虫眼とアニ眼 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2008年1月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101340517

虫眼とアニ眼 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 同年代のこのお二方の対談集、実に興味深く読めました。
    共通しているのは現代の世の中や子育て環境への憂慮。何かが違う、何かが変だ、と感じる感性が失われつつあることへの警鐘。
    しかしけして深刻ではなく、むしろ淡々と飄々と語られている。

    読めば、感じるものの多い本だと思いました。

    それぞれによる後書きがなんとも良いです。

  • 20170213読了
    2008年発行。虫好きな養老さんとアニメ作りの宮崎さん、3回にわたる対談を収めたもの。●表紙に続き巻頭20ページほどにわたって宮崎さんが理想とする街のイラストを掲載。生活が変わって街や家を変えるならこんな感じならのびのび暮らせそう、というイメージ。●P159 千と千尋、電車のシーンについて。暴れるカオナシをハクと千が鎮めて大団円だったら、たしかにただのエンターテイメントになりそう。電車に乗るシーンがあってこその奥行き。

  • 本を読むとは、他人の視界を通して物事を観ることだ。
    昔から言われてることなのかもしれないけど、初めて自分の中で言語化できた気がする。

    地球の裏側に住んでる人の視界を通したり、存在しない空想の世界の住人の視界を通したりすることができるという意味でもあるし、同じ景色を観ていても、他人の視界を通したら違うものに観える、という意味でもある。

    「虫眼とアニ眼」というタイトルはまさにそれ。
    二人とも面白い視界を持ってるなと思いました。

  • どうにも賛成はできないんですね。少なくとも宮崎監督が自覚している通り、人間は移り変わるものだし、世界だって移り変わっていくもので、私には、これはある種の不適応なのではないか、と思えてしまったといいますか。

    自然の中で人々は生きているし、同時に、人の営みの中でも人は生きていて、自然といったって宮崎監督ご自身がおっしゃるとおり、完全な自然の中にいて平気な人間などいない。人間のいう自然というのはせいぜいその程度の自然でしかないことはよく解っておられる方々だと思います。そんな中にあって、スペインですらシエスタの習慣を失いつつある中、日本だけこの方向に舵を切れるわけもないし、仮に舵を切ったところで、それはそれで別の懐古趣味が蔓延ってくると思うのですよね。あらゆるハイテク技術に囲まれた社会へのノスタルジーが生まれてくるのではないか。

    SF作品もハイテク社会に警鐘を鳴らしますし、一方の宮崎アニメもそういうところがあるわけですが、そういう社会への恐怖を「過去へ戻れ、田舎へ帰れ」という方向で打ち消そうとするのは何にもならないのではないか、と思えてしまうのです。もう帰れない場所へ帰れといったって帰れないし、それを再現しようとしたって、まったく同じものは再現できないし、やっぱり共存を前提にしていくしかできないし、何のために共存していくのかと言われて、たとえば人間性の回復だのなんだの言われて、それに素直に頷けるだろうか、と思えてしまうのです。人間性は環境によって与えられるものだったか、と思いますし、言葉にできないけれども確かにそういうものがある、というのは、私にはどうしても逃げに思える。言葉にできないのは語彙力だの文章力だのの問題であって、その壁によって言葉にできていないだけで、何かの観測技法を使えば観測できてしまうかもしれない。観測できて初めて、実は同じだと思われていたAさんの考える人間性とBさんの考える人間性とは異なっていることが判明して、人間性の定義を再考する必要がでてきたぞ、となるのかもしれないし、私にはそれが間違っているとは思えない。神秘的なものを残しておきたい、情緒を残しておきたい気持ちはわかる、けれども、そういう気持ちの有無とは別に、明らかにしうるものもあって、そこに夢を見る見ないは各人の自由だろう、と私は思ってしまうのですね。ご両人から見ればつまらない人間でしょうが、私はやっぱり、ノスタルジーはノスタルジーでしかないと思ってしまう。適応の問題だと思ってしまう。懐古しつつ共存するしかないじゃない、などというのは、最適解ではない気がするのですよね。

    あとね、これは余談ですが、宮崎監督の表紙や幼稚園の構想図なんかは宮崎テイスト全開で、まあこの監督ならさもありなん、と思いながら眺めるのですが、文庫の裏表紙に書かれた本の中身の要約が荒っぽい。「前向きで感動的な言葉の数々は、時代に流されがちな私たちの胸に真摯に響く」て。誰ですかこれ書いた人は。まとめるのに困ってとりあえず万能ワードを万能雰囲気の中にぶちこんでおきました系の要約じゃないですか! もっと! 読み応えのある要約を! 読みたかった!

