砂のクロニクル〈下〉 (新潮文庫)

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著者 : 船戸与一
  • 新潮社 (1994年11月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (515ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101343129

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砂のクロニクル〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 再読にもかかわらず、夢中になって一気読み。勝者なき結末に無常感。

  • 船戸与一の一押し。単行本持っているのに文庫本も買ってしまった。

  • もうやめてくれ、忙しいのに!やることたくさんあるのに、通りすがりに買っただけなのに、どっぷりハマってしまいました。
    日本人、ロシア人、イラン人武器商人、クルドゲリラ、革命防衛隊、フェダイン・ハルク、全編では別々の舞台にいた人物たちの物語が、1989年正月休み明け、マハバードにへと集約していく。
    心情的には、クルドゲリラの束の間でもいいから、マハバード占拠が成功することを願いながら読み進めていくも、やはり空しく撤退する。巻末の年表が淡々とその後の史実を物語るところが、なんとも空しい。
    サミルの亡骸を抱きかかえ嗚咽する「ハジ」のくだり、ここに、宿命的にそれぞれの集団の中に生きることを強いられてきた個人が浮き彫りにされ、物語が完結する。
    本当に忙しいのに、満州国義演シリーズが読みたくなった。

  • クルド人という言葉を、イラク問題あたりで、なんとなく聞いていたけども、実際にどういったことが起きているのか、はっきりいって知らなかったわけで。クルド人に限らず国の中に複数の民族が暮らすという事の難しさは想像以上なんだろう。移民の受け入れも然りといったところだろうか。

  • 船戸与一氏の骨太サスペンス作品『砂のクロニクル』を読み終えた。権力を持った政権や統治者が紡いでいく正史とは別に、存在はするのだが表立って記録されていかない外史ともいうべきマイナーな人たちの行動や思いががあることあったことを忘れるな、そういわれた気がした。
    この作品はイラン、イラクに住んでいていつの時代も主流となりえず苦難の道を歩んでいるクルド人達の戦いの日々が描かれるとともに、そこに武器を供給すべく暗躍するハジといわれる日本人、また中東の地において革命を信じその身を投じてかの地にとどまる事となったもう一人ハジといわれる日本人などなど他にもいるのだがサイドストーリーの主役達の熱い話が絡み合っていて、本当に読み応えのあるサスペンスとなっている。いやー、面白かった。

  • 冒険小説というジャンルで初めて感動を覚えた作品。それぞれの登場人物の、善悪を超えた生きるための信義・信念に心を揺さぶられた。

  • 後半はあまり進まない展開と細かすぎる描写に、少々読みづらかった。二人の日本人があまり物語の中で効果的な役割をはたしておらず、日本人である必要性はなかったような気もする。終盤は登場人物がどんどん死んでいく。その陰にちらつく利権に群がる人間たちや武器商人。最近のシリアの内戦を見ていても、国家が本気でつぶしにかかるととんでもない死者が出てしまう。独立や革命を掲げて力を使うと、より大きな力でつぶされる。その繰り返しに意味があるのかとも思うが、その陰に莫大な利ざやを得ている人間が必ずいるということだけは間違いないのである。

  • …終盤の展開に入ってきて、やっぱり主要な登場人物達に死亡フラグが立ちまくっているw

    読了。歴史に名を残すことのない、しかしたくさんの人間の意志や情念や愚かしさがつまった一つの戦い。個人個人の強い意志が、世界の流れによってあっけなく翻弄されていく。何かが解決するわけでもなく、ただただ、生きていき死んでいった人々が描かれるのみである。

    世界史的な観点で、第二次大戦以降の「民族自決」のお話としても、また「イスラム革命」という他に類をみないイランの政治体制の実情が描かれたお話としても面白い。けれど、ここで描かれるのはあくまで、そこで生きている人間である。誰が良くて、悪いかではない。

