- Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101347219
感想・レビュー・書評
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『マークスの山』に続く合田雄一郎シリーズ2作目。
魅惑的な女(佐野美保子)を軸に向かい合うこととなった同郷の幼馴染み、合田雄一郎と野田達夫。
捜査中の雄一郎を襲う遠慮のない猛暑と、
達夫の働く熱処理工場の暑さ、炉内の色、
その臙脂色が象徴的に何度も描かれる。
じっとりと追い詰めるような夏の暑さと、美保子の言い知れぬ魅力が、これまで社会と折り合いをつけながらやってきた二人の男の日常の薄皮を剥がす。
その臙脂色と対極に使われる、美保子のワンピースや達夫の父が描いた、青色。
それらと交差するように、殺人事件の捜査は行われるが、こちらは一向に解決の兆しが見えない。
堀田は本当に犯人なのか?
「堀田はどうやら〈殺す気はなかった〉と言っているらしい。」
雄一郎が目を付けた土井は事件にどう関わっているのか?
「さあこれで、もしこいつがホシなら逃げるか、自首するか。こいつが逃げてくれたら、膠着状態の捜査が少し動く。」
また、もう1つの事件である線路への飛び込み。
美保子はこの件に関わっているのか?
「佐野美保子はあの拝島の駅で、手に血がつくような何かをやったのだ。亭主と連れの女をただ追いかけただけではない。何かをやったのだ。」
終始息苦しい読み心地。
真夏に読まなくて良かったな~。
雄一郎、達夫、美保子の関係性は一定の距離を保ったままぐるぐるとしていて、
事件の方もぼんやりと全容が見えてきた程度で、
下巻へと続く。
う~ん、女性で身を崩してゆく雄一郎は見たくないな…と思いながらも先が気になる。
警視庁捜査一課の主人公、合田雄一郎シリーズは、
『マークスの山』
『照柿』
『レディ・ジョーカー』
『太陽を曳く馬』
『冷血』
『我らが少女A』
の順だと思うが、私は順番を崩して読んでしまっている。
今更だけど順番通りに読めば良かったな~。
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非常に重く、心に引っかかるものを残す作品。
ストーリーはさておき、解説でも“スーパー・リアリズム”と表現されていたように描写の緻密さに脱帽すると同時に読むたびに疲れを覚える感もあり。
野田達夫の勤める工場の描写以外にも普段目にしている空の色、登場人物の目の動きが自分の目の前にあるかのように浮かんでくる。
野田達夫、合田雄一郎の心の動きも同じ。
あまりにもリアルで、感想も浮かばないままぐいぐいと引き込まれていく強さが感じられる。
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下巻に続く
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下巻へまとめます
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購入済み。
→10年前の作品。題名に記憶あり。既読か?
→読み始める。やはりところどころに記憶に触る感じあり。しかし内容、結末を覚えてないので、このまま読んでみることとする(2021.09.17.)
人間の心の中はなんと複雑極まりない感情で満たされてることだろう。
人はその全てに意識することなく相対し、もがき、苦しみ、無理やりにでも折り合いをつけて納得し先へと進む
高村薫は感情に妥協しない。掘って掘って掘り下げて着地点を探っていく。
普通に取り組むと、あれ?今のどういう意味?ちょっと待って!と読んでは戻り読んでは戻りを繰り返さざるを得ない。
で、結果、時間をかけて読むことになるこの感じが堪らない。(笑)
確かにめんどくさい。読みにくい。サクサク行かない。でも、どうしようもなくハマってしまう私。
本作でも人間の複雑極まりない感情が複雑極まりなく表現されていて、よくわからないまま読了。
好きじゃないと途中で投げ出したくなる作品(笑) -
2018.10.30
下巻にて -
頭の中で物事を整理しながら読んでいかないと混乱するため、ゆっくりとしたスピードで読んでいる。合田さんは相変わらず、かっこいい。そして、お蘭こと森さんがマークスの山の時に比べると頼もしくなってる気がする。合田さんの関西弁を見る度にニヤニヤ。事件の話はじわりじわりと外堀からいく感じなので下巻の展開に期待。今回は男と女が濃厚に絡み合ってるという印象が非常に強い。
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悪くはないが下巻を買ってまで読むかは思案中。
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全体的に重い雰囲気を醸し出しており、作品にずぶずぶと、はまり込んでしまう。
警察小説では、主人公はカッコよく書かれているものが多い中で
この小説では主人公がこんな事をしていいの!?と思う箇所が多々出てくる。
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主人公「合田警部補」と旧友「野田達夫」が一緒のシーンでは、
主人公ではなく野田の視点で書かれているのが興味深い。