美の呪力 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101346229

感想・レビュー・書評

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  • 岡本太郎の著書は不思議な魅力があって、一見すると個々の芸術に関する考察や批評なんだけれども、それらを通して人間や人生についての深い洞察が語られていて、かつその多くが「生きること」について掘り下げて考えるスタイルなので、読んでいて生きるエネルギーが湧いてくるというか、生きていることの実感を得たくなるんですよね。

    本作も、様々な美や芸術の世界における「石」「血」「怒り」「仮面」「火」「夜」の性質や意義を考察するというものなのに、読んでいて不思議と力が湧いてくる気がします。

    美術や芸術、あるいは民族学や人類学の観点からの評論集という読み方もできますが、それらを通じて「人が生きること」について考察した哲学書として読むこともできますし、そういう意味では強く生き抜くための「自己啓発書」として読むこともできるのではないでしょうか。

  • 一章と二章が特に興味深く「沖縄文化論」も読んでみようと思いました。

  • 強烈。
    透明な混沌と夜の捉え方が印象的だった。

  • 夕方の哲学。

  • 太郎さんの著書は「今日の芸術」が有名だが、中身だったら絶対こっち!!
    日本全国の土着の日から普遍の美へとつながる洞察は岡本太郎のぎらぎらした感性と知力の結晶!!

  • へこんでいるときに読んで大層血潮が燃えました。

  • 原始美術の考察が美学的。

  • 赤い赤い鮮血のような情熱

  • この本を買った一番の理由は、表紙の色が激しい赤い色だったから。岡本太郎の「赤」は、人間の、ほとばしる鮮血の色をしている。太郎は言う。造形の行動と思索は、全く違うことなのだ、と。創造と思索の狭間に身を置いて、その両極のバランスが崩れると爆発したい欲求に駆られるのだと、あとがきで述べられている。中でも、グリューネバルトの「磔のキリスト像」、イーゼンハイムの祭壇画に関する著述は秀逸だ。「人間自体が鮮血なのだ。」と語る岡本太郎の、人間存在の根源に迫る芸術論である。「爆発」というキーワードを読み解くための、絶好の書になるだろう。

著者プロフィール

岡本太郎 (おかもと・たろう)
芸術家。1911年生まれ。29年に渡仏し、30年代のパリで抽象芸術やシュルレアリスム運動に参加。パリ大学でマルセル・モースに民族学を学び、ジョルジュ・バタイユらと活動をともにした。40年帰国。戦後日本で前衛芸術運動を展開し、問題作を次々と社会に送り出す。51年に縄文土器と遭遇し、翌年「縄文土器論」を発表。70年大阪万博で太陽の塔を制作し、国民的存在になる。96年没。いまも若い世代に大きな影響を与え続けている。『岡本太郎の宇宙(全5巻)』(ちくま学芸文庫)、『美の世界旅行』(新潮文庫)、『日本再発見』(角川ソフィア文庫)、『沖縄文化論』(中公文庫)ほか著書多数。


平野暁臣 (ひらの・あきおみ)
空間メディアプロデューサー。岡本太郎創設の現代芸術研究所を主宰し、空間メディアの領域で多彩なプロデュース活動を行う。2005年岡本太郎記念館館長に就任。『明日の神話』再生プロジェクト、生誕百年事業『TARO100祭』のゼネラルプロデューサーを務める。『岡本藝術』『岡本太郎の沖縄』『大阪万博』(小学館)、『岡本太郎の仕事論』(日経プレミア)ほか著書多数。

「2016年 『孤独がきみを強くする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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