがいいなと思った。なにもしない静かな一人の時間を丁寧に描いている。

    食事をごはん、と書いてあるところも好き。

    あったかいお茶とかコーヒーとかを飲みながら、クッキーとかケーキとかを食べたくなる。

    多分これからも何度でも読むだろうし、なにか読みたいなと思ったら真っ先に手にする本。

  • 読み終わってすぐ、また最初から読み始めたくなるような、不思議な魅力をもった物語でした。
    この家族の空気にとりつかれてしまったみたい。
    メビウスの輪のように、同じ場所をぐるぐるまわって、閉鎖的だけど、息苦しくはなく、なぜかとても憧れます。

  • まだ読んだことない本が棚にたくさんある、と思って整理をしていたら発見。

    江國香織かー、「きらきらひかる」が好きだったな。
    この本はまだ読んだことないや、と表紙を見ながら思った。

    1ページ目1行目を読んで衝撃。

    「読んだことあるじゃん」

    読み進めていくうちに内容を何となく思い出してきて、
    そうかそうか、しま子ちゃんてこんな子だったな、とか
    律、いいぞいいぞ、バランス取ってくれてありがとうとか心の中でたくさん
    つぶやきながら読みました。

    読めば読むほど、初めて読んだ当時の思い出が蘇り、
    こと子ちゃんの誕生日の前日の出来事を読んで、
    「あ、私がこれを読んだのはことちゃんと同じ二十歳の頃だったわ」と思い出した。
    そして男性に初めて奢ってもらう食事の特別さをすっかり忘れて、
    何をごちそうになったかさえ思い出せない自分を悔やんだな。という思い出。

    読んだ内容や本の表紙は覚えている方だと思っていたのに、自分に失望しつつ、
    覚えていなかったからこそ、また出会うことができた一冊。

    きっとこんな感想を持つことを、この家族は許してくれると思った。
    そんな、気持ちがおっとりしてふわふわして、なめらかになる作品でした。

  • 読んでいる時は「この家族変!」とずっと思いながらイライラしてたが、読後しばらくして思い返すと、どこの家族も他人様には知りえない不可解で変な日常があるのかもしれなと考えるようになった。というか、こういう変な人々を許容できる人こそ幸福なのかもしれない。自分を省みていろんな事を考えた。ほっこりする、とかの類いではなかったけど不思議ちゃんにはお勧め、かな?

  • 両親と三女と一男、ちょっと変わっている人たちだけど仲良く幸せな宮坂家の日常。何か大きな事件が起こるわけでもなく、ちょっとした出来事は静かな日常のスパイス。家庭というある種の閉じた空間、日常であって閉鎖的、それは流しの下のよう。そして、どこの家庭も他から見ればおかしなことがある。それは流しの下にそっと置かれている何かの骨のようである。

  • この本は、実家に帰る電車の中で読んでいた。

    家族と自分がどう関わるか、両親の人生と自分の人生をどう考えるか。答えのないことでもやもや。

    そんな中で読んでいて、家族とはおかしなこと、うまくいかないこと、どうにもならないことを乗せ、それでも走っていくバスなんだと、思った。

    ここに出ている家族は、毎日同じ朝ごはんをたべる。近所で小さな縁日があれば楽しみにして出かける。ささやかな喜びしかないように見える。しかし、どこかがへんてこりん。

    ちょっとずつ、歯車がずれている。それは家族の当たり前、文化。違和感なく、サラサラと日々は流れる。

    自分の両親と向きあっていて、
    なんでこうなっちゃうんだろう?と、思うけど、家族とはおかしさを含むものだと、思ったら、気が楽になった。

  • 隣のお宅の家族の、外国よりも遠いローカルルール。
    家族のなかで大切にしている事を、ひとつひとつ丁寧に綴った物語。
    何回も繰り返して読みたくなる面白さです。

  • 毎度お馴染み、江國香織独特の温度感がそのままでてる。久しぶりに江國節を感じたい時に裏切らない一冊。内容としてはただの日常の徒然なのだが、それを小説として出版できるのは著者の日常の切り取り方・物事の形容の仕方がとても独創的で面白いから。

  • 江國さんの作品でダントツに好きな一冊です。

    傍から見たらごく普通な、もしかしたら普通より少し常識的にさえ映るかも知れない。そんな宮坂家のお話。
    しかし三女こと子の目線を借りて覗きこんで見ると、みんな少しずつ妙ちきりんで読み進めるうちに、その妙ちきりんさが愛おしく思えてくる。

    普段はそれぞれが自分の摂理に基づいて生活しているのに、ここぞという時に垣間見せる団結力が微笑ましい。
    決して家族の絆とか大切さを声高に叫んでいるわけじゃないのに、勝手にこちらが家族って本当にいいなぁってしみじみしてしまう。
    宮坂家は絶対に家族を拒まない。帰りたくなったら、いつだって受け入れてくれる。
    そんな感覚が心地よくて、つい折に触れて何度も読み返してしまいます。

    それと江國さん作品ではお馴染みでもある、美味しそうな食べ物の数々が話の至るところに登場します。
    どれもさらりと添えられている程度の描写なのに、すごくそそられてしまう。
    だから読むときは必ずおやつと飲み物が必須です。そしてその後の夕ご飯がシュウマイだったりしたら、もう言うことなし!

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流しのしたの骨 (新潮文庫)の作品紹介

いまはなにもしていず、夜の散歩が習慣の19歳の私こと子、おっとりとして頑固な長姉そよちゃん、妙ちきりんで優しい次姉しま子ちゃん、笑顔が健やかで一番平らかな`小さな弟'律の四人姉弟と、詩人で生活に様々なこだわりを持つ母、規律を重んじる家族想いの父、の六人家族。ちょっと変だけれど幸福な宮坂家の、晩秋から春までの出来事を静かに描いた、不思議で心地よくいとおしい物語。

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