- Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101347219
作品紹介・あらすじ
異質さゆえ、互いから目を逸らせぬまま成長した幼馴染は、それぞれの足で大阪から東京へと辿りついた。八月二日夕刻、合田雄一郎警部補は電車から女性の飛び込みを目撃する。現場より立ち去ろうとしていた佐野美保子との一瞬の邂逅。欲望に身を熱くした。旧友野田達夫との再会は目前に迫っていた。合田、野田、美保子、三人の運命が、溶鉱炉の如き臙脂色の炎熱の中で溶け合ってゆく。
感想・レビュー・書評
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非常に重く、心に引っかかるものを残す作品。
ストーリーはさておき、解説でも“スーパー・リアリズム”と表現されていたように描写の緻密さに脱帽すると同時に読むたびに疲れを覚える感もあり。
野田達夫の勤める工場の描写以外にも普段目にしている空の色、登場人物の目の動きが自分の目の前にあるかのように浮かんでくる。
野田達夫、合田雄一郎の心の動きも同じ。
あまりにもリアルで、感想も浮かばないままぐいぐいと引き込まれていく強さが感じられる。
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下巻に続く
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上下巻読了。
ちょっぴりエロス。
飾り気のない文章で淡々と
生きざま、堕ちてゆくさまを描いています。
ぐっと入り込んでしまい
電車の駅、降りそこねました。 -
特に引き込まれるわけでもなく淡々と読み進んだ。
先がすごい気になるわけでもないけどなんとなく読みたいみたいな。
下巻でどうなるんだろうと思った。 -
読んだ本 照柿(上) 髙村薫 20230109
小説「海竜」を書いた時、読みやすい文章を心掛けたのですが、ある方からは、読み応えが足りないといったご指摘をいただきました。
ちょうどその時読んでいたのが、「レディ・ジョーカー」で、みっちりと描きこまれた情景や心理描写に、こういったものが必要なのかなとも思ったのですが、情景のリアルさはともかく、ひとつの事象や行動の動機について、ここまで考え込むものかと、逆に僕が書く上でのリアルとは違うなというのが結論でした。行為が思考の結論って言うよりは、衝動の後に感情が付いて来るって方が日常の中ではリアルなんだと。
とは言え、「レディ・ジョーカー」に描かれる警察内部や新聞・雑誌の編集現場の濃密な描写は、写生的な文章であるにも拘わらず、本当に読ませますね。そして、小説のリアル感が際立っていきます。そこに複数の登場人物のひつこいまでの心理描写が相俟って、息苦しいほどの密度を感じます。
その後、「マークスの山」を読みましたが、物語としてはこちらの方が好きかなと思いつつ、「照柿」を読んだら、上巻だけなのに、これ面白いってなっちゃう。結局、どれが面白いってことじゃなくて、読む度に魅力に囚われるってことですかね。
この息苦しいほどの濃密な描写はハード・バップが合うと思って、アート・ブレイキーのクラブ・サンジェルマンなんかを音量上げて聞きながら読みました。息が詰まる感じがたまらなかったです。 -
再読
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恋をしてもひとり。
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読んでいて息苦しくなるような内容です。達夫の世界は、私のような凡人には見えない色でいっぱいなんだろうな…
美しくもあり、苦しくもあり、先が気になります。
下巻に続きます。 -
下巻へまとめます
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購入済み。
→10年前の作品。題名に記憶あり。既読か?
→読み始める。やはりところどころに記憶に触る感じあり。しかし内容、結末を覚えてないので、このまま読んでみることとする(2021.09.17.)
人間の心の中はなんと複雑極まりない感情で満たされてることだろう。
人はその全てに意識することなく相対し、もがき、苦しみ、無理やりにでも折り合いをつけて納得し先へと進む
高村薫は感情に妥協しない。掘って掘って掘り下げて着地点を探っていく。
普通に取り組むと、あれ?今のどういう意味?ちょっと待って!と読んでは戻り読んでは戻りを繰り返さざるを得ない。
で、結果、時間をかけて読むことになるこの感じが堪らない。(笑)
確かにめんどくさい。読みにくい。サクサク行かない。でも、どうしようもなくハマってしまう私。
本作でも人間の複雑極まりない感情が複雑極まりなく表現されていて、よくわからないまま読了。
好きじゃないと途中で投げ出したくなる作品(笑)