- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101339160
感想・レビュー・書評
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物語の情景もイヤミス感も全て含めて夏に読みたい物語でした
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11人の少女が語り手の短編集
はるかちゃんが出てきた -
冷たくて生ぬるい短編集。
今思えば大したことないのに幼いゆえにトラウマや忘れないことって誰しもあるんじゃないかと思う。それが勘違いや怖がりすぎなだけでも。大人になって何年も経つけど思い出すと怖いことも。なぜか誰にも言えないまま大人になったということも。ホラーだと思うくらい生々しく少女の目線で書かれている。すいかの匂いと水の輪が特に好きでした。
過去に戻りたいと全く思わないけどこの誰にでもある奇妙な経験は私だけのものなんだなと思えた短編集でした。
すいかの匂いのルンペンという言葉の意味を調べたら1930年頃によく使われていた言葉だと知り、小説の内容をちょっとだけ知った気になって嬉しかった。 -
どうしてそんなことをするのかとか、不思議だなあというのが第一に浮かんだのですが、自分にも昔おなじようなことがあったのを忘れているだけだと気づきました。
たぶん大抵の子どもが知っている、手持ちの言葉では処理が追いつかない体験や感情、殺戮。それを大人になって鮮明に書くことができる江國香織さんの頭の中は一体どうなっているのか。
自分たちが忘れている罪や恥を掘り返して目の前に並べられているような居心地の悪さです。
「目を逸らすという行為を知ったのはずっと後になってからだ」という一節があるけど、子どもの頃の体験ってまさにそんな事ばっかりですよね…(思い出される後悔の数々)。 -
不安定さと繊細さと未熟さが入り混じった作品が多かった。
子どもゆえの不自由さを感じる作品もいくつもあった。
刹那的で、自分の心を持て余して、うまく表現できない少女たち。
心の弱さからついてしまう嘘。
なんだか少し切ない。
おもしろかった。
2003.10.11
どこかしらゆがんでいたり、こわれていたりする子どもたちの物語だった。子どもの残酷さをとてもよく表現している。そうだ、この子供たちはゆがんでないし壊れてもいない。子どもゆえの残酷さ。私だって同じだったのだ。大人になると丸くなってゆく感覚。痛みと引き換えに、その残酷さは少しずつ消えてゆくのかもしれない。
2000.12.22
なんか、とても静かに不気味な感じがした。心の奥の方がザワザワする感じ。水面はおだやかなのに、そのそこでは何かがぐるぐるしている感じ。そういった文章と物語だった。「焼却炉」のおにいさんがとても心に残った。悲しい。寂しいと思う。うまくいえないけれど、やるせない。 -
覚えている、全部覚えているよ。子どもの頃に見た「夏」を。でもいつか消えちゃいそうなの。常にノスタルジックに感じているし、あの時の感覚は徐々に思い出せなくなっている。それを何となく、また思い出せた、かも。
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すごすぎる、大好き
本文もそうだけど江國さんのひみつがやばい、的確 -
初めて江國香織を読んだが、この作品はかなり特殊??
妙に生々しく、じっとりした感覚が不気味だった。世にも奇妙な物語、みたいな雰囲気。 -
一番のお気に入りは『ジャミパン』 たいてい不幸に描かれそうな境遇の女の子だけど、この主人公の目を通して語られる母親像がすごく魅力的に思えた。
どの作品も少し不憫な女の子たちが主人公や登場人物でいたりするけど、全部記憶として消化されている話だからか心がざわつくことなく読み終えられる。ただ『はるかちゃん』だけはどうしようもない不安で苦しみながら読んだ。
当時の少女たちが一体どんな大人になって、この記憶を思い返してるんだろう、とか思いを馳せる。 -
どこか不穏で引き込まれる... 夏の懐かしさを感じる短編集。主人公は女の子で繊細、自分が少女の頃こんな気持ちになったことがあるなぁ、とか思いながら読んだ。 中でもあげは蝶とはるかちゃんが好き。気分転換にちょうど良かった。