石の肺―僕のアスベスト履歴書 (新潮文庫)

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著者 : 佐伯一麦
  • 新潮社 (2009年10月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101342153

石の肺―僕のアスベスト履歴書 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 電気工として働き、バブルの時代を過ごした人間として、またアスベスト暴露した人間として、小説家として、アスベスト(石綿)について記したルポルタージュ。
    書き口が特殊で、同じようにアスベスト暴露した人とのインタビューを雑誌のような書き方をしたり、章の幾つかは間隔を空けて作者の体験談が挿入され、アスベストの歴史や現在までの問題になるまでの経緯、それに対する国の動きや被爆者の人口……。
    今もまだアスベストはいたるところにあって、被爆する可能性は専門の業者だけに留まらず、戦後間もなくから自分の生まれ育った90年代までの建設物の殆どに使われ、そこで過ごす人々全てに被爆するということを知る人は少なく、どこも注目しないのは、その被爆するまでの期間が20~30年ほど要するということだ。
    自分の職場の天井に覆われている繊維のような藁のようなものを見るたび、それが剥き出しになっているのが気にかかる……。

  • 身近な恐怖。天井を凝視せずにはいられないかも。

  • 作家を目指しながら電気工として働いた著者が、多くの現場で

    浴びたアスベストによって自身の肺が侵されていく過程を克明に

    描いている。

    実体験を元にしたルポルタージュなので、体調不良を自覚して行く

    過程は説得力がありじわじわと怖い。

    危険性が指摘されながらも、高度経済成長期に建造物の断熱材

    としてなんの規制も受けずに使用されて来たアスベストは、20年、

    30年という長い期間を経て人体に取り返しのつかない悪影響を

    顕在化させる。

    原爆症訴訟や水俣病訴訟に通じる、国の責任は明確だ。建築・

    建設現場で働く人たちのみならず、その作業着を洗濯した連れ合い

    までもがアスベストによって肺を侵されている。

    法律によってアスベスト曝露を受けた人たちは救済されるように

    なったが、末端の労働者すべてを建設会社が把握している訳では

    ないだろう。原因不明の肺の病で既に亡くなった方もいるはずだ。

    奇しくも昨日、福島原発で作業にあたった方のうち69人が所在不明

    との報道がなされた。アスベストの被害を受けた方にも、こういった人

    たちが多くいるのではないだろうか。

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