デンデラ (新潮文庫)

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感想 : 89
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101345536

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤友哉って、こんな話も書けるんだね。

    山に捨てられた老婆達の逞しさと、村の掟の残酷さ、いきなり訪れる死の不条理さ。 熊との死闘や村やデンデラでの生活の過酷さがリアルに、でもさらりと描かれてます。
    結構グロい描写とかあるんですが、今まで私が読んだ著者の本と違い、気持ち悪さは感じなかった。事実として淡々と書かれているからかなのか。ラストの終わり方も好き。
    今まで読んだ中で一番面白いと思った。

  • 異性の老人をかくのってむずかしいんだろうなーという印象。
    でも、じじ萌えの女性作家ならそうでもないかもしれない。けど男性読者からしたらねーよっておもうかも。どうなの。
    よみながら、どうしても登場人物が老女におもえなくて地味にストレスたまった。
    解説でそのへんが言及されてたけど、ええーみたいなかんじ。そんな大層なものかなあ…たんにかけないだけなんj(ry
    あと「です・ます」調が抗ってもラノベくさい…

    ラストシーンはすきだった。ぽこぽこ自己犠牲な人がでてくるんだけど、そういうのにむねあつ…ってなる日本人です。
    ユヤタンのかく男女はすきだよ!

  • 容赦ないタッチと、「姥捨て山」をオマージュにこんな話を書いてしまうあたり、やっぱりこの人はすごい。
    そして女も歳よりもすごいと思った。

    さりげなく、ミステリィだったのが驚きだ。

    映画は血糊が足りるのかが心配。

  • 解説にあったような構造とかわからないけど、ただただ面白い。ラストシーンがかっこよすぎ。

  • 本心がない。大目標がない。でも死にたくない。
    生と死の位置づけを考える。少なくとも表裏にあるものでも対極にあるものでもない気がする。死ぬために生き、生きるために死ぬのかもしれない。

    70歳になると“お山参り”をするのが村の掟。平均年齢80.5才のデンデラ。生への固執、死への陶酔。野生との摩擦。欲や人間性から隔離された仮社会。

  • 全てがメタファに思える内は、ユヤタンの自分語りは脱していない、いつもの覇王の物語。でもそこが好き。
    青臭いものは必要なのです。

  • このキャッチだけで民話/神話好きとしては気になる。

    映画化されるともあって気になって読んでみた。

    まず、この世界観の異様さに圧倒される。
    たいていの小説に出てくる若い男女の恋愛とか一切無い。
    だって婆さんしか出てこないから。

    婆さんだけのバトルロワイヤル、、、みたいな印象もなくはない。

    これは映画気になるなぁ。

  • 最後に書かれていた解説の通りなんだろうなと思った。

    *****メモ*****
    デンデラに連れられてくるまで、難しい事は一歳考えなかった主人公カユ。
    デンデラでの生き方を汚いとののしるくせに、美しく死ぬ機会を失ったからと死ぬこともせず、立場を表明せずふらふらと生き続ける。
    その割りには彼女、結構頑張るのである。
    周囲の老婆より何倍も頑張って精を出して働き、デンデラを襲う赤背のクマに対抗するのである。
    自分の生き方を模索せねばならぬと考えるようになった彼女の目的が「大目的を見つけたい」だったりするのは当然と言えば当然なのだろうか。
    彼女がな命を張って生きる事が出来るのが、それを無気力とか倦怠から来る捨て鉢ではなく、マイナスに大きく振り切った「死にたい」という気持ちに起源があるのはやはり佐藤友哉 だなあと思う。
    そしてあれほど物語を費やしてたどり着いた結末が結局あれだったのもやはり彼らしい気がする。

  • 全体として『生きる』ってことをいろいろ書いてる話なのだろうとは思うが。
    わざとだと信じたいが、登場人物たちの人となりの描写が小汚すぎて「こういう歳の取り方はしたくないなぁ」などと見当違いの感想を持ってしまう始末だった。
    長生きするのなら賢くきれいに歳を取りたいものです。

    ただ、そういう小汚さから来る壮絶な感じも含めて妙な迫力はありました。

  • うーん…話としてはまぁ面白い部類に入ると思うのですが、いかんせん、デンデラに住む老婆たちの会話の口調に違和感を感じました。

    ただ日々の暮らしに追われ、教育も十分に受けていない老婆達が、熟語を駆使したり、方言がなかったり…というのは、会話の内容は頭に入るのですが、どうにもこうにもリアリティがあまりにもなさすぎます。
    主人公カユにはじめ自我らしきものがあまりなくて、デンデラの生活で自我や自分の生き甲斐と死に甲斐に目覚めていくのはなるほど、とは思ったのですが、いかんせん、カユの思考が理路整然と描かれすぎて、この点でもちょっと惜しいなぁと思いました。

    また、地の文も、ですます調で書かれているので、この点でもリアリティからと遠のき、読者としてはなんというか遠い場所でおこった御伽噺を聞いているようで、せっかくの面白い題材ですが、話になかなかのめりこむことが出来ませんでした。

    題材的には面白いものを選んでいると思うのですが、いかんせん、熊との戦いを描いた小説では他に佳作もすでに描かれており、それを超えた作品を、と思うなら、もう少し工夫をされたほうがよかったかもしれません。

    とはいえ、生き甲斐と死に甲斐、という二つの相反する人生の目的については、いろいろと考えさせられた作品でした。
    熊との死闘の最後に、デンデラの村人も、熊自身もあれほど待ち望んでいた春が来ていた、というのは悲しかったです。

    原作を読んで面白かったら、映画も観ようかなと思っていたのですが、今回は見送りたいと思います。

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著者プロフィール

1952年北海道釧路市生まれ。
1974年に北海道教育大学札幌分校特設美術課程卒業(美学・美術史専攻)。1976年に北海道教育庁北海道新美術館建設準備室の学芸員、翌年には北海道立近代美術館学芸員となる。1985年北海道立旭川美術館学芸課長。1990年からは北海道立近代美術館に戻り、2004年同館学芸副館長。2012年から2022年まで札幌芸術の森美術館館長を務める。この間、それぞれの美術館で数多くの北海道ゆかりの作家の個展や現代美術展を企画開催。
現在、AICA国際美術評論家連盟会員、北海道芸術学会会員、北海道美術館学芸員研究協議会会員。また旭川市中原悌二郎賞、札幌市本郷新記念札幌彫刻賞、ニセコ町有島武郎青少年公募絵画展、北海道陶芸展などの審査員を務める。

「2023年 『北の美術の箱舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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