いじめの時間 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2005年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339610

いじめの時間 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • いじめの報道が毎日のように繰り返されている。

    ブックオフで何気なく手に取ったこの本を読んでいる間に、
    世間が(というよりメディアが)このような状況になったのも、
    なにかしらを感じずにはいられなかった。

    いじめは、いじめをなくそう!といったところで、それは戦争をなくそう!と同義くらいの遠さで我々の眼に映る。
    その根は深く、また鬱屈した、それこそ人間の原悪のようなもので。
    何があったから、いじめ、いじめられるんではない。
    というのが、ものすごくわかりやすく書かれている小説。

    アンソロジー系は、好き嫌いがとにかくはっきり出るのだが、
    今回はそれぞれ短編ながら読み応えがあった。

    特に『緑の猫』『亀をいじめる』が良かった。

    多くの人は、いじめるにしろ、いじめられるにしろ、傍観するにしろ、
    多少なりとも通過するこの問題だが、
    読み終わった後、あの逃げ場のない、その世界が全てな感じが息苦しく思い出され、
    そしてそこから逃れるため自ら命を絶ったこどもたちの未来を思うとたまらなくなる。
    その形でしか逃げられなかったというのがわかりすぎて、
    安易に自殺はだめだ!だのいう大人に憤りを感じずにはおられない。

  • いじられる子といじめる子、まわりにいる子、まわりにいる大人。
    いじめをテーマにした短編集。

    子どもたちは(ときには大人も)、みんな知らず知らずのうちに心に傷を負っている。傷に気づかない子もいる。その傷をなんとかして癒し、自分を守るために、「いじめ」てしまうのかな。わたしたちは誰しも、いじめの加害者になりうる。

    江國香織さん「緑の猫」は『いつか記憶からこぼれおちるとしても』で既読。印象深い作品。湯本香樹美さん「リターン・マッチ」は胸に突き刺さった。

  • 痛い。
    ページをめくるごとに、悲痛な叫びが聞こえ、心をえぐられた。
    最後まで読むのが苦しかった。

  • 一番印象に残った作品は湯本香樹実さんのリターン・マッチだった。この作品のよさを説明するには、私の語彙は余りにも少なく、表現力は余りにも拙い。
      この作品は、“あいつ”との出会いによって、ケンちゃんという一人の少年が変わっていく様子が描かれていく。いや、本当は何も変わっていないのかもしれない。友達としてのイジリも“いじめ”も、全ては何の差もなく、何も変わらず、ただコミュニケーションがあるかどうかではないか。人は自分とは違うと思うことで、線引きをしてしまい、自分の世界に閉じこもってしまっているのではないか。ケンちゃんも“あいつ”も藤岡も何一つ変わることはないのだ。全てはラベルを張ったところから始まるのかもしれない。
    2007.2.20

  • 江国 香織、柳 美里、角田 光代などなど、そうそうたるメンバーですが、 さすが今をときめく女流作家たち、これほど難しいテーマをみんなそれぞれの視点から書いていて、色々考えさせられる話しになっていました。
    最後の稲葉 真弓が書いた作品に「いじめるのもいじめられるのも、たいして違わない」という言葉が出てきて、あぁまさにそうだなあ、と思いました。
    そもそもいじめというのは、学校だけの問題ではなくて、それを取り囲む大人たち、そして社会全体の“歪み”なのだと思います。
    マスコミなどはすぐに「誰がいじめたのか、誰がいじめられたのか」という被害者、加害者の図を作りだそうとするけど(それがいちばん楽だから)、そうではなくて全員が被害者でもあり加害者であって、それがいじめの実態なのではないかと思います。
    子供の犯罪のそばには、たいてい大人の陰があるのです。

  • 大半よく分からんかった。『リターン・マッチ』と『かかしの旅』が良かったかな。とにかく〝学校は強制収容所〟です。

  • いじめをテーマにしたオムニバス形式での短編集。読んでみたら、ハッピーな終わり方じゃなくてじめっとした終わり方の話が多くて、心までじめっとした。楽しくなったり、希望を持たせてくれるような本ではない。ので、ちょっととっつきづらかったなぁ。

  • 最後まで読めなかった…
    2014/08

  • 久し振りに読み切れなかった!
    辛くて…
    一話だけなら読めるけど、7話ともなるとさすがに滅入る。

  • 「緑の猫」江國香織
    「亀をいじめる」大岡玲
    「空のクロール」角田光代
    「ドロップ!」野中柊
    「リターン・マッチ」湯本香樹実
    「潮合い」柳美里
    「かかしの旅」稲葉真弓

    この中だったら、角田さんの書き方が好き。水泳ができない私がいじめられる話だが、一番リアルであるように感じた。
    物語として不気味で面白かったのは「亀をいじめる」かな。