  • 151103
    扉の絵を読んでいるだけでも楽しい。こんな理想があったら良いなと思う。「脳化社会」に対する警鐘、ということに集約されるんだろうなと思う。
    本の説明文は違う感じがする。そんなに前向きなこと書いていない。

  • フィジカルな感覚を持つ二人の対話。

    ・細部の観察
    ・人間関係以外への関心
    ・世界の余裕

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    小さな虫の動きも逃さず捉えて感動できる「虫眼の人」養老孟司と、日本を代表する「アニメ(眼)の人」宮崎駿が、宮崎作品を通して自然と人間のことを考え、若者や子供への思いを語る。自分を好きになろう、人間を好きになろう、自然と生きるものすべてを好きになろうという前向きで感動的な言葉の数々は、時代に流されがちな私たちの胸に真摯に響く。カラーイラスト多数掲載。

    【キーワード】
    文庫・人間・子ども・アニメ・自然


    ++1

  • 未来、これからの生き方、人間らしさ

  • 私には理解するのが難しいところもあったけれど、読んでよかった。まず考えるきっかけになった。これからも色んな節目で読むと思う。

    “生きる力なんて、子どもははじめから持っている。それをわざわざ、ああでもない、こうでもない、とていねいに殺しているのが、大人なのである。”という養老さんの言葉にすべてがつまっている気がする。

  • 久々に読んでて、すべて納得する。少し前の対談なのだか、現状はもっとひどくなっていて、いまこそ、読むべき本。

  • 都会と自然、子どもや若者など現代日本について著名な二人が好き勝手に対談している。自然環境というのは、ものすごいディテールで成り立っているのに、実体と情報の区別がつかない人が多くなってきていて、そのディテールを完全に無視して生きている。物事を単純化しすぎると世界はどんどんつまらなくなっていく。
    怒りや負の感情を精神力で拮抗させているような我の強い宮崎駿と、達観して力が入っていない感じの養老孟司とのコントラストも面白かった。

  • この二人の対談はオモシロい!
    こういう考えもあるのかと感じて生きやすくなる!
    イラスト集だけでも読む価値あり!

  • 現代社会に対する問題意識が次々と提供されていて若い者としては色々と考えさせられた。特に自然のディテールの話や、人間に目が向きすぎているという話。ただ、この後者は今となってはもう古いものだと思う。かつて自然に向けられていた目線はだんだん人間のみに向き、そして最近では人間にさえ向いていない。変動する物価だとかネット上の情報だとか、無機質な非人間的なところに目が向くようになっていると思う。こういった社会に対する問題意識を「お年寄りの苦言」として片付けてしまってはいけない。

  • 資料ID:C0028554
    配架場所:本館2F文庫書架

  • 宮崎駿と養老孟司が好きなように語らっているだけなのだが、なぜか引き込まれてしまう。自分の問題意識に訴えてくるからか。なんでもキレイに作り替えてしまう時代の流れに対して、高度経済成長以前のようにした方がよいとの語りは不毛ではあるが、情報発信力のある2人がそれを言ってくれるのはうれしい。子どもにはなるべく自然と触れ合う機会を作りたいと思う。

  • この本を読んで、将来建築家になることを決めた。

  • 歳をくったということか。10年ほど前に対談を読んだ時はピンと来なかった。今はわかる部分がある。自然の輪郭、少しでも気が付く眼を持っていたい。

  • 養老さんの、ディテールを感知する能力であるところの感性が、都市化された街で住むうちに領域を余らせて、古来自然の機微に向けていたはずの関心も、いまや人間関係、人の心理にばかりフォーカスしているという話、それだ!分かります!と宮崎さんじゃなくとも膝に手を打ちたくなった。
    感情味豊かな宮崎さんと、冷静でロジカルな養老さんの組み合わせが、メッセージと解説のようなバランスよい化学反応をもたらしていて、組み合わせの妙、と讃えたくなるよい対談。

  • 冒頭にある駿さんの夢絵に見惚れた。
    内容も楽しく読めた。
    「そうか、そういう見方もあるんだ」という部分が多々あり、読んでよかったと思える本。

  • トトロ観るのは年1回ぐらいにしてって駿氏が言ってて、ヘェ〜そんな風に思ってるのか〜と。
    自然との共存、一昔前までは持っていた何か、現代人が失ってしまった何か、を取り戻すために必要なものとは。
    自分が幼い頃は外で遊ぶのと家でゲームするのと、半々ぐらいだったかなー、とか色々考える。
    千と千尋の電車のシーンの裏話では、あぁ〜〜やっぱり宮崎駿って天才なんだなと思った。

  • 養老さんと駿さんというタッグに惹かれて。
    駿さんは、優しいおじいちゃん、という印象だったが、意外とボヤキ節がきいていておもしろかった。養老さんに関しては、あんな風に生きてみたいなと思わされる。私自身の年齢だと、他人や自分を気にしてしまいがちだが、そこを越えた覚りの境地にはやく気づきたいなぁ。仏教ぽいところがあった。

  • 二人とも現実的な人だと思う。
    世の中がダメでグダグダなのはずっと昔から続いている当たり前の事だとわかっている、諦めている大人に見えます。
    だから「世の中」的な価値判断には目を向けない。
    世も末だとか、そういった手合いに対して
    「そんな当たり前の事で騒いでもしょうがないよ」って流してくれそうな感じ。

    地に足がついている。

    ただ実際、自分の上司や担当教諭にこのタイプがいてもめんどくせぇロマン野郎だなって思うと思います。世代の壁でしょうか?

    最近四十になっても個の生き難くさを歌い続けるsyrup16gの新譜を聴いたせいか複雑な思いです。
    彼らの歌は養老孟司の言うところの感性の差異を人間関係の中にばかり見出すようになった社会の象徴にも見えます。

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