大地の牙 満州国演義六 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 170
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (609ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101343259

作品紹介・あらすじ

「帝国政府は爾後国民政府を対手とせず」。日本は中国との交渉の道を自ら鎖した。徐州、武漢での作戦を成功させたものの、「事変」は泥沼化の一途を辿る――。敷島太郎は愛人の身体に溺れ、次郎は柳絮のごとく彷徨い続ける。三郎は復讐に身を焦がし、四郎は陰謀の犠牲者を茫然と見つめた。そして、満蒙国境ノモンハンで、日ソが激突する。大陸に凱歌と悲鳴が轟く。混沌の第六巻。

感想・レビュー・書評

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  • 第6巻。

    有名な(?)…歴史に疎いので自分は知らなかった…ノモンハン事件に多くの頁を費やされていた。

    さて、ノモンハン事件…最低の事件だなと。
    日本人ってやつは・・・。愚かなトップの言動で、数百数千の生命が散っていく様は、読んでいて辛かった。権力争いや己の虚栄心のために右往左往し、本当に大切なことが二の次にされてしまう…そんな政治が、実に哀しい。

    そして…軍部の情報操作に依る部分も無きにしも在らずなのだろうが(多分にあるのだろうが)、それでもなお、反英・征支へと加熱する国民世論・・・
    “みんなが言ってるから”と、1つ2つの記事や報道ですぐに皆が同調していく国民性も、今も昔も変わらないのね(哀)。

    ★3つ、7ポイント半。
    2018.04.25.新。

    • ことぶきジローさん
      あらためて自分のレビューを確認すると星が2つでした。記入ミスで星5つが正解です。
      あらためて自分のレビューを確認すると星が2つでした。記入ミスで星5つが正解です。
      2018/04/25
  • 4人の闇が日常化するとき、闇は次の刺激を求めはじめる。それは、個を超え、集団を超え、国を超え、世界を覆いはじめる。人は歴史にならないと闇をわからないのだろうか。

  • 再会の夜
    北東の砲声
    河畔の影
    血塗られた高原
    雪原の死

    著者:船戸与一(1944-2015、下関市、小説家)
    解説:北上次郎(1946-、東京都、文芸評論家)

  • 1928年~1945年の17年間の満州の歴史。登場人物4兄弟の視点で語られる。満州事変から第二次世界大戦終結までの流のなかで、南京事件、張鼓峰事件、ノモンハン事件、葛根廟事件、通化事件と有名な事件が次々と起こり、4兄弟それぞれの立場で事件と向き合う様子が描かれる。満州の歴史を詳しく知らなかったので、勉強になった。何が正しくてなにが正しくないのかなんてだれにもわからないと感じた。

  • なかなか第七巻が発売されず、第六巻をゆっくりじっくり読んでいたのですが、実は数週間前には読み終えてしまってました(^_^;)
    本日、ようやく楽しみにしていた第七巻が発売されましたね。
    日中戦争は完全に泥沼化し、ヨーロッパではドイツとフランス、イギリスの戦争が本格化。日本も次第に反英米へと傾いていく。
    四兄弟の物語もいよいよ佳境に入っていくんだろうなあ。
    先が楽しみだけど、次が出るまで間が持つかな〜(^_^;)

  • 船戸与一の遺作となった歴史冒険小説の第六巻。焦臭さを増す満州国で各々が違った道を歩む敷島四兄弟の生き様が交互に描かれる。この先、四兄弟が一同に集う時が来るのだろうか。

    敷島四兄弟に影のようにつきまとい、兄弟の運命を操るメフィストフェレスのような間垣徳蔵の正体は…

    官僚の太郎は肉欲に溺れ、次郎は大陸を彷徨い、三郎は疑問を抱きながらも軍人としての道を歩む。そして、四郎は間垣徳蔵に操られていく。

  • 暴走が止まらない日本陸軍、政府が軍部を抑制できないだけでなく、軍内部でも大本営を無視した現場の暴走、そして事実の隠蔽。
    過去の成功体験だけを根拠に、改めて分析することなく、突っ走るのは、今でもあるし、大きな失敗や故障を引き起こしている。

    敷島四兄弟は、それぞれが新たな状況、立場へと変わってきている。それは、日本国内、国際環境、中国・満州、関東軍の状況の変化につながっている。
    四兄弟は、これから何を見せられるのだろうか?

  • ノモンハン事件あたりまで時間が下ってきた。過ぎた時代を描くからではあるだろうけど、日本軍というか関東軍というかの横暴と無計画さにげんなり。最近読んだ本で立て続けにこういう日本の愚かさを見せつけられている気がする。
    敷島四兄弟をだいぶ変わった。カッコよかった人ほどずるくなったり汚れたり、堅物に思えた人がなかなか立派に思えてきたり。

  • 2016年6月15日読了

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