東京タワー (新潮文庫)

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著者 : 江國香織
  • 新潮社 (2006年2月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339214

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東京タワー (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  •  あれよあれよという間に読み進んだが、けっきょくのところ、オトナになろうと背伸びをしながら思う通りに行かなくなってしまった男の子と、まるで新たな母親を自分で選ぶようにコドモであり続けることを積極的に選択していく男の子の話。それぞれ性的な交わりも描かれ、いかにもオトナの場所が登場人物たちの舞台に選ばれているのだが、作品全体に漂うこの青くささというか、現実感の欠如したふわふわした感じはいったい何だろう。タイトルの「東京タワー」にも、いかにも思わせぶりな描かれ方なのに、記号としての存在感さえ感じられない。これはいったいどういうことなのか?

  • 登場人物がそれぞれ魅力的。
    本全体としてひんやりしててその空気感が好きな1冊。
    何回読んでも飽きひんのやけど、何故か結末が印象に残らない。不思議。
    多分ストーリーより空気を味わっているからやと思う。それでいいんちゃうかなー…

  • 「ここで、終わり??」というのが、正直な感想。

    大学生の青年二人と年上の既婚者の女性との恋愛。

    主人公の透は、母の友人でもある詩史との
    恋にどっぷり浸かっている。
    透の友人の、耕ニは悪魔のような喜美子に夢中になる。

    二人のカップルは、対照的な関係だと思う。
    透&詩史は、透の精神的な純粋さと繊細さがあり
    とても清潔な感じがする。
    詩史の、年上のズルさはあるが・・。

    耕ニ&喜美子は、欲望に満ち溢れた少しドロドロしたように感じる。
    透から見れば、耕ニは
    「本当に人を好きになったことは無い」

    二つの恋愛の行先は、関係性同様に対照的。
    最後は書かれていないので、気になる。
    また、少し大人になったら読んでみよう。

  • 恋はするものじゃなく、おちるものだ。

    年上の詩史と過ごす甘くゆるやかなひと時―大学生の透の世界は満ちたりていた。一方、透の親友である耕二は女子大生の恋人がいながらも、蠱惑的な喜美子との肉体関係に夢中だった。夫がいる年上の女性と大学生の少年。東京タワーが見守る街で、二組の恋人たちが繰り広げる恋愛を描く。

    私が本棚にずっと置いておきたい一冊。夜の間だけ暗闇にぼんやり浮かび上がる東京タワーの灯りのように、幻想的で儚い二組の恋人たちの物語が綴られている。詩史も喜美子も夫がいるのだが不倫の泥沼感は全く感じられず、むしろ純粋な感情(喜美子と耕二は感情と言うより欲望)で恋をしている。夫がいるが故にどちらの恋人たちも、いつかこの関係に終わりが来ることを感じながら寄り添っている。物語は情熱的な一方、終末の寂しさを常に漂わせている。さらに著者の静かな文章と絶妙な言葉選びで、ため息をついてしまうくらいに美しい物語に仕上がっていると思う。

    「恋はするものじゃなく、おちるものだ」という言葉の「おちる」は「堕ちる」にも通じているように思う。透も耕二も、不覚にも恋愛にどっぷりと浸かっていく。有り余る時間は学生の特権である。しかし透にとって詩史が全てであり、その有り余る時間で部屋にこもり、彼女からの電話一本をひたすら待ち続ける。詩史がいない場所には興味を持てず、どこにいても何をしていても詩史のことを考えてしまう。透の世界が徐々に詩史に染まっていく様が、恋愛の静かな狂気を感じさせる。そして読者もまた、東京タワーの下で繰り広げられる恋愛模様に惹き込まれ、心を奪われていくだろう。

  • 何度も読んでいるけど。うつくしい話。映画を見たので岡田くんと松潤が想起されるのも良い。

  • 恋愛が難しいのは、
    合理性との矛盾だと思う。

    例えばスポーツとか勉強だったら、
    それが好きでたまらないほど、夢中になればなるほど、
    有利であるし成功にも繋がる。『合理的』だ。

    しかし恋愛においては時に
    相手を好きであればあるほど、好きであるからこそ
    それが相手との確執を生み、時には別れという事態を招く。


    愚直なまでに1人の女性を思いつめ、
    最後には1つの形を成した透。
    何もかもを手にいれようと策を弄し、
    結果としてすべてを失った耕二。

    2つの若い恋愛の形は
    読者に何を語りかけるだろう。


    ちなみにどちらに共感するかと問われれば、俺は断然「耕二」だなー。
    単に読んでてそっちのが面白い説もあるけど。

  • 若い男性二人の目線で描かれた、それぞれの、年上の女性と不倫のお話。
    透明感のある文体で、生々しいような場面でもどこか浮遊感のようなものが感じられて、あまり人間臭くない。
    江國さんらしい。

    この恋の行方、気になるところ。

  • 物語にすうっと引き込まれるような感じが心地よかった。
    詩史のせりふが素敵だなと思った。
    大学生と主婦の危険な関係を描いているのに、東京タワーというシチュエーションが、物語の温度をほどよく冷ましていると思う。
    けど、最後の展開はバタバタしていて、あまり好きではなかったなぁ。

