快挙 (新潮文庫)

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著者 : 白石一文
  • 新潮社 (2015年10月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101340739

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快挙 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • ストーリーとしては平凡(良い意味で)だけど、
    時々ハッとしたような台詞が出てきて胸を打つ。
    そして、
    自分の人生について深く考えさせられるのでした。

    P22
    「男の人は、これになりたいって強く思っていれば絶対になれるのよ。あとは時間がかかるかどうかだけ」

    P24
    「女の人は男次第ってところもあるし、子供も産まなくちゃいけないから、そう簡単でもないのよ。それに男と同じように夢を追いかけてたらせっかく女に生まれた甲斐がないじゃない。惚れた男の夢に乗っかるのが女の醍醐味だと私は思ってるからね」

    P180
    「何者かにならなくては生きている意味がない。生きる資格がない。みすみと出会って以降も、常に追い立てられるような気分から自由になれなかった」

    そして、P203の一番最後の行からのシーン。
    みずみが「ねぇ、私の旧姓って何だっけ?」と俊彦に尋ねるところ。
    ここからの数行は、恋愛と結婚との差みたいなものを、
    同じように見えてまったく違う深い絆のようなものを感じた。

  • 男性の視点から妻の事を描かれている夫婦の物語。
    夫は写真家を目指すが腕を振るわず、
    昔からなりたかった小説家に転向しても
    これもぱっとしない仕事ぶり。
    仕事運がついていないのにも関わらず、
    そんな夫の事を責めることもなく妻の方が割り切って
    小料理屋の仕事をそつなくこなしていたので、
    頼り甲斐があり理解のある妻だと感心してしまいました。
    けれど夫が病になり長い闘病生活をすることになり、
    周りの環境が徐々に変化することにより夫婦間にも微妙にずれかかり、
    そんな折に夫婦で訪ねた寺院での石碑に刻まれていた
    「夫婦とはなんと佳いもの 向い風」
    これが後の妻の病と向き合うことのきっかけになり
    その後の夫の人生、夫婦としての歩みを考える上でも
    重要になっていると思いました。
    いつも意気揚々としていた妻が深刻な病になってしまった時には、
    これでは快挙というタイトルのストーリーには
    ならないかもと想像してしまいましたが、
    この二人の人生と自分の今までの人生ともどこか重ね合わせたりしていたので、
    最終的には妻と笑顔で終えることが出来てほっと胸を
    撫でおろすことができました。
    夫婦は日頃の事も大切ですが、まさにこの夫婦と同じように
    逆風になった時にこそ二人の強さが出て、
    立ち向かっていけるという勇気のある意味だなと思いました。
    究極になった時こそ真価が問われるというのはこうゆうことかと思います。

    この本のタイトルにもあるように、
    夫の作品にもある人生での快挙の場面にも考えさせられました。
    自分にとって人生で快挙とは何だろうと。
    これには自問自答している途中でこの先もずっとしていそうな気がしました。

    数々の夫婦の在り方、結婚についての本を読んできましたが、
    読んだ後にほっと出来て、心の中でのもやもや感が
    すっと取れたような感覚になった作品は初めてかもしれないです。
    描写が細かくて読みやすく深く感銘した作品でした。

  • この作家の言葉の繋ぎ方が好きだ。どんどん入り込んでくるんだよな、リアルに。だから、一気読みしてしまう(^-^)/

    快挙ってタイトル程、快挙って感じじゃないが、でも、やっぱり快挙なんだな。

    人生、いろいろや。

  • 一組の夫婦を十数年間追いかけている小説です。実際に起きた事件、事故と絡めて話が進んで行くので、当時の自分は何処で何をやっていたのかと思い出しながら読みました。タイトルにもなっていますが、人生の快挙とは?妻に出会ったこと。子供が生まれたこと。様々な出来事が思い浮かびますが、一番は何かと考えた時、まだ答えは見つかっていないし、それは、死を目前にした時に分かるのではないかと思います。快挙と思える事がたくさんあるように日々過ごしていこうと、この小説を読んで思いました。

  • 写真家を目指す俊彦は、小料理屋を営む二歳上のみすみと結婚する。やがて小説に転向した夫を、気丈な妻は支え続けた。しかし平穏な関係はいつしか変質し、小さなひびが広がり始める…。それでもふたりは共に生きる人生を選ぶのか?結婚における快挙とは何か?一組の男女が織りなす十数年間の日々を描き、静かな余韻を残す夫婦小説の傑作。

