リヴィエラを撃て〈下〉 新潮文庫

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  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101347158

感想・レビュー・書評

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  • 壮大な話の結末は…こう来たか…という満足よりも虚無というか解脱というかそんな言葉が似合うラストだった。
    《リヴィエラ》を追い続けた男たちの顛末は各々に抱えるものがあり、その質は異なるものだけど根幹を流れるものの温度というより粘度が同じ様な感じがした。
    人間同士の絆には様々な形があって、「愛憎」という言葉は奥が深いな…と改めて感じた。
    ブラームスのピアコン二番は私自身とても大好きな曲で演奏の描写に思わず鳥肌が立ったのは久々の感覚だった。
    大いなる力の前で残された者達はどんな未来を築いていくのだろうか…

  • あー伝書鳩残念!柔らかい声や笑顔がとても残る。シンクレアの絵になる演奏の後4人の乾杯でホッとして、バーキンの印象が変わってきたら、そうなるかー!下巻はさくさく進んだ。手島が出てこなすぎで忘れてたり、ラストに詰め込みすぎなんじゃないかとも思ったが、魅力的な登場人物が多いし面白かった。組織の上と下の温度差が悲しい。歴史を感じスケールも大きいので苦労して読んだ分だけの満足感。

  • 終了日:2010・5・10、上下巻を二日ほどで読み切った。

    李歐が「愛と青春」、マークスの山が「冷たさと暗さ」って感じだとしたら、どうしても今回のリヴィエラを撃ては「泥濘の生々しさ」が打ち勝ってる気がする。
    この3作、読んだ順番だと、一作ごとに暗さと生々さが増してく。
    どれもこれも最後の最後にやられた。やられたってレベルじゃない。
    もうハンパ無い。言葉にできない。あり得ない。
    私の貧相な日本語(英語も酷いがさておいて)で語れる代物じゃない。純粋に面白いよ。
    李歐を初めて読み終えた時とか、マークスの山を読み終わった時の真っ白な放心、というよりは体の中枢から絶え間なく沸き上がる興奮が押さえ切れないって感じ。
    自室に走ってベッドにダイブしてしばらく奇声をあげてた。

    今回は一番顕著に、身体的リアクションが感じられたな…
    冷や汗をかき、直後に脂汗が止まらず、そんな体温が上がった状態でまた全身の血の気が引き…という具合に、読んでる内容とそれに反応してる脳が体と同調してもうパニック。
    しかし本当に面白かった。
    やっぱり高村作品はスロースタートなんだけど、一旦始まると以降は怒濤の嵐。
    最後の最後まで気が抜けない。そこがいい。

  • 20年に渡る壮大な国際諜報戦を描いた長編小説。なんだけど、自分の能力不足もあるだろうが話がややこしくて入りにくく、陰鬱な情景描写にチョイチョイぶち込まれるボーイズラブ、、、やっぱ苦手だ高村薫~。

  • まったく諜報関係の知識がない上に、外国が舞台となると読むのに相当時間がかかると思ったけども、そんなことはなくジャックが伝書鳩と出会ってからはさくさく読めた。「リヴィエラ」とは一体だれなのだと考えながら読んでいたけども、最終的に気付くことができなかった、というか終わりがあんなかんじだったから、なんというかすごくさびしかった。最後の最後まで、物事の裏側で暗躍している人間は裁かれることがないのか、巨大な暗闇の中では一個人は無力なのか、そんなことを考えた。
    ノーマンとダーラムの関係は、いままで何冊も読んできた高村作品の男性同士の微妙な関係と同じで、なにかくすぐられるものがあった。いいよな、こういうほんとに微妙な関係。
    いろいろなしがらみにがんじがらめになりながらも自由でありたいと思いつづけていたのだろう、ノーマンとダーラムには、あの結末のことを考えるといろいろと考えてしまうよ。

    (899P ※上下巻)

  • ラスト10-20%にほとんどすべてが詰まりすぎな気が。。。最初きつかった。。この手の本ってこんなもんだっけ。。サスペンス・推理系はあまり読まないからかな。ジャンルも分からず読み始めたというのもあるが。

  • ううむ、結局たいしてついていけませんでした。
    なんだか一部、お耽美な方向に行ってませんでした??
    そんなとこで放り込まれても対応できない!というか、かなり前から対応してない!!

    とはいえ、こんなハードなものを日本の小説家が、しかも女性が書いているのはたいへん喜ばしいものですな。
    次は黄金を抱いて跳べを読もうと思います。

    12.10.10

  • 日本の女性作家の作品とは思えない、ハードなストーリー。

    テロリスト、CIA、警察、諜報機関・・・それぞれの男たちが国益と自身の正義に葛藤しながら<リヴィエラ>を追う。

    上下巻のうち、前半1/4はつまらなくてなかなか進まなかったけど
    そのうちに食い入るように読み進めた。

    主人公の一人のテロリストは他の人物が思うほど魅力的に
    思えず、他の人物の行動に終始疑問があった。
    あと<リヴィエラ>の正体はちょっと不満だ。
    ミステリーではないので正体に醍醐味を求めるものではないとは
    分かってはいるけど。消化不良気味な箇所も数点あり。

    あとイケメン多し。その描写は必要なのか?

  • 合田刑事ものほどスレスレの人は出てきませんが、構成といい国際諜報の舞台設定といい北村先生の中で一番好きな作品。

    リビエラが、ああいう人物だということがかえって、諜報戦の得体の知れなさを感じさせてよい。

    荒涼感と希望が両立するラストも大好きです。

  • 読もうかどうしようか迷っていた作品。けっこう長い間かかりました。
    結論からいえばなんか最後で失速しちゃったなあという感じ。前半は人が一人死ぬことに重みがあったのに、なんだか最後はその重みがなくなって、ああ、この人もか、みたいになってしまう。
    そういう意味では前半のほうがわくわくして読めて、謎がわかるにつれて、うーん、ってなってしまった。
    ただ、これを日本人が書いたというのはすごいと思う。

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著者プロフィール

●高村薫……1953年、大阪に生まれ。国際基督教大学を卒業。商社勤務をへて、1990年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞。93年『リヴィエラを撃て』(新潮文庫)で日本推理作家協会賞、『マークスの山』(講談社文庫)で直木賞を受賞。著書に『レディ・ジョーカー』『神の火』『照柿』(以上、新潮文庫)などがある。

「2014年 『日本人の度量 3・11で「生まれ直す」ための覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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