  • こういう本、男子高校生とか男子大学生が普通に読んだりするのだろうか。もしいるなら、感想を聞いてみたいと思う。

    基本的に二人の大学生(男)を主人公として語られる恋愛物語である。高校時代の友人である二人は、確かにそれなりに魅力のある若者なんだけど、なんというか影が薄い。自分のペースで人生を渡っていっているようで、実は女たちに振り回されているに過ぎないと言うことが、あとになればなるほどわかってくる。

    それに比べて、女たちの魅力はどうだろう。軽薄な男である僕には、やっぱり詩史さんの魅力は謎めいていてすごいけど、そのほかの女性たちもとても生き生きとしていて、切ない。男性二人の視点から描かれる物語では女性たちの心の中をのぞくすべはないのだけれど、だからこそ、彼女らの豊かな内面を想像せずにはいられないし、それを想像できない男性二人がじれったくなる。

    情熱的な喜美子も悲しいし、由利の一途さも寂しい。でも、一番心に残ったのは、後半にさっと登場し、人生が思い通りに行くものではないことを全身で相手に教える吉田さんである。人生が行動能力外のものになる、というフレーズはすごいと思うけど、人生を行動能力内であると思い込めるあたりが「若さ」のものすごいところで、そういう若さを,別の若さが簡単に粉砕してしまうのが、恋愛の一番怖いところだ。

    それにしても、この小説に「東京タワー」というタイトルをつけるセンスというのはすごいと思う。あの場面で,唐突に物語を語り終えるのも。
    2009/3/8

  • すっかり江國香織holicみたいになっていて、
    彼女の作品ばっかり読んでるなぁ。


    江國さんの作品は、
    読み返すたびに感情移入する人物が変わることが多い。
    これもそう。
    前に読んだときに共感したのは、
    耕二の彼女の由利ちゃんだった。
    それはもう、圧倒的に。
    でも今回はそうじゃなかった。
    立場的には一番近いはずなのに。


    前にはわからなかった詩史の心の揺れが、
    今ならちょっとわかる。
    詩史は詩史で透のことを愛してしまったんだとわかる。
    「ひどい夏」を迎えるのも自業自得だと思っていた耕二が、
    実は一番大学生らしく積極的に人と関わろうとしていて、
    そのぶん一番健康的なんじゃないかと思った。
    少なくとも透よりは。


    東京タワーの見える街での恋物語。
    「恋はするのもではなくおちるものだ」 という言葉が、
    本当に透によくあてはまっていると思う。
    静かに落ちて、おぼれていて、それが少しこわくさえある。

    「するものではなく、おちるもの。」

    でも、落ちたところからの抜け出し方が書かれてないから、
    わかるけれども踏み込めない。


    江國香織の小説には、音楽がよく似合う。
    静かなBGMを聴いているような感じがする。
    それから、この小説には雨がよく似合う。
    雨の日にまた読み返したくなるような気がする。

  • 台風の日ような一冊だった。
    強い台風が通り過ぎてゆくのを、雨戸を閉めた家の中でじっくり待っている感じ。

    最初は静かで、徐々に荒れて、激しくなって、乱れて、そして、静寂に戻るような。
    そんな起伏がある物語で、虜になって読んでいた。

    透と耕二の対比もおもしろかった。
    刃のように研ぎ澄まされた純愛と欲が生み出した蟻地獄にハマっていくような恋愛の違い。
    どちらも「20歳の男」の危うさを描いていて、ころころと場面が変わっていくのも、楽しかった。

    映画版とはきっと別ものだけど、キャスティングはすごく合ってると思う。
    オススメ!

  • 若さに抗うことができなかった女、経験には敵わなかった男…登場人物達がいじらしくて等身大で、でもこんな人たち本当にいるのかしら?と疑ってしまうほど真っ直ぐで。東京タワーというタイトルも何処かノスタルジーを感じつつ、不思議な感覚で読了しました。由利さんの聡明でだらしない感じが好き。昔の文化人を感じます。

  • 2017.9.13読了
    透と自分が重なるところがあり、客観的に見れた。

  • 大学生になってからちょっとずつ読むようになった江國香織。有名だけど若い男がおばさんと恋する話、くらいの知識で読んでみた。
    結論、何も分からなかった。本を読むことが何かを分かることだとは言わないけど、え?これで終わり?って思ってしまった。ここまでの300ページ超はなんだったのか。
    元々不倫モノがとても苦手で、でも江國香織の言葉選びは好きで、大学の教授にも「好きそう」だと後押しされていたので(何が根拠かは謎だが)、もしかしたらイメージが変わるかも?と期待していた分ショック。良さが分からない自分にも。
    文章は自分にとって読みやすいもので、苦ではなかった。時間を置いてもう一度向き合いたい。

  • 透がとっても危うい。ころげおちていってるというより、自分でダイブしちゃってるようなおちかた。江國さんの本はあんまりたくさん読んでないけど、東京タワーで特に思ったのは、登場人物の名前がしっくりくるってこと。詩史さんの旦那の「浅野」っていうのとか。なんかしっくり。