  • 個人的には好きな1冊。単行本でも読み、読みたいときに手に取りやすいようにということで、今回文庫も購入。筆者の初期作品で見られたいけ好かない主人公が最近、影を潜め、角がとれた感がある。夫婦の結びつきに感じ入り、相方をより大事にしようと思った次第。

  • 谷中 上野 浅草の外国人専用ホテル 隅田川 本所 両国 深川 木場 月島界隈 対岸の豊洲 石播の工場 つくだじま佃島の住吉さん 晴海の運河を行き交う遊覧船 銀座 築地の場外 かちどき勝鬨橋 市井しせいの暮らしを記録 庶民の哀感をちょっとばかりユニークに切り取ってみせればプロとして通用すると思い込んでいた。もんじゃ通り 清澄通り ライツミノルタCL 踵を返し 曖昧模糊 曲がりなりにも青春の相当な時間を写真に費やした。ものにはならなかったが、唯一財産のようなものが残ったとしたらみすみの姿を初めて焼き付けたあの一枚きりだったろうに。 神戸市須磨区 早く夢が叶う人もいれば、想像以上に時間がかかる人もいる。だけど、脱落するのは諦めた人だけだよ 受け売りに違いなかった 凝視 燦々たる出来 犀利で緻密な文章 山裏俊彦 中林俊彦 江東区の森下で、月島とはわりと近かった。 静かな小糠こぬか雨 辺鄙な場所の小料理屋 現職のパパ・ブッシュ 潮崎哲也 あの子の弔い酒だよ 余裕綽々 神楽坂 佐伯さん 波除神社 三越の屋上の出世地蔵尊 大江健三郎 山陽新幹線はすでに全面復旧 偉丈夫 ラジオドラマの台本 古くからの貿易港である神戸には英語を使える人間が山ほどいた 何卒なにとぞ 須磨寺 高野山 山本周五郎 神戸牛 灘の生一本を三人で二升近く 得意の今井美樹を披露 PRIDE アクチュアル時局性をもっているさま 元少年A酒鬼薔薇聖斗(さかきばらせいと) 神戸海外貿易協会 店舗経営の煩雑な経理事務にも長けている 斡旋 肺結核 感染源 無聊ぶりょうを慰める 発熱や倦怠感が舞い戻って来た 厭世気分 私は文字通り、絶望した。 楽観的な観測をいつも戒めていた 自分と世界を繋いでいた細いロープが腐って落ちた ちくあさ築浅 従姉妹の雪絵 明石海峡大橋 橋梁建築技術の水準の高さを世界に見せつけた 奇妙な連帯感 完全に袂を分かった 果たして如何程の隔たりがあるというのだろうか? 叱咤激励 下拵え 頭脳明晰 気風のいい女 融通無碍、臨機応変、感覚的でやや直情型 女性は論理に従うことはあっても論理を信ずることは決してない。女性にとって神はあくまで自分自身なのだ。常に外部に神を求めざるを得ない男性よりも彼女たちがいつも強くて逞しいのはその為だった。 川崎重工兵庫工場は新幹線の製造基地として知られている 家計を支える力もなく、子種を提供する能力にも欠けている。結婚を継続するだけの価値がこれっぽっちもない。 平敦盛と熊谷直実の一騎打ち 句碑くひ 「要はその魔物に負けんようにしてほしい。儂に言えるんは、それきりや」それは存外、生きている目的になるのかもしれないという気がした。 耳朶じだに甦ってくる 西武新宿線沼袋駅 小平の実家の母が心筋梗塞で急逝 江戸川橋近くのおでん屋が空いた 居抜き 地蔵通り商店街 短いが小技の利いた文章を添える シニカルな文章が売り 惨憺たる 愁嘆場しゅうたんば 遮二無二書きたいたいという欲求 身を焦がす焦燥感に近いもの 熾烈 私にとっての人生の快挙は何だったのだろうか? 逡巡 折り入って相談がある 闇の決算書 昵懇の間柄 酒肴しゅこうをつまみながら 推敲 入管癌 腫瘍 卒倒 リンパ浮腫 椿山荘の日本庭園 音羽通り 護国寺の境内は広壮 将軍綱吉 梶原一騎 大山倍達 為替だけが円高で推移 「改革なくして成長なし」のスローガン 一脈通ずるものがあった 呻吟しながらの苦しい作業の連続だった 三歩進んで二歩戻るといった状態が延々と続いた 新型インフルエンザ パンでミック(感染爆発) phase6 タミフル 別種の喜びによって減殺げんさいされるだろうか? 新富町方面へと歩いた 佃大橋 日本経済はいまだに失速中だが、東京の再開発は途切れることなく続いていた ダンカン 初美 夫婦とはなんと佳い... 続きを読む

