リヴィエラを撃て(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101347141

感想・レビュー・書評

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  • なかなか読み進めることが難しいところがあるが、先が気になってやめられない。下巻が楽しみ。

  • 僕が思う高村薫の最高傑作。なんと言っても骨太のストーリーと登場する人物の繊細かつ詳細な描写がすばらしい。ジャック・モーガン、ノーマン・シンクレア、キム・バーキン。会った事ないのに、会った事があるような親密さを覚えてしまう。この本読んだあと、千鳥ヶ淵に行った時はホント感慨深かった。同じ本を読まない主義だけど、この本は4回くらい読んだな。
    ベルファスト行きたくなりました。不謹慎ながらジャックのようなテロリストにあこがれてしまいました。

  • 私にとっての初ハードボイルド小説であって、高村薫にハマるきっかけとなった小説。

    「リヴィエラ」とは東洋人スパイのコードネームで、この人物を巡る諜報機関やテロリストたちの、熱く悲しい戦いが描かれる。
    人物たちの背景も丁寧に描かれて、読者の情も持っていかれる。
    舞台が日本となるシーンもあり、彼らの世界が私達の知らぬ所で身近に起きているような、不思議な感覚だった。

    そして読後間もなく、現実の世界ではアメリカ同時多発テロ事件が起きた。
    他国でのテロ事件で、あんなにもショックを受けた事はない。
    ワールドトレードセンターに突っ込む旅客機と、真っ黒な煙が、脳裏にこびりついている。
    きっと世界中の多くの人間が、そうだと思う。
    そして不謹慎にも、「リヴィエラを撃て」が私の脳裏をかすめてしまった。
    自分の信念を貫き自爆でこの世を去る者という存在に想いを馳せずには居られなかった。
    念の為に記すが、それはテロ側を擁護するという意味では全く無い。
    テロの瞬間を初めて目の当たり(テレビ越しだが)にして、酷くショックを受けたのだ。
    私は少し小説の世界観に入り込み過ぎていたのだろうか。

    9.11は現実の事件であって決して物語ではないし、どんな背景があろうと許されるものではなく、
    それによってもたらされた悲しみや憎しみは当てもなく終わることなく未来永劫続いて行く。
    それでも私にとっては余りにも読み終えた直後の出来事で、なんとも言葉に出来ない虚しく悲しい思いで、何度も繰り返し放送される映像を呆然と見ていたのを思い出す。
    音楽や匂いが記憶を呼び覚ますことはよくあるが、小説が記憶を呼び覚ますこともある。

    話が逸れた。
    「リヴィエラを撃て」は登場人物が多く…というか、CIAの誰某、MI6の誰某、○○の恋人、等と人間模様が交錯し、各国をまたにかけてストーリーが息もつかせぬ緊張感で展開してゆく。
    人を殺す人間にもまた、愛する人はいる。
    そして儚く散ってゆく命。
    設定も展開も緻密で、最後まで謎のリヴィエラに、読者はのめり込んでゆく。
    慣れるまではコレ誰だっけ?となるのだが(笑)、個人的には上下巻同時に買って、あまり間を開けずに続けて読んで欲しい。
    読みごたえあります。

  • 高村薫『リヴィエラを撃て』読了。「リヴィエラ」という名の謎の東洋人を巡り、CIA、MI5、MI6、IRAのスパイやテロリストがしのぎを削る冒険小説。それぞれの動機で巨悪に迫らんとする男たちの間で想いが託し託されするアツい展開。その謎が暴かれるラストは作者の信念のようなものが感じられる。前半の青年テロリストの苦悩、絶望、諦念、欺瞞とアイルランドの荒んだ情景描写が機龍警察 自爆条項を想起せずにはいられない。こちらをもっと掘り下げてもらった方が個人的には好みだった。

  • 感想は下巻へ

  • 上巻を読了。はじめ自分にとって文体が合わず読み進めるのに苦労したが、途中から物語の強い力に引っ張られて加速して読み終わった。日本人が書いた小説だけど海外の登場人物や海外の場合がほとんどなので翻訳本のように思えた。フォーサイスのスパイ本のよう。

  • 久しぶりにまともな小説を読んだと感じた。時間的場所的スケールが大きい!アイルランドについて多少の知識があったほうが読みやすい。ノーマンとエイドリアンの、反発しあいながらも世界にお互いしかいないみたいな寂しい愛情は、端から見ていても哀しくなる。レディは2人の心を掴みながらも疎外感を感じていたんだろう。

  • うまく世界観に浸れなかった…。

  • これだけのために英国に行ってきた。
    くやしい。一番好き。

  • 11月10日読了。「このミステリーがすごい!」1993年度の第5位の作品。1992年冬の東京にて謎の死を遂げたIRAのテロリスト、ジャック・モーガン。彼を突き動かしてきた動機・生い立ちとは・・・?テロの不穏な空気と灰色のくすんだ空に包まれたような雰囲気・重厚感がすごい。スパイとして国益のために動くプロフェッショナルながら個人の感傷を捨てきれない男たちの姿はこの著者の作品でお馴染みのものだが、世界各国の諜報組織を股にかけるスケールの大きさがこの人の筆力にマッチしている。テロリストは悲しいねえ。上巻では「リヴィエラ」の正体はまだ明かされず。下巻が楽しみ。

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著者プロフィール

●高村薫……1953年、大阪に生まれ。国際基督教大学を卒業。商社勤務をへて、1990年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞。93年『リヴィエラを撃て』(新潮文庫)で日本推理作家協会賞、『マークスの山』(講談社文庫)で直木賞を受賞。著書に『レディ・ジョーカー』『神の火』『照柿』(以上、新潮文庫)などがある。

「2014年 『日本人の度量 3・11で「生まれ直す」ための覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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