    そしてふと我に返ってみると、今現在の日本に生きているということが、ふと不思議なことにも思えてくる。今ある常識なんて、今この場所でしか通用しないんだろうということも。少し不思議な気分である。

  • 文句なし☆×5。船戸与一。映像化が困難な作品を描く作家の一人。 舞台は80年代のイラン。イスラム革命からイランイラク戦争の時代を生き抜くクルド人の民族独立運動がテーマ。本作品短編連作形式になっており複数の主人公が存在する。前半はばらばらの思惑が静かに進行し、後半は一気にクルドの聖地マハバードで一気に物語が収束する。宗教、宗派、民族間に横たわる長い歴史を見事に綴っている。歴史の闇に架空の人物が光をあてて事実を明らかにしていく手法は佐々木譲の「ストックフォルムの密使」を彷彿させる。流石の一品です。

  • まぁ、細部のリアリティは圧倒的なんだけど。なんだか無駄な登場人物が多いような。個々のエピソードがよいが、ラストに集約されるカタルシスがない。「蝦夷地〜」ほどの迫力にも欠ける。

  • (上下2巻、読み終えての感想です)

     暴力や民族主義とは無縁な、平和ぼけした日本人である僕は、荒々しい波の中に突き落とされ、この怒濤のような物語の流れに首筋を捕まれ、押し流されるだけであった。圧倒的な勢い。ホメイニによるイスラム革命からフセインによるクウェート侵略の狭間を背景にした物語は、すばらしい迫力で読者に迫ってくる。男達の運命を思うとき、不思議なセンチメンタルにおそわれるのもそのためだろう。
     流されながら、妙な違和感があった。前編を通じて一度も日本語の会話が出てこないはずの、この小説における会話文の粗雑さは何なのだろう。それだけは嫌だった。どうしてこれだけの男達が、こんな粗野な日本語で語らなければならないのか。その疑問が、ラストで解ける(不十分ではあるが)。それが物語の中であらわには見えない何者かに繋がっていることを知ったとき、民族主義に無縁の(生活を送っている)僕は感動したのだった。

  • バラバラだった登場人物が1つの場所に集まってきて、どんなラストになるのかスピード感があって興味深く読めた。
    世界を旅する人には読んでおいた方がいいと思う。
    平和ボケの日本人に知る必要がある。

  • 下巻の疾走感は凄まじかった。

    粗筋を簡単に書く。
    イラン革命防衛隊と自立を願うクルド人の戦い。クルド人は蜂起の為に日本から来た武器商人ハジに自動小銃カラシニコフ2万挺を注文する。ハジはクルド人の聖地マハバードにイランの目を掻い潜って拳銃を送り込めるか。

    実情を複雑に書く。
    革命防衛隊は腐敗するものとイスラム革命当時の清廉な情熱を信じるものとで内部分裂し、クルド人ゲリラは出身によるイラン−クルドとイラク−クルドの葛藤がある。ハジは自分と同じ名前の武器商人ハジの存在を知る。グルジアマフィアやゾロアスター教徒の武器商人はハジと協力するが、それぞれの野望と敵を同時に抱える。政府に復讐を誓うフェダイン・ハルクは秘密裏に活動を続ける。そして革命防衛隊を抱えるイラン政府の陰謀も渦巻く。
    10者10様の信念と生き様が、クルドの聖地マハバードで衝突する。

    血で血を洗うような戦争の中で、登場人物はそれぞれ自分の信じるものの為に命を賭ける。それは、宗教、独立の悲願、金、復讐。彼らは、闘い、傷つき、崩壊していく。しかし信じられるものを持たない偽悪者ハジは、彼らを見て自分に問い続ける。自分の人生とは何か、本当に希うものは何か。

    これは、勝者が生み出す歴史の欺瞞を悲劇で語る物語でもあり、信念が人を突き動かす様を描いた物語でもある。

    砂のように儚く歴史の渦に飲まれ消えてく命の、灼熱の輝きを目に焼き付けて欲しい。

  • 新規購入ではなく、積読状態のもの。

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