  • うーん、白石一文らしい作品だけど何が快挙だったのかわからない。
    ちょっと考えてみよう。
    相変わらず登場人物が働く様子が具体的に描かれていて、そこは面白い。

  • 1組の男女の夫婦模様が描かれた小説。
    夫婦というのは恋人同志とは異なる糸で繫がっていて、安心があり甘えがあり、支えがあり不自由さがある。
    そして、他人同士でありながらお互いが選んだ家族であり、互いの身に降りかかった出来ごとを共有していく存在。
    良いことも悪いことも・・・。
    そしてその時々での小さな選択が、後の大きな幸せに繋がっていたりする。その選択を快挙と言わずしてなんと表現できようか。
    振り返ると、あの時の選択次第・・・っていうことが結構あるのだもの。

    白石氏の小説を読むと「禍福はあざなえるなわのごとし」という言葉を思い出す。
    登場人物は、普通に人間くさくて、心に棲んでいる魔物に負けたりもするけど、自分の心に正直に生きているところが共感できて、人間の弱さや強さを愛おしく感じる。
    自分の人生と重ね合わせ、ちょっと泣けて、読書後は優しく強くなれた気がする。
    他の本も読みたい。

    夫婦について見直したい人にお勧めの一冊。

  • 「夫婦とは なんと佳いもの 向い風」
    向かい風にも二人で立ち向かえば、きっと大丈夫って意味じゃなく、逆境に放り込まれた時にこそ、夫婦の真価が試されると解釈した俊彦の気持ちに同調する。
    みすみに出逢ったことこそが俊彦の「快挙」だと思えば、私の出逢いも人生の「快挙」だと胸を張って言いたい。

  • みすみは浮気相手とはどんな感じだったのか、俊彦は雪江とはなんにもなかったのか、とかそういうことの方が気になった。
    内面を描いているようで、実はあんまりぴんとくる箇所はなかった。

  • 前後、上下、左右に大きく外れない登場人物を描く作品は流石です。
    白石ワールドの真骨頂!

  • 私は、こんな小説も好きなんだ、としみじみ思いました。順調にはいかない人生だけど、敏彦もみすみも生活力がありますね。みすみがかっこいいです。自分に才能があっても“惚れた男の夢に乗っかるのが女の醍醐味”と言っちゃう。いい年上女房をもらいましたね。ラストが快挙です。他の白石作品も読みたくなりました。

  • この本では奥さんとのやり取りを「快挙」としてるけど、自分に置き換えても感情移入できる。


    通勤中に一気に読んでしまったので、後日ゆっくり読む。

  • 白石一文の作品が好きで手にとったけれど、この本はいつもの人生に真正面から挑む感じではなくやや物足りなかった。カメラマンから小説家に転向した俊彦とみすみの話。

  • 人生というのは山あり谷あり。恋をして、魔が差し、病に倒れ。そうか。病める時も健やかな時も。というのはこういうことなのか。男性とは女性とは。こだわりが強すぎる俊彦。みすみのような姐さん女房にほどよく転がされているのが、彼の幸せなのかもしれないが。疑心暗鬼という鬼に取り憑かれ、どうなるかと思いきや。意外と綺麗にオチたようにも思える。「私は小さな頃から何者かになりたかった。自分は本当はすごいんだ、絶対にすごいんだと自らに言い聞かせてきた。」そういう人の快挙というのが釈然とはしないが、未来は明るい。

  • 須磨寺を訪ねてみたくなった。
    既婚者向けの作品かな、、、。

  • あの瞬間の、あの快挙に支えられて今を生きている。
    自分ではなく誰かにただ認めてほしい。

  • 本文もですが、
    ダンカンさんの解説が凍みたわぁ。。。
    「残りの人生、もう2度と腹の底から笑うことはないだろうな・・・」
    ですよ。
    その後のママリンとのエピソードを含め、
    解説を書いているのですが、
    本文と同じくらいに凍みました。

    注)染みるをあえて、
    個人的に「凍みる」と書いてあります。

    「山裏俊彦」が「みすみ」と出会って夫婦になって、
    十数年かな?
    一緒に生活してきた軌跡の小説なんですね。
    阪神淡路の震災とか、
    実際に起きた出来事をシンクロして読み進めて行けます。
    僕は、
    「ねぇ、みすみ。僕と一緒に東京に帰ろう」が快挙ですよね。

    男の人はこれになりたいって強く思っていれば絶対になれるのよ。
    あとは時間がかかるかどうかだけ。
    って、
    言えるだけならたいしたことないが、
    発言して本当に支え続けてくれる「みすみ」はやるな!
    と、
    思うけど簡単じゃないですよね、もちろん。
    その、
    奥にある、
    根っこにあるだろう心模様をもっと知りたかったですね。

    人間は卑屈になったとき他人を心底傷つけることができる。
    なぜなら、
    彼らはそうやって自分自身を罰してるつもりだからだ。
    うん。
    謙虚はポジティブで、
    卑屈はネガティブですかね。
    謙虚でいるつもりですが、
    大丈夫かな僕は。
    卑屈になってないかな?

