- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101339283
作品紹介・あらすじ
犬とハモニカは江國香織さんが書かれた小説で川端康成文学賞を受賞された作品です。空港の到着ロビーで行き交う人々の人生を鮮やかにすくい取った短編作品です。妻が眠っている家に帰った男性の心の変化を描いていたり、夫婦間のちょっとした問題を見つめ描いたものだったりとあたたかい孤独に満ちた6つの作品が収録されています。
感想・レビュー・書評
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ブクログのレビューを見て、読みたくなった作品。
ですが、数ページ読んだだけ。
江國香織さんの作品は、初めて手にしたと思います。
著者は1964年東京生まれ。
『犬とハモニカ』は2012年に発表されたので、著者が48歳位の時に書かれた作品になります。
この作品は、川端康成文学賞を受賞されています。
川端康成文学賞は、
川端康成氏の残された偉大な業績を長く後世に伝えるために、昭和四十七年に設立された財団法人・川端康成記念会の事業の一環で、本賞、賞金等は故人の受けた「ノーベル文学賞賞金」を基金としています。審査の対象は短篇小説とし、その年度における最も完成度の高い作品に授賞します。
とのこと。
第1回(1974年)の受賞作『ブロンズの首』~第44回(2018年)の受賞作『こことよそ』まで、続きました。
が、現在は、休止中とのことで、復活が待たれます。
休止の理由は、審査委員長である川端香男里理事長の体調不良と財政の問題とのこと。
よって、スポンサーが見つかるなどで財政の問題が解決すれば、再開の可能性があるとのこと。
2021年4月24日、追記。
2021年3月1日に、選考を再開することを発表したようだ。
良かった。
●2023年6月17日、追記。
川端香男里さんのことが気になったので、調べてみた。
ウィキペディアには、次のように書かれています。
---引用開始
川端 香男里(かわばた かおり、男性、1933年(昭和8年)12月24日 - 2021年(令和3年)2月3日)は、日本のロシア文学者。東京大学名誉教授。川端康成記念会理事長。妻は川端康成の養女・政子。旧姓・山本。実父は英文学者で翻訳家の山本政喜。美術史家の若桑みどりは実妹である。
---引用終了
川端香男里さんは、川端康成さんの義理の息子さんになるようですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ピクニックが好きで、髪の毛を乾かしながら二回読んだ。ああわかるな〜って思うんだ 新居とともにあった本
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わたしは、本を読んでその感想を言葉におこすのは本当に苦手です。そのかわり、本を読むと、言葉にならない匂いや、色や、質感や、味として、その作品を感じているような気がします。
今までに江國さんの本をたくさん読んだわけではないけれど、江國さんの本は江國さんの"におい"が凄くする。平易な言葉で書かれているからするする読めるのに、絶対に江國さんのにおいがする。不思議。この感覚ごとみんなに伝えられたらいいのに。 -
すごく透明感のある文章。
鋭い観察力。さすがだな。 -
現国の先生が一番好きと言った本。
しかしなんだこれは。
一言で言うと分かりずらい。曖昧な表現、誰が言葉を発したのかも書かれていないのでよく迷子になる。何故そうしたか、どういう感情なのか、終わり方もよく分からないまま。
一旦落ち着いて、ゆっくり文字を意識しながら再度読んでみる。
何故そうしたのか
これはどう言う意味だろう
もし私がこの人だったら何を思う?
作者は何を伝えたい?
なるほど、段々と分かってきた。そういう事か。
久しぶりに自分の想像力をフル回転した気がする、幼い頃のように。これは新しく楽しい。
読者に分かりやすい表現を使う事だけがいい文章とは言わない。ただ目の前にある文章を鵜呑みにするのではなく、自分で考え想像し探し出す読み方もとても楽しく好きだと分かった。
なんだか良い本に出会えた気がした。この作者の本をもっと読んでみたい。 -
やっぱり江國香織さんの言葉が大好きだ
綺麗な洋画みたいな風景が頭の中に浮かんでくる
最後の 「アレンテージョ」が特に好き
どの話も特に展開に起伏はなく、ただ人と人の話だ
それなのにこんなに心に残るのがとても不思議
江國さんの本を読んだあとは、何でもない日常の風景がとても愛おしく感じます -
江國香織さんの本は、他に何を読んだだろうと思って見直してみると『がらくた』しか入っていなかった。
意外だ。私が手に取りそうなタイトルはたくさんあるし、実際知人が手に取っているものはたくさん知っているのに。
そんなわけで、二冊目。
手に取らなかった理由は、多分、女の人の生の感じが強い気がしていたからだと思う。『犬とハモニカ』はタイトルからは女の人な感じはしない(笑)
たくさんの登場人物が出てくるのに、繋がりの中の淋しさを抱えている話ばかりだった。
ほんとうの一人では気づかない淋しさは、痛くてぐるぐるして、耐えられない。
けれど、意外と(とは失礼だけど)さらりと書かれているな、という気がした。
「犬とハモニカ」は視点の多い話で、離婚を告げられた夫、離婚を告げて心を固めるために海外に旅行する妻、人との違いに敏感な娘の家族が登場する。
わらわらと人の多い空港では、皆、小さな点でしかないのだけど、ぽかりと浮き立った感じに見える。
「夕顔」は源氏物語からだが、儚いというよりは無邪気にこの世を去ってしまう夕顔がキュッと愛おしくなる。
「ピクニック」の新婚夫婦もかなり異質である。夫は妻を魔女だと考え、自分が異物であることを妻に思い知らせようとする。周りからみると微笑ましい光景なのに、そうではない冷たさが漂う。
オビにあるように、淋しさに満たされるかは分からない。ひんやりとした隔たりの中で、流れに沿ってゆく人々を見つめている、そんな小説たちだった。 -
江國香織を読むのは久しぶりだったけれど、昔とは少し変わった気がする。透明だったものが、色が付いたような感じ。
掲載されている短編はどれも面白かった。特に好きだったのは、源氏物語の夕顔の段を江國香織さん流に書き直した作品と、最後のポルトガルの田舎町でバカンスを過ごすゲイのカップルの話。どちらも、空気の匂いや光の具合、風、虫の羽音や衣擦れの音などを直に感じられるようだった。 -
江國さんの短編小説はどこかワクワクしてしまう自分がいてそれって何かに似ているな〜と思っていたら付記に“短編小説を書くことは、いつも旅に似ています。”とかいてあってこれこれと納得した。寝室の51ページにある言葉が素敵、すごく好き。ピクニックは一番好き、杏子が名前を覚えられなかった文章、可愛くて面白くて大好き。でもこれ分かる、私の恋人も四文字なんだけどたまにあれ、これであってたっけ?となる。私もあなたと呼んでみようかな。