レディ・ジョーカー〈下〉 (新潮文庫)

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著者 : 高村薫
  • 新潮社 (2010年3月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101347189

レディ・ジョーカー〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • [上中下巻あわせて]
    グリコ・森永事件をモチーフとした文庫本3冊の長編小説。
    最近はノンフィクションばかり読んでいたので久しぶりに小説を読んだ。
    グリコ・森永事件は自分が幼少の頃にリアルタイムに体験した事件でもあり、当時の自分の微かで断片的な記憶も思い出しながらで、大変面白く読めた。

    読み終わって幾分モヤモヤしたものが残るけれど、最近の自分は「小説は読んでいる時間そのものが面白ければいいのだ」と思う。

  • 「この国はどうなってんだよ」これがフィクションであることを願うよ。城山は束の間でも「自由」を満喫できたのだろうか。ラストのレディー・ジョーカー達が平穏に暮らしている様子は読み手としてはささやかな夢のよう。高と半田はさすがにいないか。そして…「ゆうすけ」が最期の言葉でなくて良かった。しかもこんなに素敵な合田が待っていたとは思わなんだ(歓喜)。加納とは仲直りしたのかな。

  • それぞれがそれぞれの帰結を迎えました。

  • 最後まで面白かったです。結局最後までモヤモヤしたままの展開も良かったし、容赦のない報われなさも、こういう作品ではアリだと思います。設定が細かくて、正直、裏社会の細部で理解しきれない部分もあったんだけど、それを抜きにしての人間模様とかだけでも十分に楽しめるないようでした。”李鴎”だけで敬遠しがちだったけど、高村作品、もう一度触れてみて良かったです。他の作品にも手を出してみようかな、って気になりました。やっぱ合田シリーズが良いのかな。ま、当分先の話でしょうけど。

  • 様々な思いが最終巻につながれます
    是非、最後まで頑張って付き合ってください
    おそらく人によって感想が幾重にもなる作品です

  • 闇が深すぎて、そして重たすぎて、読後はどんより。
    すっきりとした解決でもなんでもなく、闇は表に出ることなく闇から闇へと葬り去られる。
    未解決ということなんだろうな。
    こういう社会が今の社会でも蠢いているのだろうか?

  • 実際の事件をモチーフにしているだけあって、やはり犯人捕まらずか…

    重厚な物語の結末としては、不完全燃焼。

  • 配架場所:2F文庫書架
    資料ID:C0031092

  • 「なんだただのホモじゃねーか」
    合田と加納の関係は匂わせる程度でよかったのでは…(そのほうが妄想が捗る)

    すっきりしないところが逆にいい。
    社会事件を元にした小説は好きだけど、その中でも、得るものの小ささというか、ひと一人の力の差とか、そういうやるせなさをまるっと書いた作品だと思う。

  • レディ・ジョーカー3作のうち、3作目。

    レディ・ジョーカーからの終息宣言。
    終わったかと思った誘拐事件は本人達の意思とは別に思わぬ方向へ進みます。
    そして城山社長、合田刑事、久保記者などの主要人物の心理描写が重いぐらい伝わってきます。
    喪失、失意、成長などいろいろ混じります。

    でも最後に何が残ったんだろーか。
    目に見えない当初と同じ空虚感は感じたまま終わった感じがします。
    ただし読み応え十分で、読み終わった感を感じれました。

    読書に体力を使って満足したい方にお勧めの作品です。

  • 合田とレディ・ジョーカーチームの中心、半田がいよいよ直接対決。と、その前にレディ・ジョーカーから事件の幕引き宣言。そして、チームが分裂して、別のビール会社への攻撃がはじまる。社長誘拐、同業他社へ目標変更、青酸カリ混入と、当時のグリコ・森永事件の流れを忠実に再現している。

    小説の方は新聞記者の失踪あり、株屋の活躍あり、刑事の自殺ありと、事件の解明どころか、盛りだくさんの内容で混沌は深まるばかり。が、合田のワンマンプレーでなんとなく、ぼんやりと決着する。これは合田刑事シリーズの定番だ。

