青春ピカソ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (161ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101346212

感想・レビュー・書評

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  • 多くの本質的な事をピカソを通じて語っており、本質的なものの大切さを感じた本。

  • 岡本太郎が書いた書物を初めて読んだ。テレビに映る「変なおじさん」のイメージが強かったが、稀代の知識人で、素晴らしいピカソ評論家だったことが分かる。美術を知らない一般人にも分かる入門書だ。
    それにしてもピカソと同時代を生きたことが岡本太郎にとって良かったことなのか不幸だったのかは分からない。

  • 絵画に触れてきてないけど、オードリー若林さんが岡本太郎さんについて話すのを聞いて、興味が出てよんだ。

  • 冒頭30ページの太郎青年の感動を伝える文章が刺さります。

    真に心揺さぶられるものに出会ったときに、自ら謙り、迎合せずに、尊敬するがゆえ、それを否定し、創造者として己を乗り越えることに挑戦していく。

    岡本太郎青年がパリの画商でピカソの静物画を見たときに、涙し、全身がこれだ!と叫んだほどに心が動いた。そのピカソを乗り越え、己を乗り越えることを人生の創造者として課題に据え、生を全うした岡本太郎の熱い生きざまとピカソに対する思いがちりばめられた著書です。

    生の強さを感じさせる太郎のメッセージに圧倒されました。「芸術において、社会的に最悪な条件こそ飛躍の契機となると信じる」という言葉は、背中をバシっと激励を込めて叩かれた思いです。精一杯、自分の地平線を創造しながら生きていこうと思います。

  • 岡本太郎展鑑賞後の物販にて発見し購入。

    岡本太郎というフィルターを通してピカソを知ることができる熱量高めな1冊です。
    すごく面白かった。
    実際にピカソと会った時のことや握手をした時の感動の様子も事細かに記載されていて興味深いです。

  • 面白かった。芸術とは、芸術家とは何か、ということについて、とても明確になった気がする。というのも、読んでいるときにも、読み終わった後にも、体に何か、芸術の源のようなものが流れ込んできている気がしたから。

    芸術の反対は、惰性的世界であり、良識の専制によって革命を目指す芸術家の野望は打ち砕かれる。

    真の意味で、芸術をしたいと望む人間の中には、破壊的な破滅的な衝動が隠れているのだと思った。社会に迎合することなんてもっての他であるし、芸術のために、美のために、といった上品な題目すらも真の目的ではない、ただ単に、子どものように、破壊したい、その衝動こそが芸術を前に進めるのだと思った。

    一般的に見て、芸術がおそれられるのもそのせいかもしれない。そして、そのような衝動を持つ人間を抑圧しようとする世間に拮抗すべく、岡本太郎はこの本を書いて情熱を湧き立たせようとしたのだと思った。

    芸術家は、作品によって評価されるし、それでしか表現は許されない存在であるが、そもそも芸術家であるかどうか、というのは作品以前に、彼の中に存在している熱がそれを決めるのだと思った。

    芸術はいつ誕生するのか、この本でも書かれているとおり、それは作品をつくるときではなく、芸術にふれる、そのときである。

    面白かった。

    勢いに任せて書いてしまったが、そもそもピカソというのは有名すぎて、ピカソのこと自体を何も知らなかったのだと思った。ピカソにしてみれば、それは、願ったりかなったりなのかもしれない。

    いつの時代の人なのかも漠然としていたので、岡本太郎と被るのだと知って、何か時代というもの、自分の文脈の中に落とし込めた気がする。今度は岡本太郎のことを知りたくなった。芸術の萌芽をうながす、何か心に衝動を訴えかける、行動的な勢いのある本だった。

  • 岡本太郎からみたピカソへの讃歌。
    圧倒的存在のピカソへの憧れともどかしさを感じる。
    そしてセザンヌ、ピカソを見て涙する岡本太郎の青春体験を読むことで時代を創る芸術家なんだなと、凡人である自分と違うなと思わずにいられない。

  • 岡本節。

  • 「完成の否定」創り続けることがまさに芸術だという言葉は岡本太郎さんの「芸術は爆発だ」という言葉を良く説明してくれる言葉だと感じました。

  • ピカソに燃えたいときはぜひ。
    「我は王者なり。我は王者なり。」(P120)に惚れた。ものごっつピカソに惚れた。

    で、実際に最終章で岡本太郎がピカソが逢いに行っているというのがとてもいい。そこで描かれているピカソにまた惚れる。手に印象の残る、お茶目なおじいちゃん。

著者プロフィール

岡本太郎 (おかもと・たろう)
芸術家。1911年生まれ。29年に渡仏し、30年代のパリで抽象芸術やシュルレアリスム運動に参加。パリ大学でマルセル・モースに民族学を学び、ジョルジュ・バタイユらと活動をともにした。40年帰国。戦後日本で前衛芸術運動を展開し、問題作を次々と社会に送り出す。51年に縄文土器と遭遇し、翌年「縄文土器論」を発表。70年大阪万博で太陽の塔を制作し、国民的存在になる。96年没。いまも若い世代に大きな影響を与え続けている。『岡本太郎の宇宙(全5巻)』(ちくま学芸文庫)、『美の世界旅行』(新潮文庫)、『日本再発見』(角川ソフィア文庫)、『沖縄文化論』(中公文庫)ほか著書多数。


平野暁臣 (ひらの・あきおみ)
空間メディアプロデューサー。岡本太郎創設の現代芸術研究所を主宰し、空間メディアの領域で多彩なプロデュース活動を行う。2005年岡本太郎記念館館長に就任。『明日の神話』再生プロジェクト、生誕百年事業『TARO100祭』のゼネラルプロデューサーを務める。『岡本藝術』『岡本太郎の沖縄』『大阪万博』(小学館)、『岡本太郎の仕事論』(日経プレミア)ほか著書多数。

「2016年 『孤独がきみを強くする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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