照柿〈下〉 (新潮文庫)

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著者 : 高村薫
  • 新潮社 (2011年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101347226

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照柿〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • レディージョーカーで初めて出会った高村さん。あまりの面白さにマークスの山を読むと、更に更に惹き寄せられた。なんて素敵な作者を見つけたのだろうと心踊る。続いて読んだのが同じ合田シリーズの本作。下巻の途中まではダラダラと冗長な内容が続きどうかなと思っていたが、終わってみれば素晴らしくて、照柿が素晴らしくて、圧倒された。細部が細かすぎてしつこく感じるが、それもまた世界観が出ている。合田の狂気と変質が際立ってきて、他作とはまた違う人物像に変化してきた。そうだ、人は歪なのだ。一言で語れるほど簡単じゃない。登場人物全てが魅力的。

  • 再読希望と思った

  • これだけ毎日難しい事ばかり考えていたら大変だろうに。でも周りの皆もこんな感じで難しい事を考えてるのかと思うと、ちょっと自分もやばいな、などと思ったり。

  • ほんの一瞬の邂逅。けれど常軌を逸してゆくには十分な時間だったのか。
    それぞれに10年以上前分かれたはずの人生が、再び交わってしまったのが間違いだったのか。
    頭の奥底に燃える業火が、腹の内奥にくすぶる燠火が、なにもかもを焼きつくし、最後に残るのは醜くも純粋な欲望。そしてその欲望は、人を壊す――。

    不条理、絶望、救いのない結末が待ち受ける長編ミステリ後編。
    加納さんの出番はあまりない。

  • おもしろかった。一気に読んだ記憶。

  • 前作のマークスの山ほどの衝撃は少ないがこれはこれですごい。工場のシーンはちょっと読むのが苦痛になる程の詳しさ。合田さんと加納さんの絡みとお蘭こと森さんの登場が少なすぎてがっかり。

  • 高村薫作品にはいつも圧倒される。しかし、今回の作品の大人の男二人の突然の脱落、妄執には共感することもなくなかなか読み進まなかった。しかし、最後のさすがでぴりっとしまったと思う。

  • 読み応えがあった。目が赤くなったらしい。泣いてはいないんだけど。

  • 暑い夏
    燃える熱処理ライン
    轟音は脳まで響き頭痛を起こさせる
    読んでいると、春先なのにじっとりとした暑さが…


    細かく描かれた工場の熱処理シーンは、下巻に進むにつれ、野田の体調や感情が壊れていく様子を現しているようだった。

    「息ができない」

    この一言に尽きる

  • 3月11日読了。図書館。

  • 粛々と続くうだるような暑さは最後の30ページくらいに持っていく為の布石だったのか…。
    と、なんというか放心してしまった。
    物語全体を覆う鬱屈とした空気が最後の最後で浄化されてゆくようなそれは半ば錯覚なのかもしれないけれど、人の事はわかっているはずの合田さんが、自分自身がどういう人間なのか見つめてゆく様はすごく生々しいものがあった。
    そうか、これで文庫版のLJに続くのかと思うと個人的にはすごくストンと落ち着くようなそんな心持ちになった。
    それにしても一番辛い状況に置かれ続けてるのは祐介なのかなとふと思ったりもした。

  • ハードカバー版で読んだときにも思ったのだけど、これほど圧倒される作品はそうはないと思う。熱苦しく、じとっとして、どろっとして。読み手である自分の頭がこの不快感にやられてしまいそうだった。もちろん登場人物いずれもどこか壊れかけていて、必死になにか糸を手繰りよせるように崩れないように生きている印象を受けた。
    前作から比べると、合田はどうしてこんなに落ちていったのかなあと思った。崩壊の速度があきらかに速くなっているような気がする。このどうしようもない閉塞感が、合田と達夫が感じているものだったら、どれだけこのひとたちは生きにくいんだろう。すべてを投げ出して、生きていければらくなのに、それができないのはだれでもあると思うけれど、最終的にこういうひとつの結果ができあがってしまうのなら、やるせない。

    (764P ※上下巻)

  • 野田の父の告別式で、十数年ぶりに再会した合田と野田。
    幼馴染という関係性の影に見え隠れする、美保子という女性の存在。
    けんか別れした二人は、それぞれ狂気の道を進んでいくのであった。

    人間のもつ原罪と不条理を克明に描いた作品。
    ミステリーの枠を遥かにこえた著者のリアリズムは、本作品でも存分に発揮されている。
    熱処理工場の工程から人物心理の微妙な息づかいまで、どうしてここまで描けるものだろうか。