    20億円も奪った犯人の追及が甘い気もするが、グリコ・森永事件も未解決なのだから、こんなものか。

    それにしても、社会で取り残された人間が大事件を犯すという設定。この小説は現在の「格差」がクローズアップされる時代にマッチしている。

  • 読みはじめたら止められなかった。
    上巻では犯人グループに感情移入させられ、犯行が成功したらいいなと思いつつ、どうせみんな最後は捕まるんだろうと思っていたら、こんな結末とは驚いた。
    終わり方が過不足ないと思える素敵なもので嬉しかった。
    高村さんは終わらせ方が上手だと思う(まだ二作品しか読んでないけど)。

    城山さんのパートでは犯罪被害者の苦しさに気付かされた。
    監禁されたとはいえ特に怪我もなく無事であれば周りはよかったよかったとしか思わないだろうが、精神的な衝撃、屈辱、無力感は計り知れないものなのだろう。

    合田と加納の恋愛関係(?)は正直必要ないと言うか、描くにしてもほのめかす程度でいいんじゃないかと思っていたら最後の最後で核心をつくところまで描かれていてなんだか笑ってしまった。
    そして合田は警察を辞めるのかと思いきやなんと昇進までして本庁に戻るなんて一体どういうことなんでしょう。
    続きがあるなら凄く読みたい。

  • 高村さんの作品の中では、個人的にはこれがNO.1です。久しぶりに読み返して、やはり面白かったです。

  •  目的を達したレディ・ジョーカーは闇に消えたはずだった。しかし新たな脅迫状が別のビール会社に送られ、事件は犯人グループの思惑を越え新たな展開を見せ、そして終焉を迎えていく。

     ようやく読み終えた…、と読後にまず思いました。完全犯罪が達成されたというカタルシスもなければ事件が解決された、という爽快感もこの小説にはありません。読めば読むほどに登場人物たちの葛藤、疲労、閉塞感、暴力衝動は深まっていき、それに姿が見えない政治や裏社会の闇が読むほどに深くまとわりつき、それが完全に晴れることはありません。

     合田然り城山然り、マスコミ然りそして犯人グループでさえも、”レディ・ジョーカー”が生み出した闇の流れにゆっくりと飲み込まれていったかのように読んでいて思いました。

     誘拐劇に企業への恐喝、そしてそれに立ち向かう警察というミステリー的な構図でありながら、この本の終着点はミステリー的な解決ではありません。この誘拐を通して浮かび上がったのは何者にも説明できない個人の感情や衝動、そしてそれと相克せざるを得ない企業や社会の論理、それに勝てないと分かっていながらも向かっていかなければならない人々の叫びと戸惑いだったように思います。

     そしてそうした叫びや戸惑いは、現代の社会にも残り続けているのだと思います。自分もそうしたものを漠然と感じていたからこそ、この小説に嫌気がさしながらも、登場人物たちがどこにたどり着くのか知りたくてページをめくり続けたのだと思います。

     合田の加納への最後の唐突な告白はちょっと違和感があったものの、それを差し引いてもこの作品の価値というものは揺るがないと思います。ラストの青森の描写も、この作品の終着点としてこれ以上ないくらいふさわしいものだったように思います。

     人は小説にこれほどまで情念というものを載せることができるのだな、と強く思わされた小説でした。


    第52回毎日出版文化賞
    1999年版このミステリーがすごい!1位
    このミステリーがすごい!ベストオブベスト9位

  • 三冊の長編は読んで終わったら意外と短かった。

  • 一兆円企業を脅迫するレディジョーカー、脅される一兆円企業、事件を捜査する警察、特ダネを追う新聞社の話。
    どの組織にも隠微な思惑があり、いろんな欲を持った人間がおり、様々なしがらみに縛られている。警察の動きでさえ不条理としか思えない描写に満ちていて、勧善懲悪でスッキリ解決する物語の対局にあるのが高村さんの作る物語だ。経済、株、政治、国際情勢など私にはおよそ理解が追い付かない要素が絡まってて分かりにくいことこの上ない。どの組織も、好ましく思えない部分がしっかりと描かれ、レディジョーカーが捕まって欲しいのか、欲しくないのか、わからないまま読み進めた。
    そして、合田さんとお兄ちゃんのよく分からない関係を、ついに恋愛に持っていった高村さんに度肝抜かれつつ拍手しました!そっかー!まさかこんな…。結局、事件は最高レベルの大人の都合で流れていったみたいだけど、私の最大の関心の的であった人間関係が新しい形になったので、とてもよい、☆六個つけたい、単純な私の読後感でした。

  • 下巻の中盤からぐっと引き寄せられたものの、まとまり方は好きじゃない。

    レディジョーカーの本当の正体はなんなのか、問われているような終わり方であった。

  • 結末はちょっと期待はずれだった。
    90年代の描写が懐かしかった。

  • うーん、消化不良。布川はどこいったんだ?金は?倉田のその後は?