  • タイトルがタイトルなだけに、読後感の良さは期待せずに読み始め。
    それにしても大岡玲「亀をいじめる」は…最悪の読後感。湯本香樹実「リターン・マッチ」、稲葉真弓「かかしの旅」は心に残った。

  • 後味の悪い物を読んでしまった。題名を見た時点で気付くべきでした。自分ではもう少し痛快な、希望が見える話を期待してたのかも。特に“亀をいじめる“がゾッとします。他の話は大人が狙って苛められる子供の話を書いてる感じがして、現実味に欠けるので割りと大丈夫だったけど、亀の飼い主は、本当に居そうで、と言うか、あの暗い衝動が自分の中にも有りそうで、怖い。

  • 複数の作家による、「いじめ」をテーマにした短編集。
    全体的に、読後感がとても悪い作品。中でも「亀をいじめる」は抜群に胸糞悪い気分が味わえます。

  • 同時に読んだ「いつか記憶から~」繋がりで。
    テーマがテーマだけに当たり前だけど、小説に「花も実もある嘘ばかり」を求める自分には合わなかった。

    現在いじめられてる子は、「で、そっちの方が辛いって言いたいの? こっちは現在進行形で地獄だよ!」って思うだけだろうし、何とか地獄を脱した元いじめ経験者(自分含む)は読後感の悪さにどんよりんぐ、…なだけ。
    江國香織の「緑の猫」の適切な距離感は流石。
    柳美里(作風で)や角田光代(手腕で)の作品も構えて読んだけど、ぶっちぎりの「これ嫌だキライだ生理的に無理! ナンバーワン」は初読の大岡玲に贈呈します。(これは悪口ではない。ある意味賞賛でもある)
    「夏の庭」が大好きだった湯本香樹美、やっぱり小学生男子を書かせると上手いですね。

    登場人物の誰一人として「大人との交歓」で楽にならないところがリアル。(唯一ラストの作品だけはそれに近い?… いや、やっぱそんなことないな)

  • 7人の女性作家による「いじめ」をテーマにした短編作品集。
    湯本香樹実さんの「リターン・マッチ」が出色。
    いじめという問題をこんなふうに昇華できるのか!と涙腺が緩んだ。
    その他はあまり響かず…。

    収録作品:
    江國香織 「緑の猫」
    大岡玲 「亀をいじめる」
    角田光代 「空のクロール」
    野中柊 「ドロップ!」
    湯本香樹実 「リターン・マッチ」
    柳美里 「潮合い」
    稲葉真弓 「かかしの旅」

  • 江國さんの名前があるから手にしてみたけど…、とにかく気分が暗くなる本だった。
    「いじめの時間」というそのままのタイトルだけれども、その「いじめ」の中にも何かを見出す話なのかなと思いきや、ただ理不尽でやり場のないいじめの話ばかり。
    特に「亀をいじめる」は最悪の読後感。
    自分が将来親になったとき、子供のいじめに悩むようなことになりたくないな…。

    お目当ての江國さんは、そんなに悪い気分にはならなかった。
    けど、いつもの江國さんらしさはあまり感じられなかった。

  • いじめられっこの持つぶつけようの無い思いを他の何かにいじめるという形で発散する様はまさにいじめられっこがいじめっこに変わる瞬間だなあと思った。
    ひたすら怖かった。

  • いじめはどうしても起こってしまうものなのだろうと思った。

    いじめる側も問題を抱えていたりすることがある。

    だけど、いじめをしても生まれるものは何もない。
    ただ、苦しい気持ちが生まれるだけ。
    いじめられる側もいじめる側もつらいばっかり。

  • 江國香織が入ってるから買ったけど、他の著者によるストーリーは気分が悪くなり読んだことを後悔。
    江國香織はこんなテーマでもちゃんと江國さんワールドで。胸が気持ち悪くなることもないあっさりこっくりさ。他のを全部読めなかったけど、読む日がくるとは思えないな、今のところ。

  • 本屋の古本コーナーで他の本と衝動買い。いじめに興味があるとかではないけど湯本さんの名前があったので。
    あまり本読まないので湯本さん以外初見。全作品読みやすかった。
    学校を舞台にした作品ばかりで、学生の頃、いじめられてたわけではないけどややはみられがちでクラスの様子を伺いながら過ごしていた私にとってどことなく懐かしく現実的。
    いじめ問題の解決をどうこうすべきではないのか、なんていう問いかけが一切なくただ淡々とイジメを描いているのがよかった。
    人と話さない、なんか変、不潔っぽいとか、集団の調和を乱す不安因子を素直に避けて爪はじく。いじめに遭うやつもいじめるやつも両者悪いと言うけれど、確かにそう思うとうなずける。
    一番面白かったのは湯本さん。共感できなかったのは非現実的で軽い印象のかかし。飴ちゃんの話は嫌いじゃない。金魚の話はめっちゃリアル。みんな孤独だなぁ。

