帰りなん、いざ (新潮文庫)

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著者 : 志水辰夫
  • 新潮社 (2008年6月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101345222

帰りなん、いざ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • いなか暮らしに憧れて田舎にやってきた男が、その村の老人たちや慣習といったものと格闘しながら、唯一の若い女性との恋心を育み、そしてその村で起こる事件に取り組む物語のような出だし。朝茅という山間の村の様子を、異邦人である主人公の目を通して執拗なまでに描いている前半。
    中頃から急展開をみせ、主人公は単なる厭世から田舎にきたわけではなく、ある意図をもってやってきたのだとわかる。そこからの緊張感のある展開は、流石の一言。
    事件の決着は凄惨な悲劇でおわったが、ラストのぼたもちのシーンやヒロインの「行ってらっしゃい」の言葉で、きちんと物語を締めくくるところまでが秀逸。
    一気に読めるハードボイルドというか、シミタツ節。好きな人には好き、好きじゃない人は全く面白くないとおもわれる。

  • 露骨な暴力描写も性描写もないのにどんな本より
    ハードボイルドを感じる。冊数重ねる毎に志水節
    にハマってくのはなんかもう気持ち良くすらある。

  • 帰りなん、いざ―。陶淵明ですね、昔、漢文の時間に習った。陶淵明は続いて「田園将ニ蕪レナントス」と嘆じながら、しかし、そこには官を辞して家に帰る決意の中に田園で暮らす喜びが溢れていた。そして自然の恵みに対比して人の命の儚いことの無常さも。この小説、翻訳家の稲葉が、山梨と長野の県境にほど近い浅茅に越して来たところから始まる。緑濃い山を背景にした美しい山里。そこに民家を借り、しばらくここで暮らすことになっている。序章はそうした田園風景の中で、よそ者と土地の人々との、とりわけ土地の有力者との間のぎこちなさ、有力者の娘・紀美子との交流、土地の名物の蕎麦栽培と村人皆で経営する蕎麦店の風景などが描かれて、まさに陶淵明の世界。しかし、ここからがシミタツ、一筋縄になる筈もなく、生活物資を仕込みに出た韮崎で稲葉が東京に電話したところから話はキナ臭くなって…。相変わらず短く流麗で香気溢れる文章で綴られる田舎の景色と冒険譚。ただ、陶淵明の印象が勝ち過ぎて、そうした帯とか背表紙の惹句が狙った世界からすると、秘密が明らかになっていく過程のお話がちょっと違和感あって残念。

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