  • 「悪の数々以上に、その蔓延を育んでいる大衆の無知こそ、強烈に効いたというほかなかった。」

    そのとおりです、と言う以外にない、鮮烈な告発。
    そして、そこで終わってはいけない。無知は罪ではないけれど、無知だということを知って、それを放置するのは、自分を殺すに等しいわけだ。
    物事を比較して、何が「よりよい」かを選ぶためには、知識がないといけないんだから。
    こんな小説でも、読む本の一部ってリンクするんだなあ……本を読む順番の神様、ありがとう!


    雲間から差す光程度の未来だけど、充分だった。
    照柿のあの暗さから救われて、ものすごくスッキリした。


    地検と警察の縄張り争いや、総会屋と企業の関係、暴力団的組織と政治家のつながり、銀行と政治家、銀行と銀行の争い……
    こんなあたりのすべてが難しくて、多分背景も読みきれていないとは思う。
    久保記者が猛烈な吐き気を覚えたとおり、の部分が、肌身では感じられないが、その恐怖はやわらかく締め上げる恐怖。

    (殺人や強請、詐欺、恐喝なども数十億単位の金額が動く中で行われていて、複雑な仕組みは、表面しか見えず、発生源に行き着くことが出来ない)
    p443
     そのイメージは、結果的に個々の感染経路を辿ることが不可能な、インフルエンザウイルスの蔓延に似ており、感染したら対症療法を施すほかなく、ウイルスそのものが死滅することもないのだった。そして、自分は実にそうしたウイルスの上で寝ているのだと感じたとたん、久保は強烈な吐き気を催し、同時にもう一つ新たな発見をして、さらなる吐き気に襲われた。
     久保が発見したのは、ウイルスの狡知きわまりない遺伝子のメカニズムと、そのウイルスに対して大口をあけてわが身をさらしている自分の無知蒙昧との、あまりに鮮やかな対比だった。悪の数々以上に、その蔓延を育んでいる大衆の無知こそ、強烈に効いたというほかなかった。



    以降ネタバレ
    簡単な感想では、
    ・あまり解決していない……それでも、これをカタストロフだと捉えた私は、随分と高村薫作品の報われなさに慣らされたものだ
    ・根来記者が結局見つからなくて、もう始末されているのだろうけれど、悔しい
    ・まさか、城山社長まで……!
    ・レディ・ジョーカーの面々のうち、一番、同情出来たじいさんとヨウちゃんが平和になって、犬っころとレディもでよかった……と思う。が、じいさんの鬼が出てきているのか……
    ・合田と加納の隠微な関係が、どうにかその意味がわかってよかったよ! 恋をしていると自覚したとたんに失恋していたって何なの。もう。でも、「クリスマスイブは空いているか」……よかった……
    合田もこれで、一度死んだも同然の身からの再起で、自分の中身を再配置して、生きていける。

  • 下巻もあっという間に読了。いやはや壮大な物語であった。これ、グリコ森永事件をモチーフにしてるんだね。上中下巻とかなりの大長編ではあったけど飽きることなく読めた。いつかパワーがある時にもう一度読もう。2012/158

  • 読み終わりました。
    結局この長編は、合田の魂の再生と、物井の守りたいものの発見が救いなのかなと。
    前者は、破滅願望の半田との対決を経て加納と向き合う大切さに気づくところ、後者は最後の久保が物井の故郷を訪ねるところで、特に強く感じました。
    社会への言葉にできない怒りや不満からレディ・ジョーカーは現れ、でもそれぞれの帰結は対照的です。
    壊したい願望と守りたい願望。
    事件から先に進めた人間と、さらに破滅を求めた人間。
    相反するところが個々の中にあって、けれどそれが個々の選択に違った形で表れる。
    最後の物井の故郷は、彼の求めていた生きる意味を実感できる場所なのか、久保の詮索を拒絶するような心証描写が秀逸でした。
    まず満足できた3巻です。

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