- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101339214
作品紹介・あらすじ
人妻と関係を持つ二人の大学生が、世界の全てだと考えて、彼女と過ごせる時を途方もなく幸福だと感じる人と、本名の彼女がいます。それでも人妻との関係を辞められない人が、会えない時に彼女の好きな音楽や本を読み聴きしています。
19歳の大学生と人妻が冷静で朗らかです。正直に生きていると、楽しいことがあるという東京タワーの物語です。
感想・レビュー・書評
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東京への往復に読もうと買った
東京やし
関係ないね
江國香織さんやし
確かに文章は美しい
でも、こういうのはあまり好きじゃない
〈19歳の大学生と人妻が冷静で朗らかです。正直に生きていると、楽しいことがあるという東京タワーの物語です〉
そうかなあって思う
彼のその後が心配です
彼の友人も心配です
その元恋人も心配です
やはりバアサンには向いていない本でした
≪ 恋におち 正直に生きる それでいい? ≫詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そんなに面白い物語ではないと思いながらも、結局最後まで読んでしまった。江國さんの文章がいい。
詩史さんの、
一緒に暮らしたいひとと一緒に生きたいひとは違うという言葉がいつまでも頭に残っている。
透の視点で話を読んでいるからか、つかみどのろのない詩史さんのことが素敵に思えた。 -
2人は歳上の人妻と不倫中という点では共通しているけど、溺れ方は対照的
どんな結末になるのやらと想像しながら読んだ割にはバッサリと終わった
まあそうかとも思った
恋と欲に終わりなんて無いですし
でも透のその後は気になる -
この手の恋愛小説は初めてでした。登場人物の相手に対する恋愛感情が社会的によしとされるかと言われるとそうではないですが、それぞれが相手に抱く気持ちの中にその人が現れている感じが好きです。
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登場人物がそれぞれ魅力的。
本全体としてひんやりしててその空気感が好きな1冊。
何回読んでも飽きひんのやけど、何故か結末が印象に残らない。不思議。
多分ストーリーより空気を味わっているからやと思う。それでいいんちゃうかなー… -
恋はするものじゃなく、おちるものだ。
年上の詩史と過ごす甘くゆるやかなひと時―大学生の透の世界は満ちたりていた。一方、透の親友である耕二は女子大生の恋人がいながらも、蠱惑的な喜美子との肉体関係に夢中だった。夫がいる年上の女性と大学生の少年。東京タワーが見守る街で、二組の恋人たちが繰り広げる恋愛を描く。
私が本棚にずっと置いておきたい一冊。夜の間だけ暗闇にぼんやり浮かび上がる東京タワーの灯りのように、幻想的で儚い二組の恋人たちの物語が綴られている。詩史も喜美子も夫がいるのだが不倫の泥沼感は全く感じられず、むしろ純粋な感情(喜美子と耕二は感情と言うより欲望)で恋をしている。夫がいるが故にどちらの恋人たちも、いつかこの関係に終わりが来ることを感じながら寄り添っている。物語は情熱的な一方、終末の寂しさを常に漂わせている。さらに著者の静かな文章と絶妙な言葉選びで、ため息をついてしまうくらいに美しい物語に仕上がっていると思う。
「恋はするものじゃなく、おちるものだ」という言葉の「おちる」は「堕ちる」にも通じているように思う。透も耕二も、不覚にも恋愛にどっぷりと浸かっていく。有り余る時間は学生の特権である。しかし透にとって詩史が全てであり、その有り余る時間で部屋にこもり、彼女からの電話一本をひたすら待ち続ける。詩史がいない場所には興味を持てず、どこにいても何をしていても詩史のことを考えてしまう。透の世界が徐々に詩史に染まっていく様が、恋愛の静かな狂気を感じさせる。そして読者もまた、東京タワーの下で繰り広げられる恋愛模様に惹き込まれ、心を奪われていくだろう。 -
