雨はコーラがのめない (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.43
  • (94)
  • (165)
  • (308)
  • (51)
  • (14)
本棚登録 : 2661
感想 : 174
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339245

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ひと通り読む読み方で今回この本に触れたけど、これはワインみたいに少しずつ一回一回を味わって楽しみたいと思った。
    江國香織さんの音楽の表現、感情の表現、すごく好き。音楽が自分の中に入ってきて気分を変えたり、時には同調することもある感じすごく共感した。

  • 全164頁
    一遍4~6頁、全31編

    江國香織さんの犬と音楽についてのエッセイです

    一遍に1つずつ昔の名曲が取り上げられ、その音楽を聴いた感想が綴られています。読み始めは、名前は知ってるけどちゃんと聴いたことないんよなって少し残念な気持ちで読んでいました。
    だけど、江國さんは音楽の解釈、愛おしさや感動といった気持ちの言語化を型にはまらず自由に、かつ綺麗にしっくりくる形で描き、30曲以上あるにもかかわらず、それぞれ違った読み応えを得ることができました。

    特に印象に残ったところがこちらです。

    “私はこのアルバムを、とても親しいもののように感じるのだけれど、それは具体的な親しさであって、たとえばひいおばあちゃんに会った感じ。会ったことのない人なので「なつかしい」と言うわけにはいかないけれど、でも「知ってる」という感じ、「つながっている」とわかる感じ。”

    ここを読んだとき、似たような感覚を思い出しました。
    1年ほど前、大橋トリオさんの音楽にこんなふうに感じ、わたしにピッタリの言葉を発見したと嬉しい気持ちになりました。また再読したときには、共感できることが増えてるかも?と早くも再読が楽しみです。

    また、犬と江國さんが一緒に音楽を聴いたり、散歩したり、と読んでいると心が暖かくなる場面が多く、途中涙しそうになったり、勇気づけられるエピソードも入っていました。

    最後に、本作は歌と生き物が好きな人は特に楽しめると思います。毎日がちょっと楽しくなるのでオススメです!

  • 愛犬と、音楽にまつわる、お話。
    うらやましいなぁ。

  • 雨はコーラがのめない(新潮社文庫)
    著作者:江國香織
    発行者:新潮社
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    いつも一緒に音楽を聞いたり、散歩に行ったり、おもちゃで遊んでいる。甘えたがりの愛犬との特別な日常の物語。

  • 私はペットを飼ったことがない。江國さんの雨に対する愛情が溢れんばかりに伝わってきて幸福なエッセイだった。各章で紹介される音楽を検索しては聴きながら一章ずつ読んだ。なんともめんどうくさいようで全く苦ではなかった。むしろ贅沢な読み方をしてしまってごめんなさいという感じ。寝る前に数章ずつ、数日かけて読んだ。読んでいる最中の幸せだけでなく、お気に入りの音楽を増やすことができて嬉しい。スザンヌ・ヴェガの曲がとくに気に入っています。

    • 大野弘紀さん
      素敵

      雨のように

      本のように

      唄のように

      素敵

      雨のように

      本のように

      唄のように

      2019/08/01
  • 江國さんと彼女の愛犬、雨。その時々の気分に合わせた音楽。「まったり」と過ぎていく時間を掬い取ったエッセイ。

    ---------------------------------------

    雨に対する江國さんの溺愛っぷりが微笑ましかったし、視力を失っていく雨の様子で年月の流れを感じられた。
    こんなふうに好きな音楽を紹介できるなんて素敵だなあ、とうっとりしながら読んでいたら、この先ずっと忘れないであろう名文に出会ってしまった。

    ”音楽を聴くためには自分の人生がいる。”(P92より引用)

    自分の心情で、聴いている音楽の感じ方は変わる。悲しい気持ちのときに、悲しい曲を聴けば寄り添ってもらっているような気分になるかもしれない。もしかしたら、さらに悲しい思い出が蘇ってきて、感傷に浸れるかもしれない。
    それは誰の人生でもなく、自分の人生だからなんだよな。
    当たり前過ぎて見失っていた感覚。

  • 雨と「わたし」と音楽についてエッセイ。犬を飼ったことがある人なら、誰しも彼らの成長を見つめることの幸せを喪失感を知っている。雨の変化に「わたし」が沈んだ時すらも、胸を張って生きるその姿勢に胸を打たれ励まされる。読者と読者の愛犬との記憶をより具体的に思い出させてくれる一冊だ。江國香織の作品を読んだのは今作で三冊目。彼女の文章は、明朝体とすごく良い関係を築いていると思う。そこかしこで見るどの明朝体よりも、彼女の本の中の明朝体は際立って美しいのだ。そしてその美しさは、彼女自身の人となりそのもの、のような気がする。そう信じて良い気がすごくする。

  • 江國さんの、音楽と犬の雨についてのエッセイです。面白かったです。
    音楽の好みは違っていても、一緒に音楽を聴いてくれる雨がいいなぁと思いました。
    江國さんによる、雨の言葉も出てくるのですが、それが可愛いです。
    強い気持ちになるために聴く音楽、や、クイーンについてのエッセイもあって、登場する聴いたことのない音楽も聴いてみたくなります。
    犬派にとって、とても素敵なエッセイでした。

  • 不在の存在、これが1番共感した。わたしも家族であるうさぎが病院に1日入院した時、彼女の不在を強く感じて寂しくなった。それが愛しくて、泣きそうになる。
    心配してしまう性格も、安心したがりだという江國さんの感性がとても好きだ。

  • 雨はコーラが飲めないけど、雨はそれ以外のたくさんのものを受け入れる。飼い犬と音楽を聴いたこと、ないなあ。

著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

江國香織の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
吉本ばなな
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×