  • 江國香織/大岡玲/角田光代/野中柊/湯本香樹美/柳美里/稲葉真弓
    各氏の「いじめ」をテーマとした短編集。

    毎回思うけれど
    江國氏と角田氏の短編における安定感は尋常じゃない。
    特に江國氏の文章は、いつも新鮮な驚きを与えてくれる。

    それ以外には、大岡氏の作品もいじめらる人間の気持ちがよく表れていたと思う。

    一番印象に残るのは柳氏の作品。
    後味の悪さは凄まじい。
    短い時間で重たい気持ちにさせてくれます。
    「潮合い」というタイトルで「家族シネマ」という作品にも収録されているそうです。
    この人、、、凄いな。

    いじめを肯定するでもなく、否定するでもなく
    淡々といじめる側、虐められる側の心理を描いている作品が多い。
    なので「救われる」とか、「答え」のようなものを、期待するとがっかりする。

  • いじめをテーマに書かれた短編集。
    この本ではいじめ自体についてどうこう、いじめが嫌だ、いじめは悪いこと、みたいな事は書かれておらず、いじめの対象になっている人物の目を通した話が多いので、読後感がちょっと悪かったです。
    また、最近の子はこんなに冷めた目で人間関係を見ているのかと思うと、ちょっとゾッとするところも…

  • 作家それぞれが「いじめ」を題材に短編を書いている。
    とにかく全体的に暗くて気持ちがざわつく。
    この短編集では、他の作品であまり感じない気味の悪さ、居心地の悪さを感じる作家さんが多い。

    テーマがテーマなだけにあまり救いのある話もない。
    だからこそいじめたことのある人間は読んでほしい。
    いじめられたことのある人間には生々しくて、ちょっときつい後味だ。

  • ●江國香織
    ***緑の猫
    どっかで読んだ話だなぁと思ったら同著書の『いつか記憶からこぼれおちるとしても』短編のひとつ。やっぱり江國香織さんの書く話は重いのに柔らかいふわふわしたかんじ

    ●大岡玲
    ***亀をいじめる
    んー。あんま好きじゃない。というか嫌いにちかい。卑劣な表現が多すぎる。
    自分が動物、とくに犬を溺愛しているからこそ読むのが苦痛でしかならなかった。
    動物虐待なはなし

    ●角田光代
    ***空のクロール
    泳げない子っているよね。あたしプールだけは習わせてもらってて良かったと思う
    女子特有のいじめ。こんな酷い卑劣ないじめはなんか例えるならば花より男子とかライフみたいな感じ。だけどいじめた子に対し最後革靴に23匹の金魚を入れたいじめられた主人公がやったのはなんか鳥肌が立った

    ●野中柊
    ***ドロップ!
    あんま好きじゃないかな。いじめという感じではないきがした。成績でクラスが決まるような学校に行ってないから感情移入しにくかった

    ●湯本香樹実
    ***リターン・マッチ
    これはすきなほうかな。
    いじめられてた子がひとりひとりに脅迫状というか決闘状をいじめた子にひとりひとりに送りつけ、1対1で戦うはなし
    そのなかのひとりと仲良くなりそのなかでどろどろになるはなし

    ●柳美里
    ***潮合い
    とにかく一人称がころころ変わる。
    転校生の子。なんで気にくわないのかわからない。話の意図がはっきりしてなくてもやもやした感じ

    ●稲葉真弓
    ***かかしの旅
    これは好きかな。
    いじめられてた子が家出しノートに先生や母親、かばってくれた大阪に行ってしまった女の子、いじめてた子、そして再び先生に書き綴るはなし
    ――先生、知っていますか。イジメは伝染するんです。
    うん、まさしくそうだなって思った。
    この手紙届いているといいな


    トータル的に見てなんか暗いじめじめしたはなしばかり
    江國香織さんと角田光代さんのはなしはじめじめしてはいないけど、心が不安定なときとかに読むような本ではないです。

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いじめの時間 (新潮文庫)の作品紹介

「いじめられる子」と「いじめる子」。ふたりの間に横たわるのは、暗くて深い心の闇。でもいつのまにか両者が入れ替わったり、互いの傷を舐めあっていることもある。さまざまな「いじめ」に翻弄され、心が傷つき、魂が壊れることもあるけれど、勇気を出して乗り越えていく者もいる。希望の光が射し込むこともある-すべて「いじめ」をテーマに描かれた7人の作家による入魂の短篇集。

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