詩史からではないかもしれないと思うのを忘れて電話をとった一節がとても好き。この一文だけで狂おしいほど恋していることが伝わる。
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人間の生々しい感じがする。人と人とは愛するとは、考えさせられる作品の一つ。
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先日久々に手にした江國作品がかなり良かったのでまたも未読の作品を選び取ってしまった。
2人の男子学生、透と耕二。
真逆のようにも思えるふたりの共通点は、共にひとまわり以上歳上の女性と恋愛をしていること。しかも既婚の。
しかし一途な透とは異なり、耕二は大学生の彼女がいながら、歳上の恋人・喜美子と割り切った関係を築いている。
最近は意図せず不倫ものや、セックスばかりしている小説ばかり手に取ってしまい、そのどれもが殆ど美しい文章たちなんだけど、なんだか疲れてしまっている。
そういうわけで、本作はかなりスローペースでの読書となってしまった。
似たようで似ていない2人。
透と詩史は可憐で、残酷にも艶やかに映ったけれど、耕二と喜美子はなんだか醜く思えた。
何故なのだろう。
やはり江國さんの作品には、優雅で流れるような時間を過ごすキャラクターに期待しており、激情型の喜美子は見てられなさを感じたからかもしれない。
この人の作品は、女性が主人公の方が良さが出ますね。
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雨のかおりが、湿度が、嫌な感じのせずひんやりと物語を漂っている。
詩史がそう望むなら、たとえ月が二つでてもおどろかない。
少年らしいあどけなさがあって、それでいて大人のように全身で愛しているのだなと感じた。
詩史と透がほんとうに好き。
江國香織さんの作品を読むと、ひとりでいたいと思うし、人のことを胸が捩れるほど愛したいとも思う。 -
半熟卵をからめた焼きアスパラガス!
大人になったら食べたいと思っていたもの。
詩史さんの台詞がたくさん染みついて、
今の私は、大人のふりして生きている。 -
p68「私は私の人生が気に入ってるの」いつだったか詩史はそんなことを言った。「そんなに幸福っていうわけじゃないけれど、でも、幸福かどうかはそう重要なことじゃないわ」
たとえば電子レンジで温めているラーメンを4分半待つとする。待つだけじゃとてもとても長い時間に感じるけど、待ってる間にこの本を読めば嘘じゃなく40秒くらいに感じる。どちらかというと不器用ではなく、透のように自分の気持ちに素直に器用に生きてるように見える人、あるいは器用に生きれるようになった人達の物語で、だからこそ面白かった。器用に生きれたとしても抗えない本能が当たり前にあることが。その本能に全て従ってしまった瞬間に今が崩れてしまう年代であり環境であり、それでも抗えないもの。大切にしたいのに大切にしてはいけないもの。だからこそ大切に思うのか、大人になっていく今の私で読めてよかった。
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ゴールのない恋。ゴールが無いからこそ、無防備なほど純粋に向き合える。人を好きになる理由などない。好きな理由などうまく説明できないはずない。言葉にしようとすると、たぶんすべて嘘になってしまう。好きだというどうしようもない事実。逢えば必要以上に求めてしまう。失ってしまうとわかっていても。東京タワーはほろ苦い気分にさせられる。
P.S. 詩史さんが読んでいた本は全部読んでみたい。 -
物語にすうっと引き込まれるような感じが心地よかった。
詩史のせりふが素敵だなと思った。
大学生と主婦の危険な関係を描いているのに、東京タワーというシチュエーションが、物語の温度をほどよく冷ましていると思う。
けど、最後の展開はバタバタしていて、あまり好きではなかったなぁ。 -
これで終わるのかーと思ってしまったのが正直なところ
大人の女性と男子大学生の恋って、文章だからスッと入ってくるんだろうなあ -