    結婚はしたことないです。
    でも、
    20歳から約18年間、
    様々な夫婦を見てきたり聞いてきてます。
    はい、
    わたくし占い師を生業としておりまして、
    そういった、
    夫婦の話はよく相談されてます。
    ぶっちゃけ、
    夫婦だけの問題なら恋人問題とあまり差異はないかな?
    夫婦特有になっていく、
    子育てや両親の話が入ってくるともっとうねりますね。
    で、
    その「差異」なんですが、
    その「夫婦」によって大きく違う気がします。
    そう、
    確かにまだ「恋人」な感じの夫婦もいらっしゃいますが、
    違うんですよね。
    「恋人」と「夫婦」は違います。
    しかも、
    多角的に違うのでめんどう。
    その、
    「めんどう」を抱えたくないのもあって結婚はしてませんかぐりん。
    でも、
    ダンカンさんの話なんかを聞いていると、
    1度は「夫婦」を味わってみてもいいのかなと思いますけどね。。。
    僕の最大の敵である「めんどう」と戦いたくないのでいつでもソロデビューなうです笑

    今後の「山裏」夫婦がどうなるのか。。。
    きっと、
    支えあっていくのでしょうね。
    2人を死がわかつまで。。。
    きっと。

    「生活の目的ではなく、生きている目的よ」
    スピリチュアルに生きてるのでねぇ。。。
    あるにはありますが、
    もっと、
    現実的にも生きたいですわぁ。

    新潮社からこの本出てますが、
    「山裏俊彦」が出したいと思ってる本も新潮社から出そうとしてますよね?
    白石一文さんも新潮社推し?!
    ちなみに、
    編集さんには知り合いがいませんが、
    居たかな?
    営業さんには何人か知り合いがいます新潮社さんには。
    確かに、
    良い人が多いと思うのは僕だけでしょうかね。
    元気ですかね?
    元気なお子さんを生んでくださってると思いますが、
    元気でしょうか?

    ps
    「快挙」って言葉が自分の中で響かなかったんですよね。。。
    他に適切な言葉はないかと考えるけど、
    思いつかないやぁ。。。
    「クリティカルヒット」かしら笑

  • 「快挙」を仕上げるたびに転機が訪れる。
    日の目を見ないまま時は流れつづける。

    転んでできた傷はいずれかさぶたになる。
    かさぶたになった皮膚がやがてはがれ
    新しい皮膚に生まれかわり強くなっていく。
    夫婦もそうなのかもしれない。
    どこにでもありそうな一夫婦の歴史を
    白石一文氏は、こんな風にドラマティックに、
    白石氏独特の表現力で仕上げてくれる。

    夫婦で居続けることが実は快挙なのかもしれない。
    いや、「快挙」なのだと。

  • 心が何度も揺さぶられた。
    人生ってこういうものだよなあ、と思う。
    うまくいくこともうまくいかないこともある。

  • 私にとって、人生の快挙とは何なのか。
    小説に出てくる生活圏で暮らしているので、情景が浮かんで尚更考えさせられる本だった。

    夫婦も所詮は他人同士…
    そうでもないよなと思ったり。

  • 人生のいいときや悪いときが共感できた。

  • あれ、終わっちゃった。
    みすみの診察結果は、よかったと思う。でも、その後の終わり方があまりにあっさり。月島の店がどうなったか、それでこれからのことが示唆されて・・・という終わり方かと思った。

  • 本屋さんで一気に座り読み

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快挙 (新潮文庫)の作品紹介

写真家を目指す俊彦は、小料理屋を営む二歳上のみすみと結婚する。やがて小説に転向した夫を、気丈な妻は支え続けた。しかし平穏な関係はいつしか変質し、小さなひびが広がり始める……。それでもふたりは共に生きる人生を選ぶのか? 結婚に愛は存在するのか? そして人生における快挙とは何か? 一組の男女が織りなす十五年間の日々を描き、静かな余韻を残す夫婦小説の傑作。

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