    なぜ人は殺人を犯すのか。その心理は当人にしかわからないのだろうが、著者はそれでも完璧に描写したかったのだと思います。
    背後に隠された、圧倒的に重厚な人生を描くことによって。

    秋の夜長、じっくり作品とぶつかりあいながら読書したい人にオススメです。

  • 熱いと人は狂う。

  • 単行本と結び部分が変わってるのね。確か単行本では森刑事がもう少し熱いオトコな終り方だったかと。読んでて『記憶にないな〜』と思った箇所多かったけど、かなり改稿されているのかも。

  • 熱く、赤く、嫉妬という名の男の激情が切なくて苦しくて、始めての感覚で涙が流れました。
    個人的には文庫版よりハードカバーで出たもののほうな断然好みです。

  • 先日読んだ「マークスの山」は講談社文庫だったが、今回は新潮文庫にした。字の配列は、講談社のほうが好きだな・・・。

    痛い話しである。
    なんとなく、「誰だって同じだ、他人事じゃないぞ」と突きつけられているきがした。
    合田にしろ野田にしろ、組織の中に馴染めない人間というのが必ずいて、そうしたを社会は異質なものを見るような目で見てしまうのだけれど、大きな組織というのは大概、組織防衛のためには個人のことなど虫けらとしか思っていないし、本当は彼らの方が健全なのかもしれない。
    感情の人で、その感情のまま一線を越えてしまった野田は犯罪者で、越えられない合田は、刑事の首はつながったままだが、しかし、心に抱えきれない虚空を抱えてしまうのは、すごくリアルで悲しい。
     その辺りが前作「マークスの山」よりも面白かった。

     ラストの義兄からの手紙が、彼にいくらかの救いをもたらしてくれたと、願わずにはいられません。

  • 単行本を含めて再読。

    達夫のおかげで、
    関西弁を喋る合田さんが多くて楽しかったです。

    単行本では、すごく読みづらかった思い出がありますが、
    文庫はそれほどでもなかった印象。

    合田シリーズはマークス以外、警察小説として読むと失敗する気がする。

  • なぜに女に一目惚れしたのか、全くわからない。幼馴染と不倫の女と刑事の、女の夫の浮気から徐々に狂いだしていく人間関係の歯車が女を除く浮体の男の心理状態をこれでもかと書き尽くし、破滅へと進行する、思いっきり暗い話であり、読んでいて辛いのだが、最後まで読ませる筆力は流石。

  • 合田は切れ者で有能という設定だが、実際の言動からそんな印象を受けることはまったくない。
    達夫が女にもてるであろうことは納得。

  • 物語は突如として、野田の銀座でのある行動をもって、急展開する。

    その事件にいやおうなしに合田もかかわるのだが、
    野田が20年以上、手元に保管していた合田の言葉に驚愕。

    なんというか、切なすぎる・・・
    その言葉の内容を知るだけも読んだ価値はあったな、と納得。

  • 全体に漂う鬱屈とした感じが気持ち悪い。タイトルの照柿は色の名前だけど、皮はまだ固いのにつつくとドロッて崩れる完熟の柿を最初から想起してしまい、刑事として常軌を逸し始めた合田と、不眠症が高じて正常な判断が下せなくなる野田達夫のイメージと完全に一致した気がする。
    なんというか、この2人の、崩れかけの思考と行動は、生理的に受け付けない。さらに佐野美保子のどこがそんなに魅力的なのかよくわからない。話全体の構成とスピード感は結構好みだったけど、内容とか人物同士のやりとりとか、細かいところがどうも苦手だった。

  • 相変わらずの高村薫節。心情描写をこれでもかってくらい、彼女の言葉で綴ってあって、疲れるんだけれど続きが気になって読むことをやめられない、いつもそんな感じ。
    本作は『照柿』という色で主要人物の狂気や退廃を表現しているのかな。赤く燃える高温の炉に一瞬垣間見えたその色は変調の兆しなのか。
    そして、合田雄一郎にも訪れている変調。登場人物たちの変調がシンクロしてる感じで、謎解きとかのストーリーではないんだけど、読ませる感じがとても良かった。

  • 一気読み。読んだあとの疲労感の凄さに著者の筆力の凄みが感じられた。

  • 人って、こんなに狂ってしまうんだ。
    不眠のせいで放心と動揺との中での彼の行動が怖くて哀しい。
    組織の中からもがいてる彼も哀しい。

    やっぱり、再会しなければ良かった?


    最後の電話のやり取りで「俺なあ、おかぁんに会いたい」てとこで泣きました。

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