恋は落ちるものでした。都会で大人でどこかガキで。だいすき。
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言葉の清廉さが圧倒的な人だ。彼女の本を読んでそう思った。
詩史と喜美子。年を重ねた人間の美しさが、言葉に表れている。時には子どものように不安になったり怒りを爆発させたりするけれど、基本スタンスはまっすぐで洗練されている。2人に共通する金銭的余裕も、そうさせるのかもしれない。
透と耕二。周りの人間をよく見ている。そして好きな女性を思い浮かべたときの表現が、とても情緒的。さまざまな言葉を使って彼女たちとの体験や時間を思い返す。果たしてそれほど表現豊かな男性が本当に実在するのだろうか?と周りの男性を思い出して不思議になる。
誰一人として共感はできないが、でも人間ってこういうものだよなと深く深く納得する。どこか自分と似ている人、かつ自分にないものを持つ人に強く惹かれる。手からこぼれ落ちそうになったときほど、強くその人を求めて。
彼らの恋愛はそう永く続かないのだろうけど、いつまでも悩みながら生きていてほしい。 -
年上の彼女と少年達の恋愛。ありそうできっとないだろうこの妙な物語がリアルでいつのまにか目が離せなかった。言葉の選び方がとても好き。“恋はするものじゃなく、おちるものだ”
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何度読んでも味わい深い
男の子に読ませて人生狂わせたいと思った。
本当に何度読んでも色褪せない、人生を考えさせられる。 -
「人と人はね、たぶん空気で惹かれ合うんだと思う」いつか詩史がそう言っていた。「性格とか容姿の前にて、まず空気があるの。その人がまわりに放っている空気。そういう動物的なものをね、私は信じてるの」 -
透ーーーーーー!!!!俺だーーーー!!!!
結婚してくれーーーーーーーーー!!!!! -
あー、すげー。
言葉の使い方が半端なく上手い。
ファーストフードのような言葉で感覚の鈍くなった脳みそにこういう言葉を伝える幸福。
他の作品も読もうと思った -
2人の男子大学生、透と耕二の目線から、それぞれの恋愛を描いた小説。男性の視点から語られるのは江國さんにしては珍しい気がする。
19、20歳頃の男の子二人は本当に多くを語らない。自分の気持ち、思ってることの半分も言葉にしない。言葉にしたらもっと単純なのに、とも思うけれど、感情をぶつける女性的なやり方とは根本的に違うのかもしれない。この本を読んでいる間、男性側の恋愛観をよく考えさせられた。
それにしても、江國さんの描く女性はどうしてこんなにもきっぱりしていて素敵なのかな。
弱々しい部分があっても、結局は自分できっぱりと決めて進んでしまう。心の中にはうねるような激流の気持ちを抱えていても、それをそっとしまってさらりと生きている、そんな風に思える。自分の気持ちを飼い慣らして生きるのは、恋となると大人でも難しい。たまにそれが垣間見えた時、男の人はびっくりしてしまうのかな。
詩史さんの言葉
「一緒に暮らしてはいなくても、こうやって一緒に生きてる。」
「孤独ぶりたがりのティーンエイジャーとはちがうから、私はもう一人ではいたくないの。」
胸の中にしん、と残る言葉だなと思った。
年を重ねて大人になっていくのも、素敵なことだななんて思う。
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高校二年生の時に読んだ。
遅めの思春期を迎えていた頃に読んだから私の恋愛に対しての価値観はこの作品から多大な影響を受けていると思う。
江國香織の数多くある著書の中で一番好き。 -
江國香織ワールドが好きだ。ふわふわとした浮遊感、世界にそこにどんな苦しみや悲しみがあっても透明感のある一種の美しさがある。
現実に嫌気がさしたときに読むと、自分の生きている世界が少しだけ美しく、優しく見えてくる。
だから、私は彼女の小説が好きだ。 -
江國香織の小説はあとがき込みで素晴らしいんだよなぁ...
個人的に、透目線の描写がすごく魅力的に思えて好きだった