- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101339214
感想・レビュー・書評
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江國香織ワールドが好きだ。ふわふわとした浮遊感、世界にそこにどんな苦しみや悲しみがあっても透明感のある一種の美しさがある。
現実に嫌気がさしたときに読むと、自分の生きている世界が少しだけ美しく、優しく見えてくる。
だから、私は彼女の小説が好きだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江國香織の小説はあとがき込みで素晴らしいんだよなぁ...
個人的に、透目線の描写がすごく魅力的に思えて好きだった -
江國香織だから読んだようなもので、ストーリーは好みじゃない。江國香織の文才と纏う空気で読めたけど、登場人物は好きじゃない。破滅をみなまでみせないラストが江國香織らしいと思った。私は破滅までみたかった。この青い青年たちが、こてんぱんになるところをみたかった。
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p.35
「だって忙しいんだろう、バイトだの何だのでさ」
高校時代から、耕二の忙しさは変わらない。
「忙しいさ」
耕二は胸をはった。
「でも時間はつくるよ。必要なものには時間をつくる」
p.69
幸福かどうかは重要なことじゃない。それがどういう意味なのか、そのときの透にはわからなかったが、いまはわかるような気がする。詩史さんに与えられる不幸なら、他の幸福よりずっと価値がある。 -
江國さんの作品は、「冷静と情熱のあいだ」以来。
綺麗な文体ではあるけれど、読み慣れてないせいか、
最初は戸惑った。
性的な描写はあるけれど、
いやらしさは感じない。
2人の男子大学生、
19歳から20歳になるという年齢設定が、
彼らの心の動きを象徴しているようにも思う。
ラストは少し拍子抜けする感じと、
ちょっとの不快感をもったものの、
素敵な作品だったと思う。 -
今のなんでもすぐに連絡できちゃう感じじゃなくて、昔の電話しか連絡手段がない恋愛がいい。
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あらまあって思った。
主人公二人の心情が何故だかよく分かるような気がした。歳が近いのもあるんだろうけど。 -
大学生と人妻という不倫関係にあるのにも関わらず、なぜかそんなことを忘れてしまうくらいに真っ直ぐで綺麗な文章。なぜこの設定の上でここまで綺麗に描けるのか。江國さんはやっぱりすごい。この本を読んで、やっぱり江國さんが好きだと思った。
個人的には 可憐で艶やかで気品のある詩史さんに心惹かれてしまった。詩史さんのような女性になりたいと思ってしまう読者は多いと思う。透の詩史さんへの想いが、恋心をとても繊細に美しく描いていて、共感の嵐だった❤︎ 最後だけ、ここで終わっちゃうの?と少し思ったけど、小説としてはとっても好きな類のものでした。 -
一途な透と詩史の恋。恋はするものじゃなく落ちるものだ、透はそれを詩史に教わった。対照的な、激しく貪る耕二と喜美子の恋。大学生と人妻の、いってみれば不倫なのに「東京タワー」の照らされた街ではこんなにもキラキラする(きっと東京以外の街ではこんなにも輝かない)。よいことをしているわけでもないのに、なんでドロドロしないんだろう。ドキドキ綺麗にかがやくのだろう。男性側の感情表現もよく描かれている。私的には、耕二と喜美子の恋が人間味があって印象に残っている。