  • 二人の恋愛の痛みが身に染みる
    全体的にスラスラ読める文体が江國香織のよさだと思う

  • 透と耕二の視点が交互に移る構成なので、詩史と喜美子の思いは言動から推し量るしかない。そのため、いつかこの関係が終わるのではないかとの予感がありつつも、先がどうなるのかが見通せず、くいくいと読まされました。
    自分がコントロールするという意識が強い耕二が、思うようにならず狼狽えるところとか、本音が見えない詩史の心の内が、ワンシーンの行動で明らかになるところとかが面白かった。
    結局、恋愛を継続させるポイントは、いかに相手と真摯に向き合うかってことですよね。

  • アーモンド形の目。

  • どうも主人公の男子と同じ世代の私が読むには違和感を感じる。

    もう少し年が上であればすんなり読めるのだろうか?


    主人公の男子2人、どちらも自分をコントロール出来ない、そんな不安定なさまを読んでいてあらまあと楽しむことも出来ず。

    年をとればまた見方も変わるのかもわからないけれど。

  • 大学生の透は恋の極みにいた。年上の詩史と過ごす甘くゆるやかなひと時、世界はみちたりていた。恋はするものじゃなく、おちるものだ。透はそれを、詩史に教わった。一方、透の親友・耕二は、女子大生の恋人がいながらも、蠱惑的な喜美子に夢中だった。彼女との肉体関係に…。夫もいる年上の女性と大学生の少年。東京タワーが見守る街で、二組の対極的な恋人たちが繰り広げる長篇恋愛小説

  • 江国香織さんの本を高校生の時に読んでから、あまりストーリーが好きではなく遠ざかっていたけど、大人になって読み返してみたら少しだけ彼女の本の良さが分かったような気がする。

    ストーリーは確かにあまり好きではなかったけど、文章や表現の能力がすばらしい。読み進めていくうちに、ふと何かを思い出しそうになったり、懐かしい気持ちになったり、いつのまにか登場人物に共感していたりしていた。
    耕二の兄はなぜ初婚から実家に戻ったりしたのか、吉田は何を考えて耕二の元へ行くのか、詩史と夫の奇妙な関係、喜美子にあの夜一体何があったのか。なんの解決もされてないのに、そんな色々なエピソードをわたしの心に残した。
    優しい哀愁のようなものを感じながら、江國香織ワールドにどっぷり浸かっていた。

  • 大学生と既婚女性との不倫関係二組の話。透と耕二、男2人の目線で書かれている。男性心理として、相手の趣味を一生懸命に後追いするところや、無限とも思える性欲、自分は他の大学生とは違うと勘違いしているところなどは共感出来たけれど、さほど芯を捉えられたようには感じなかった。一方、女性は性欲のピークを35で迎えるらしいことを踏まえれば貴美子が耕二に魅了されたのも理解出来る。が、詩史については夫との関係も含め最後まで理解出来なかった。いつか女性の感想をきいてみたい。

  • 気持ち悪い。特に詩史って勘違いした高校生を誘惑する40女が不気味すぎる。何をどう取り繕おうが気持ち悪い。よっぽどセックスだけの35女の方が気持ちいい。いずれにせよ、若い男たちにもある程度年齢の行った女性達にも、更には若い女の子達にも失礼なクソ小説だと思った。クソ。

  • わたし結構、江國香織すきだなって思いました。透にもハラハラするし、耕司にもザワザワさせられた。誰もが傷つけあって傷つけられて。そういう意味で、すごく心が動かされたなって思いました。ただなあ、不倫と浮気性っていうのが、どうしても受け入れられなかったんだ。あと吉田が、ぞっとする存在で怖かった。でも、いるよねこういう子。そんな感じ。

  • 高校生のときに読んで以来の再読。するする読めた。
    当時の私は一体これを読んでなにを思ったのかさっぱり覚えてません(笑)
    ハードカバーの装丁が夜景なのに対して、文庫版は夜明けの都市なのがまた素敵です。

    透と詩史、耕二と喜美子。
    不倫は不倫なんだけれど、どうしても不倫と言い切りたくないような繊細さと清潔さ。
    作者自身が言うように、人生とはまったく相容れない部分にある恋愛のように感じました。
    詩史が透に贈るひとつひとつの言葉が聡明で、どうして透が詩史という女性に惹かれてしまうのかわかる気がする。
    同時に進行する、大人ぶるわりにがむしゃらな耕二とは対照的で、でもどちらの少年の報われない恋も応援したくなってしまいます。

    不倫にはきっと始まりと終わりしかないけれど、この小説の結末は良い意味で曖昧。
    物語としての起伏もなく、ただ淡々とすすんでいくだけなのにドキドキしました。

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東京タワー (新潮文庫)の作品紹介

人妻と関係を持つ二人の大学生が、世界の全てだと考えて、彼女と過ごせる時を途方もなく幸福だと感じる人と、本名の彼女がいます。それでも人妻との関係を辞められない人が、会えない時に彼女の好きな音楽や本を読み聴きしています。
19歳の大学生と人妻が冷静で朗らかです。正直に生きていると、楽しいことがあるという東京タワーの物語です。

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